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Firebase: Cloud Storage、Firestore、Realtime Databaseの比較

2025/02/11に公開

Firebase: Cloud Storage、Firestore、Realtime Databaseの徹底比較

Firebaseは、モバイルおよびウェブアプリケーション開発のための強力なプラットフォームです。本記事では、Firebaseの主要なデータストレージサービスである Cloud Storage、Cloud Firestore、Realtime Database の違いを詳しく比較します。

Firebase プラットフォーム全体の詳細については、公式サイトをご参照ください。

1. 比較表

特徴 Cloud Storage Cloud Firestore Realtime Database
主な用途 ファイル保存と配信 構造化データの管理と同期 リアルタイムデータの同期
具体的な用途例 - アプリ内の画像/動画配信
- ユーザーアップロードファイルの保存
- アプリのバックアップデータ保存
- ユーザープロフィール管理
- 商品カタログ
- ブログ記事システム
- チャットアプリ
- リアルタイムゲームの状態管理
- IoTデバイスの状態同期
データモデル ファイルとフォルダ構造 ドキュメントとコレクション JSONツリー構造
スケーラビリティ 高い(自動拡張) 非常に高い(自動拡張) 中程度(手動シャーディングが必要)
クエリ機能 基本的(ファイル名、メタデータ) 高度(複合条件、ソート) 基本的(単一条件のみ)
オフラインサポート 限定的(キャッシュのみ) 完全(読み書き可能) 完全(読み書き可能)
リアルタイム同期 なし あり(リスナーで実装) あり(自動)
セキュリティルール パスベースのルール コレクション/ドキュメントレベルのルール(非カスケード) パスベースのルール(カスケード)
初期設定の簡易さ 非常に簡単 やや複雑 簡単

2. 各サービスの詳細説明

2.1 Cloud Storage

Cloud Storageは、ファイルの保存と配信に特化したサービスです。

主な特徴:

  • 大容量ファイルの直接ダウンロードURLを生成可能
  • 画像のリサイズや動画の変換機能を提供
  • 高いスケーラビリティと自動拡張
  • Google のインフラストラクチャを利用し、自動的にスケール

使用例:

  • アプリ内で使用する画像や動画の配信
  • ユーザーがアップロードしたファイルの保存
  • アプリケーションのバックアップデータの保存

詳細はCloud Storage 公式サイトをご覧ください。

2.2 Cloud Firestore

Cloud Firestoreは、構造化データの管理と同期に適した、スケーラブルなNoSQLクラウドデータベースです。

主な特徴:

  • 複雑なデータ構造を扱える
  • 高度なクエリ機能(複合条件、ソートなど)
  • 自動スケーリングによる高いパフォーマンス
  • リアルタイム更新とオフラインサポート

使用例:

  • ユーザープロフィール情報の管理
  • Eコマースサイトの商品カタログ
  • ブログ記事システムのデータ管理

詳細はCloud Firestore 公式サイトをご覧ください。

2.3 Realtime Database

Realtime Databaseは、リアルタイムデータの同期に特化したNoSQLクラウドデータベースです。

主な特徴:

  • データの変更をリアルタイムで同期(ミリ秒単位)
  • シンプルなJSONツリー構造
  • 高速な読み書き操作
  • オフラインサポート:ネットワーク接続がなくてもアプリが機能

使用例:

  • チャットアプリケーション
  • リアルタイムゲームの状態管理
  • IoTデバイスの状態同期

詳細はRealtime Database 公式サイトをご覧ください。

3. スケーラビリティについて

スケーラビリティ(拡張性)とは、システムが増大する負荷や要求に対して、性能を維持しながら対応できる能力のことです。

  • Cloud StorageCloud Firestore は自動的にスケールするため、開発者側で特別な対応は不要です。
  • Realtime Database は、大規模なデータセットを扱う場合、手動でのシャーディング(データの分割)が必要になる場合があります。

アプリケーションは、データ量/負荷に応じて2つの経路に分かれます。

  • データ量/負荷が少ない場合:
    • 自動スケーリングが適用されます。
    • Cloud StorageとCloud Firestoreが適しています。
  • データ量/負荷が多い場合:
    • 手動シャーディングが必要になる可能性があります。
    • この場合、Realtime Databaseの使用が考えられます。

4. セキュリティルールについて

セキュリティルールは、データへのアクセスを制御するためのFirebaseの機能です。

  • Cloud StorageRealtime Database は、パスベースのルールを使用します。
  • Cloud Firestore は、コレクションとドキュメントレベルでルールを設定します。

カスケードとは、親ノードのセキュリティルールが子ノードに自動的に適用される仕組みです。

  • Realtime Database はカスケードをサポートしているため、親ノードのルールを設定すると、その下のすべてのデータに適用されます。
  • Cloud Firestore はカスケードをサポートしていないため、各レベルで明示的にルールを設定する必要があります。

5. まとめ

Firebase の各サービスは、それぞれ異なる用途に最適化されています。アプリケーションの要件に応じて、適切なサービスを選択することが重要です。

サービス 最適な用途
Cloud Storage ファイル管理
Cloud Firestore 複雑な構造化データの管理
Realtime Database リアルタイム性が重要な場合

初心者の方は、まず Cloud Storage でファイル管理を、そして Realtime Database か Cloud Firestore でデータ管理を始めるのがおすすめです。アプリケーションの規模や複雑さに応じて、適切なサービスを選択できます。

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