SI経験の長い技術力ある人がコンサル業務でつまづく点
アクセンチュア株式会社テクノロジーコンサルティング本部金融サービスグループ プリンシパル・ディレクターの青柳雅之です。私は金融サービスグループのクラウドに関するプラクティスのリードとして、クラウド人材の育成にも関わっています。
例えば、SI経験が長く、ITの専門知識が十分にあるけどしゃべりが苦手、という人は相手のコミュニケーションが難しく、コンサルタントの仕事でいい成果を得ることができません。下手をするとしゃべりがうまい専門家知識の薄い人の方がこの人を使って組織では評価されてしまいます。それは悔しいですよね。
以下に挙げる項目は専門知識外のところですが、コンサルティング業務でここでつまづくエンジニア出身の人が非常に多いです。専門知識はあるもこれらをクリアできないことでコンサルタントとしては十分な能力を発揮できないと見られてしまいます。専門知識を得るよりも簡単に見えますが、人によってはどうしても苦手な人がいるのも確かです。不得手な人は訓練するなどして克服するとよいでしょう。
しゃべり
なめらかな日本語で適度なやや早めのテンポで分かりやすく話さないといけません。活舌はよくなくてはなりません。また、ゆっくりすぎるペースは相手にストレスを与えることが多いような気がします。文節は適切な長さにして、短い文節、体言止めで終わるなどは避けます。また、相手の質問に対して、その背景をすぐに理解した上で適切なコメントを即座に返す必要があります。言葉に詰まって固まってしまうのは致命的です。5WiHで話す、結論と前提を話して論点を3つ挙げて1つずつ説明すると言った工夫なども必要です。これらができると、いわゆるコミュニケーション能力の高い人、となります。
しゃべりの練習は、相手(社内外)と話す前に何度も事前にしゃべってみることです。これしかありません。
マルチタスク
コンサルタントは複数のプロジェクトに関わることが普通です。各プロジェクトの自分に割り当てられたタスクをパズルのように並べて並行して作業を行います。ポモドーロテクニックとも言いますね。これによって大きなリスクを事前に察知出来て何らかの対応を取ることが出来ます。仕事を大きな塊ごとに終わらそうとすると、どこかでつまづいたら長い時間、そこでつまづきます。気づいたらほとんどの作業が終わってないことに気づきます。マルチタスクが出来ないというのはコンサルタントとしては致命的です。
重めのタスクが発生したらそのタスクが終わるまでのサブタスクを明確にすること。タスクが発生して
だいぶたってから締め切り前に動いてもいい結果は得られません。
パワポ
体裁
会社にはよく使われるパワポの体裁があります。フォントの大きさ、色合いなどが決まっており、そこからずれる書き方をすると、それだけで多くの同僚に違和感を抱かせてしまいます。会社にはパワポの書き方を指南する虎の巻がありますので、まずはそれをじっくり理解する必要があります。「あの人はきれいなパワポはかけるが、専門性はないよね。」と言う考えはやめるべきで、パワポも専門性もなくてはならないのです。
文章と図のバランス
1ページにびっしり文章が書いてある例もありますがわかりづらいです。図も入れて文章と図のバランスを取りましょう。
論理構成やページのつながり
初めて読む人の頭にスムーズに文言が入ってくるか、いきなり新規度、複雑度の高い単語が入っていないかは注意します。前のページと次のページはつながりがあるのが望ましいです。もしくはある命題を補足する複数の項目をそれぞれのページで語ります。私は論理構成を鍛える方法として、シカゴスタイルを推しています。参考になる書籍は多く出版されています。
まとめ
コンサルタントは、しゃべり、パワポ、マルチタスクがポイントです。ここに専門性があると最強です。
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