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(社内向けの)勉強会の作り方

2024/02/20に公開

はじめまして、nawoto です。

今回は、勉強会を企画するときに考えておきたい視点について書いてみました。

はじめに

勉強会は、知的好奇心を満たし、スキルアップを図り、同じ興味や志を持つ人々と繋がる絶好の機会です。学び方は自由であるべきですが、部署内で実施される社内勉強会では、自由度の高さゆえに企画に悩む原因となることがあります。今回は、依頼された社内勉強会を例に、企画の方法について解説します。

勉強会の依頼がやってきた

ある日、他部署からアジャイル開発に関する勉強会の依頼がありました。依頼の主な内容は、スキルアップとアジャイル開発への理解を深めることです。僕の所属するURBAN HACKSではアジャイル開発が進んでいますが、会社全体としてはまだ新しい試みです。

依頼内容を詳しく聞くと、参加者のスキルレベルに幅があり、一部のメンバーは私が監訳に携わった「アジャイルサムライ」を読んでいることもあり、基本的な内容より実践的な知識と失敗からの学びを求めていることがわかりました。

これまでの経験を振り返ると、アジャイル開発の実践経験が少ない段階で「教科書的な内容は不要」「実践的なノウハウ、失敗事例などを聞きたい」という要望はよくあります。

さて、皆さんはどのような勉強会を企画しますか?

何のために集まるのか

勉強会を企画するうえで、まず目的を整理することが重要です。

勉強会に必ずしも目的を設定すべきとは限りません。特に、有志で集まってボトムアップで運営する勉強会は、自由に進めるべきです。運営メンバーが楽しく続けている勉強会が最良です。

一方で、社内勉強会のような組織活動としての勉強会では、人を集めてまで達成したいことがあるはずです。

この依頼では、メンバーのスキルアップのために定期的に開催されているものでしたが、僕に依頼した背景や期待していることなどを確認しました。結果、以下のようなことが明らかになりました。

  • 自分たちの部署では、最近、アジャイル開発で進めるプロジェクトが増えてきている。
  • 今後、そうしたプロジェクトを円滑に進めるためには、何らかの学習が必要だと考えています。

今回のケースでは、目的は「今後、アジャイル開発を実践していく際の躓きを減らす」と設定しました。

目的達成に向けて

目的が「今後、アジャイル開発を実践する際の躓きを減らす」ことに集中し、参加するメンバーを実践経験がない初学者だと設定することで、勉強会では次のアプローチを取りました。

  1. 基本の理解: 参加者全員に「アジャイルサムライ」の第一章「ざっくりわかるアジャイル開発」を事前に読んでもらい、アジャイル開発の全体像を把握し、メンバーの基礎知識を揃えます。
  2. 不安の解消: 読んだ内容に基づき、実際に自分たちでプロジェクトを実践する際の疑問点や不安を共有し、インタラクティブなディスカッションを通じて解消します。これにより、理解を深め、実践への自信を高めます。

この方法により、参加者はアジャイル開発についての全体像を把握し、実践における初歩的な不安を解消することが期待されます。最終的には、チーム全体がアジャイル開発をスムーズに進めるための共通の基盤を築くことを、勉強会が終わった後の状態にすることとしました。

アジャイル開発の全体像についての理解が揃っていない状態でプロジェクトを進めるのは困難です。「アジャイルサムライ」の第一章は、アジャイル開発の全体像を掴むのに適したコンテンツです。これを基に、全員が一通りの同じ情報をインプットできる状態にすることで、プロジェクトへの参加時に知識レベルが揃っている状態を目指しました。そして、既に本を読んでいるメンバーもいるため、実際のプロジェクトで実践する際の疑問や不安を事前に書いてもらうようにしました。これにより、本を読んだ人でも再度読む動機を作り、知識レベルを揃えることができます。

勉強会の当日は、事前に書いてもらった疑問点や不安を講師が解説しながら、参加者から追加の質問やどういう背景で不安に感じているかを話す構成にしました。他の人の意見に触れることで、より多くの初歩的な疑問点や不安を解消し、最初の躓きを減らして実践しやすい下地づくりができると考えました。

まとめ

組織活動として行なう社内勉強会では、みんなが集まるだけの目的があるはずです。今回の例のように、参加者からの直接的な希望だけでは見えてこないことが多いので、依頼の背景や組織として達成したいことに注目してみましょう。

そして、組織として達成したいことは一回の勉強会ではなかなか達成できません。達成したいことに近づけるための最初の一歩として何が必要かを考えてみましょう。その際には、具体的な参加者像を考え、参加者中心に設計してみてください。

ぜひ、楽しく有意義な勉強会を企画してみてください。この記事が、皆さんのヒントになれば幸いです。

東急URBAN HACKS

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