🌈

Microsoft 365 Copilot Wave 2から見える新しい世界観

2024/09/24に公開

はじめに

2024年9月18日にMicrosoftからCopilotの新しい機能を「Wave2」として発表されました。
一部の新しい機能はすでにMicrosoft365 Copilotを利用可能なユーザに展開されているようです。
https://news.microsoft.com/ja-jp/2024/09/18/240918-microsoft-365-copilot-wave-2-pages-python-in-excel-and-agents/

製品ごとの概要

AIと人間のコラボレーション Copilot Pages

Copilotの生成AIとOneNoteをMIXした機能となります。
組織内のファイルや情報、Web上に公開されている情報をAIで検索して回答させて、この回答をPagesと呼ばれる共有空間に転記することができます。
(ちなみに、この検索AIをMicrosoftは「BizChat」と命名しています。)
共有空間に転記された情報は、共有相手を指定して人間同士で加筆、変更することができます。

この機能はかなり革新的だと考えていて、これまでWordやPowerPoint、Excel、OneNoteなどで行っていた人間同士の協働作業にAIが加わって、より生産性を高めながらアウトプットできる可能性を秘めています。
https://youtu.be/oxxqw0E7Io8

Preview版から正式版になった Copilot in Excel

これまでExcelのCopilotはPreview版でしたがいよいよ正式版となりました。
ExcelのCopilotは正直できることが少ないなという印象でしたが、XLOOKUP や SUMIF などの数式、条件付き書式、ニーズに合わせてチャートやピボットテーブルなどの視覚化を反復実行する機能などが追加されたようです。
また、手元の環境で試せていないですが、Python in Excelにも対応していて、Copilot in Excel with Pythonという形で、Pythonを使った集計や可視化もCopilot経由でできるようになったそうです。
データの集計、可視化はPythonの方に分があり、かなり活用できそうです。
https://youtu.be/zkyzrLwRwlo

会話を繰り返しながらドラフト作成 Copilot in PowerPoint

これまでのPowerPointのCopilotは「具体的な指示をしたうえでのドラフト作成」「既存スライドの補正」での活用に留まっていました。しかしながら、「Wave2」ではCopilotと会話を繰り返しながらストーリーを作りストーリーに合わせたドラフトを作成することができるようになる「Narrative builder」が提供されるそうです。
また、「Brand manager」という企業ごとに設定できるブランドテンプレートを活用する機能も追加されるそうです。この機能を「待ってました!」という方々が多いのではないでしょうか。企業でのPowerPointのCopilot利用が進んでいくと思います。
https://youtu.be/Agrc_gcD4KU

Teamsの会話、チャットの両方を考慮した全体像 Copilot in Teams

Copilot in Teamsも強化されているようです。会議の議事録と会議チャットの両方を考慮して、話し合われた内容の全体像を把握できるようです。たとえば、会議中に聞き逃した質問がないかを Copilot に尋ねると、発言内容とチャットに入力された内容を迅速にスキャンし、回答されていない質問がないかを確認してくれるようです。

AIがメールの優先順位を判断 Copilot in Outlook

メールの内容と自身の職務 (誰に報告するか、どのメールスレッドに返信するかなど) の両方を基に受信トレイを分析し、重要なメッセージにすばやくアクセスできるようになるそうです。また、またCopilotが判断した優先度が高いメール順に並び替えられるそうです。

ここまでAIにやらせてメールのやり取りで漏れが生じないか不安に感じる人もいると思います。ただ、この技術が進むと将来的に個人個人に合わせたメールの優先順位をAIが提案するようになり、大きく普及するタイミングが来ると思います。
つまり、送り先の人にメールを読んでもらうために、まずはAIの一次審査を突破しなければならなくなります。
今後、送り先にとっていかに重要なのかAIに判断してもらえるようなメールの書き方が重要になってくるかもしれません。
https://youtu.be/9fEgd6WDP2w

外部コンテンツとの連携をより強固に Copilot in Word

ウェブデータや Word、PowerPoint、PDF、暗号化された文書などの業務データに加えて、電子メールや会議データもすばやく参照できるようになるそうです。

より必要な情報を探しやすく Copilot in OneDrive

これまで必要な情報を自身のフォルダから探すのにかなりの時間を要していました。Copilot in OneDrive は、すべてのファイルを迅速に分析し、必要な情報を検索してくれます。ファイルを開くことなく、最大 5 つのファイルの詳細と差異を明確かつ読みやすい要約で表示し、洞察の獲得、要約、比較を容易にしてくれるそうです。

GPTsの機能がMicrosoft365で Copilot Studio agent builder

OpenAIのGPTsと同じように、要件を伝えてチャットしながらChatbotを作成することができるようです。もとろん手動設定も可能です。さらに、Microsoft365上のファイルを参照してファイルの内容を踏まえたChatbot作成できるようです。
そして、作ったChatbotはリンクを共有することで、組織内のメンバーに共有することができます。
https://youtu.be/uo-vCFL96yQ
加えて驚きだったのが、Sharepointとの融合で、Sharepointのファイルを選択して「Create Copilot agent」ボタンをクリックするだけでChatbotを作り、それをTeamsで共有ができるそうです。
Chatbot周りの市民開発が一気に加速しそうですね。
https://youtu.be/kW0REEAnsEI

「Wave2」から読み取れる新しい世界観

Copilotは「副操縦士」と言われているのは有名な話しですが、いよいよ本格的に副操縦士になる日が近づいてきた印象です。
AIと人間の協働する日が近い将来に起きると考えています。
人間も1個人ではなくチームに所属するメンバーも含まれます。
チームの共同作業にAIもチームメンバーとして加わる世界観です。
また、Copilot Studio agent builderによってChatbotの構築のハードルが劇的に下がり、生成AIアプリ開発の民主化が一気に加速しそうです。
こういったChatbotをベンダーに作らせたりパッケージを導入する世界観から、組織内で市民開発していく世界観も加わってくると考えられます。

NotebookLMやMapify、Napkin、Difyの機能も融合されるのでは

今後、集めた情報や保管されている情報を整理したり、整理した情報を図解する個別生成AIアプリがCopilotにも融合されるのではと考えています。
また、Difyのようなローコードノーコードで生成AIアプリを開発する仕組みもCopilotに融合されるのではと考えています。
これらが融合することで、人間はよりAIと協業することが可能となり、より高い生産性やアイディアをアウトプットできるのではと考えています。

今後求められるスキルとは

「Wave2」はかなり将来性を感じられるニュースでした。
一方で、これらの力強い機能を使いこなせる人が現時点でどれくらいいるのかなとも思いました。
今後、下記のようなAIを活用するリテラシーがより求められて、使いこなせる人材がとそうでない人材で大きな差が生まれるのではと考えています。

  • 様々なAIを活用するユースケースやプロンプトの知見(効果的な使い方、市民開発の両面で)
  • 個人を学習したAIを意識したメールやチャットのやり取り

おわりに

いかがでしたでしょうか。
「Wave2」はかなり衝撃的なニュースだったと同時に、いち早く活用することが重要だと感じました。
活用するには、やはり「アンテナを高くして生成AIのトレンドを追う」「ハンズオンを繰り返してユースケースの知見を増やす」ことが重要だと考えています。
私も引き続き生成AI界隈を追っていきますが、みなさんもぜひ一緒に追っていきましょう!

Accenture Japan (有志)

Discussion