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私がチャットツールにおけるテキストコミュニケーションで意識的にやっていることまとめ

2024/06/30に公開

はじめに

リモートワークの機会が増え、「テキストコミュニケーション」について定期的に話題になる機会も増えたと感じている。
すでに様々な人が言語化を実践しているが、私が意識的にやってきたテキストコミュニケーションでの振る舞い方についてまとめてみた。

各見出しで挙げたものについて、

  • どういうことをやっているか
  • それをやるに至った背景
  • それをやることでどのような効果が期待できるか

などを記載していく。

逆に、以下のようなものは記載しない。

  • 実践例
  • コミュニケーションにおけるオンライン/オフラインどちらが良いかの議論
    • それぞれのメリット/デメリットは必要に感じた場合記載することもある

ただし、このようなテキストコミュニケーションを実践している私の立ち位置が分からないと受け取り方も変わってしまうと思うので前提として私(筆者)の立ち位置だけ記載しておく。

前提

  • テキストコミュニケーションが平均以上に得意な方の人間である
    • Slackを頻繁に確認して未読を潰しがち
    • かなり集中してタスクに取り組む時は流石に離脱する
  • オフラインコミュニケーション(会話)が平均以上に苦手な方の人間である
    • 思考が発話と噛み合わずどもることがある
    • 会話での失敗体験が多くフィジカルに多少の影響が出る
  • 仕事でのテキストツールは主にSlackを利用
    • 他にも利用しているものはあるがSlackでのやりとりを前提とする
    • もちろん他のツールでも実践できるものもある

テキストコミュニケーションでそもそも苦手だった人間との交流そのものをカバーして社会で生きてきた人間と言える。
そんな人間による一意見として読んでもらえると参考になることもあるかもしれない。

記号・絵文字を使う

対面での会話と違ってテキストでは声のトーンや表情といった情報が抜け落ちてしまうため、そこを補強するのが目的。
また「。」で終わる文章は硬く、怖く感じるという風潮がある。最近話題になったものだと(もう今年の初め頃の話題だった)マルハラスメントの話題がある。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2402/06/news162.html
これこそ対面で得られる声のトーンや表情の情報が抜け落ちてしまうことから生じたものなのではないかと考えている。
私自身も発言者の感情が見えず、どちらかというと淡々とつっけんどんな印象を受けやすいと感じる方だ。
なので、「調べてみます。」より「調べてみますね!🙇‍♂️」などの普段会話で使うテンションに近い記号や絵文字を使うようにしている。
ただし、逆に言えば「真剣に受け止めています」という印象を相手に与えられると考えている。
真面目な話をしている時に「わかりました〜気をつけますー!」と返されたら軽視されていると感じやすい人が多いのではないだろうか。
そんな不要な誤解を生まないようにするために「。」を意識的に使う時がある。
また、絵文字は文化圏によって異なる意味合いを持つものもあるので気になる場合は調べてみた方がいい。
業務上で使う機会はなさそうだが、📛が名札だという文化がない地域から「Tofu on Fire」と呼ばれていたことがあったというようなものだ。「📛を忘れずに!」と伝えたら燃え盛る豆腐を持ってくる人がいる可能性はあったのだ。
他にも「,」「.」は使わない。チャットツール上での会話では少数派だと思われる。
少数派が使うものは違和感や場合によっては恐怖心を与える可能性があると考えている。
根拠がありそうなソースを見つけられなかったので記載しないが、読点が多い文章も私は違和感を感じる。
ちなみに「,」や「.」については公文書や技術文書で使われる機会が多いし実際に使われてきた歴史もあった。
https://www.sankei.com/article/20191118-5KEUMNOSDBJCLD5GF7G2S627RA/
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000155681&page=ref_view

絵文字に関しては「おじさん構文」と捉えられやすい使い方を避けるようにしている。
今は年代やインターネットでの空気感からその辺りを察知できているが、いずれその感性が鈍ってくる日も来るのだろうとは思っている。こればかりはインターネットをやり様々な世代の人間を眺めてインプットの手を止めないようにするしかない。インターネットをやるしかないのだ。

余談だが、私は2010年頃から当時のTwitterを始め、当時は語尾に「。」をつけない文章に気持ち悪さを感じていた。
そういった文章に触れる機会がそこまでの人生ではなかったからだ。
しかし全角140字という制約や句読点から堅苦しさを感じることが発生してきて、一番最後の「。」は気づいたらある方が違和感を感じるようになっていた。また、代わりに改行を多用するようになっていった。
しかし不思議なことに、だいぶ定着したと思われる「ら抜き言葉」や「全然〜ある(肯定)」はいまだに慣れない。

列挙する場合に箇条書きを使うようにする

社会人になりたての頃、メールを出す時に

  • 一文が長くなりすぎないようにする
  • なるべく幅が短くなるように改行などでレイアウトを組む

といったことを意識すると読みやすくなると教わった記憶がある。
実際、Web媒体での行長は25文字~40文字程度が読みやすいとまとめているブログもあった。
https://www.asobou.co.jp/blog/web/text-design02
このように行長は可読性の向上に大きな影響を与えているのだと私も考えている。
箇条書きは簡潔に目的をまとめられ、文章が長くなることを防ぐのに使いやすい。
また、メールからSlackのようなチャットツールに連絡手段が移行してきてからはスマホのようなPCより小さめの幅の画面上でやり取りを確認する機会も増えた。
出社したらメールチェックの時代から、起きたらSlackの未読チェックの時代になってきたのではないだろうか。
仕事とプライベートの境界線がグラデーションになってきたようにも感じられる。

話を戻そう。

上記のような文章を読むインターフェースの変化などもあり、一文が長く区切りが分かりづらい「読みにくい」文章は見落とされるリスクも上がったように感じられる。

それを防ぐためにも、私は

  • 先にn個列挙するものがあると明示する
  • その上で箇条書きで列挙する

ようにしている。
文面と実際の文章のレイアウトの2軸で可読性を落とさないように文章を組み立てるようにしている。

より適切な主語の大きさ選び・発信する意見の責任範疇絞り・否定の強弱を心がける

そもそもオンライン/オフライン関係なく伝えたいことの振れ幅はなるべく小さめに、正確に伝えた方がいいと考えている。
それは「どれくらいの規模の人数」の意見なのか、「誰による」意見なのか、情報源はどれくらい信用できるものなのか……と言ったものをできるだけ正確に伝えるように言葉を選んでいる。

たとえば上記の見出しも、

  • 伝える時に誇張しすぎたり矮小にしすぎたりしないようにする(ネガティブ寄り)
  • できるだけ正確に伝えるようにする(ニュートラル〜ポジティブ寄り)

とネガポジを変えるだけで印象が変わるだろう。
他にも「XXが怒るから騒ぐのをやめなさい」という叱り方への違和感などもこれがあるのではないだろうか。
必要以上に騒ぐと周囲の人に迷惑がかかり、結果的にXXは怒る可能性はある。だが、騒ぐのをやめる必要がある理由としては「周囲の人に迷惑がかかるから」であり、「XXが怒るから」ではない。
このようにずれた言葉を選んでしまうと違和感が生じたり結果的に恒久的な問題の解決に繋がらなかったりしやすい。

どのようにテキストコミュニケーションで意識しているかというと、

  • XXならこう言うと思う → 私はこういう意見も出ると思う
     - 憶測系は基本的に自分が責任を持つよう記載する
  • ソースがあるものはソースを記載する
    • 誰の発言か、誰が明記しているのかが分かる情報がやはり説得力がある
  • n次情報のnは小さい方が強い
    • 又聞きになればなるほどに信ぴょう性が落ちていく

オンラインでは特にメッセージ送信時のタイムスタンプや発言のログがより強く影響して、なかなか薄れないように感じている。(メッセージが残る限りは影響が保たれるし時間差で広まっていく)
オフラインでは適当にしても記憶から消えるからマシ、という意見ではなくより慎重にテキストに起こし発信した方がいいという一意見だ。

ポジティブフィードバックは人に見えるところで、ネガティブフィードバックは本人にしか見えないところでする

これはオフラインでも共通だ。会社でそう教わりなるほどなと思ったので実践している。

「負」の発言はあっという間に広まりやすく、影響力も強い。
噂話があっという間に広まったり、いつになっても人が集まるとそういう会話になりがちなことからも分かると思う。
上記の「主語や言葉選びは適切な範囲に絞った方がいい」と根本的には同じである。
人はネガティブな言葉の方が忘れられなくなる傾向にあるのではないかと考えている。実際メンタルをやられてしまう状態の時にはその傾向が顕著に出ているように感じられる。
私は脳科学に明るくないので確かなソースは見つけられなかったが、以下のようなポジティブ思考を生み出すための研究などもあると知ったので共有する。なかなか面白い。
https://www.qst.go.jp/site/q-leap/press220328.html
なのでネガティブなことは済んだなら何度も掘り返さず、ポジティブなことは逆に人前で擦るのがいいなと思っている。
もちろん人前で褒められることが苦手な人や何度も注意をすることによってネガティブフィードバックを認知する人もいるので、そこは相手をよく観察して決めた方がいい。

自分の状況を誰からでも見えるように・なるべく早めに相手に明示する

これはSlackに寄った内容だが、他のツールを利用していても実践できることはあると思うので記載する。

テキストコミュニケーションはリアルタイム性に関してはどう足掻いてもオフラインの会話からは劣る。

オフラインの会話 > オンラインの通話(meetやzoom、Slackのハドル) > チャットツールでのテキストコミュニケーション > メールでのテキストコミュニケーション

リアルタイム性に関しては以下のような強さがあるだろう。左に行くほどにリアルタイム性が高く、右に行くほどにリアルタイム性が低くなっていく。
だがそれを補える機能はツールにもよるが備わっているし、リアルタイム性に劣るからこそ慎重に文章を組み立てたりより詳細な内容を明文化して残し伝えることができると私は考えている。

Slackはステータスや名前の表示欄に現状を記載できるので「今落ち着いてメッセージを読める状況にない」ことや「業務時間外である」ことを示せる。
テキストコミュニケーションにおいて相手の状況や自分の状況を共有し合うことは大事なことで、提示できるならできる限り提示しておくとより円滑にコミュニケーションが取りやすくなるように感じられる。

上記のステータスの話に加えてメッセージにリアクションを押すこと(所属しているワークスペースのリアクション充実度に期待したいが、Slackを運用している会社なら大体はこの辺が揃っていると思われる)も、すぐに反応できない際には役に立つはずだ。
ただしその対応をどう捉えるかは相手や互いの信頼関係に大きく依存してくる。
「あいつリアクション押すだけ押して忘れるのか返事をよくすっぽかすよな……」みたいなことが続けば、いくらすぐにリアクションを押したとしても相手からの印象は悪くなるだろう。
そこは自分の日頃の行動や仕組み作り(リアクションを押したものをブックマークして、ブックマークを定期的に棚卸しする癖をつけるとか)を実践していき、信頼を積み上げるしかない。

上記を実践した上でさらに気をつけること

私は以下の2点を主に気をつけている。

  • 他者にはこれらの配慮を押し付けない
  • メールよりはリアルタイム性があるがあくまでも対話のようなリアルタイム性を担保しているツールじゃないことを意識する

まずは「他者にはこれらの配慮を押し付けない」ことについて。
あくまでも「自分」が快適に感じられた工夫であり、他者がそれをどこまで快適に感じるかは分からない。
そもそもテキストコミュニケーションで生じる負荷は人によって異なるし、どこが相手の負荷につながるかは聞いてみないと分からないし聞いた上で理解できない可能性はある。
分からないながらも実践しようと思ったことは、

  • 他者からポジティブフィードバックをもらえたこと
  • 一般的に不快になる人が少ない、快適にテキストコミュニケーションを実践するのに良いとされていること
  • 自分が快適だと感じたこと

の順番で採用している。

次に「メールよりはリアルタイム性があるがあくまでも対話のようなリアルタイム性を担保しているツールじゃないことを意識する」について。
リモートワークが普及しチャットツールでのコミュニケーションが浸透してきたが、それは24365働けるようになったということではない。
なぜなら人間の体力や集中力が劇的に進化したわけではないからだ。どちらかというとコロナ禍で体力が落ちた人もいるだろう。私もコロナ後にブレインフォグかと思われる症状が出たことがあり、どちらかというと体力・集中力双方が劣化していた時期がある。
またチャットツールの普及により、メッセージを送る側も送られる側も相手の状況を想像する配慮が今までと異なるポイントで更に必要になったように感じている。
メッセージが受け取れる状態かどうかや返事がすぐにできる状態かどうかを明示しやすくなったこともあり、より一層そういったアクションを言外に求められる機会も増えているだろう。
便利になった反面、うまく使いこなせないと互いに誤解を生んだりテキストコミュニケーションそのものに気後れしてしまう可能性があるのではないだろうか。
私は、この便利さを十二分に享受したいし不便な点はできるだけ補っていきたいと思っている。
だから、上記のようなことを実践しているのだ。

これはあくまでも私が快適なコミュニケーションを成立させるために必要に感じ、実践していることである。
だが、何かしら参考になることがここまで読んでくれた人にもあると嬉しい。

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