儲からない個人サービスの作り方と続け方
儲からない個人サービスの作り方
人々が個人サービスを作るときに最も心配になることといえば「もしこのサービスが儲かってしまったらどうしよう」ということだ。
それは、あなたが福沢諭吉や渋沢栄一のことが嫌いだったり、もしくは会社で副業を禁じられていたり、理由は様々だが、とにかく個人サービスで儲かりたくないという気持ちは誰しも持ったことがあるのではないだろうか。
そんな心配性の読者諸兄を安心させるために、儲からない個人サービスの作り方を伝授したいと思う。
広告を貼らない
まずいちばんお手軽なマネタイズ手法として「広告を貼る」ということが挙げられる。
逆に言えば広告を貼らないと、おおよそ儲からないのである。
「どうせ大した利用者数にはならないだろうし、広告を貼っても金銭的利益は微々たるものだ。それに広告を貼ったらサービスの美観を損ねる」と思い込んで広告を貼らないと、かなりの高確率で儲からない。
ニッチなサービスを作る、しかも toB でもない
個人サービスを作る動機の上位にランクインするのは「自分がほしいと思ったサービスがまだ世の中にないから」だ。
たいてい、多くの人々がほしいと思うようなサービスは世の中にすでに存在しているので「まだないサービスを作る」となると利用者は相当に限られる。
しかも自分がほしいということは、おそらく toB ではなく toC ということだ。
toB であればニッチでもマネタイズの手段はいくつか考えられるが、ニッチな toC のサービスというのはまず儲からない。
しかし、世の中にはニッチな toC サービスなのに定額課金などで安定した収益を上げているところもあるので、これだけで安心してはいけない。
運営者情報を出さない
あなたが最近課金したサービスを思い出してほしい。
それはすべて運営者情報がしっかりと表示されていて、課金をすればそれ相応のサービスを受けられると思ったから課金したのではないだろうか。
つまり運営者情報が全く不明で、なんの意図でこのサービスをやっているのかも不明で、営利性が全く見えず、継続的なサービス運営が期待できるのか不安なサービスには人々は課金しないのである。
運営者情報はなるべく隠すこと。
興信所を使っても特定できないくらいに運営者が不明だと、万が一にも石油王などからアマギフを受け取れる機会がなくなって良い。
ハンドルネームくらいは出しても良いが、その名前で Google 検索しても何も情報がわからないのが好ましい。
つまりハンドルネームは一般名詞にするか、もしくは桁数の少ない数字なども選択肢に入れたい。
コンタクトフォームは Google Forms などで用意し、少しでも金の匂いがする連絡が来たら即座にゴミ箱に入れると良い。
アプリは PWA で作る
俺たちが大好きな PWA。
しかし残念なことに、いや嬉しいことに、多くの利用者は PWA のことをよくわかっていない。
それどころか、サービス提供側(特に俺)も PWA のことをよくわかっていない。
App Store や Goolge Play にアプリを出せば、多くの利用者にとってインストールがしやすいが、PWA でアプリを提供するとインストールハードルが俄然上がる。
本当は PWA のほうがインストールが簡単なような気もするが、一旦そのことは忘れよう。
なるべく PWA のインストール手順などを紹介せず「PWA くらいわかってるでしょ?」というテイでサービスを提供すると、テクノロジーに長けた利用者だけが使えるようになり、儲かりにくくなる。
さらに PWA での課金は、App Store や Google Play で配布するアプリと違って提供者も利用者も経験した人が少なく、ハードルが高いので儲からない。
儲からない個人サービスの続け方
儲からない個人サービスを作りたいとはいえ、すぐに閉鎖したいわけではない。
サービスは長く継続したいものである。
それについてのノウハウも書き記しておく。
本業で稼ぐ
もしあなたが本業を持っており、給与などを得ているのであれば、それによって生活を維持する。
これによって、個人サービスが利益を上げていなくても全く問題がなくなる。
勤め先があるというのは素晴らしいことで、よっぽどのことがない限り毎月の給与は支払われ、日々の生活はそれによって賄える。
個人サービスで生活できるレベルの利益を出すのは難しいし、収入が不安定になることも多いので、定額の月収があるというのは大きなアドバンテージである。
もしあなたが学生の場合であれば、作った個人サービスをポートフォリオにインターンに行くのも良い。
本業にしろインターンにしろ、個人サービスを作っている経験は必ず仕事に活きるはずだ。
可能であれば裁量労働制などで、個人サービスに時間を割きやすい勤務形態であると好ましい。
無料のホスティング環境を利用する
Vercel や Cloudflare Pages など、無料枠のあるホスティング環境を利用する。
これでもしあなたが生活苦に陥っても、運営費が無料であれば、どんなに儲からないサービスでもそれを閉じる必要がない。
こういったホスティング環境の無料プランは、営利目的の利用が禁止されていたり、個人サービスでの Google Adsense の利用の可否のようなラインが微妙なこともあるが、なにせこちらは一切のマネタイズをしていないので堂々と利用ができる。
無料枠の利用量に収まるようにチューニングをすると技術力も高まって良い。
また、サービスを企画するときにも、まず無料枠で実現できる規模のサービスを考えるようになり、いかにも個人サービスらしい個人サービスを作れるようになる。
俺の人件費は無料!
儲からない個人サービスを続けていると、こんな悩みが出てくることもある。
「この儲からない個人サービスに充てている時間を、もっと他のことに充てれば、もしかして若いうちに FIRE できるのでは…?」
この煩悩は直ちに唾棄すべきものである。
個人サービスを作って運営を継続する人間というのは、FIRE しても個人サービスを作るタイプなのである。
そのため FIRE したあとに個人サービスを作るか、FIRE する前に個人サービスを作るかの違いで、大きな差はない。
自分の人件費を計算しそうになったら、すぐに「俺の人件費は無料!」と三回唱えてからエディタを開いてサービス開発を続けよう。
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Discussion
すごく面白い記事でした(=^▽^=)
読んでいて楽しかったです(´˘`*)