「インフォーマル・パブリック・ライフ 人が惹かれる街のルール」の輪読会に参加してみた
URBAN HACKS内で開催された「インフォーマル・パブリック・ライフ 人が惹かれる街のルール」の輪読会に参加しました。今回はその学びや感想を輪読会の様子とあわせてお伝えできればと思います!
実は本を選定したのが自分ではないため選定した方に理由を伺ったところ、「この本のテーマがまちづくりに関わる者としてとても面白そうだったから」とのことでした。実際読んでみてかなり面白かったです!
輪読会の形式
今回の輪読会は以下の流れで実施しました。
- 各自で事前に本を読んでおき(読みきれなくてもOK)、印象に残った内容をオンラインホワイトボードのMiroに書く
- 当日1人ずつ書いた内容とその理由を発表しつつ、わいわい雑談する
参加者の職種はバラバラで、オフィスとリモート合わせて計6人 90分という枠です。だいぶ色々話せて楽しかったのでちょうど良い規模感だったなと思いました。
学び・感想
インフォーマル・パブリック・ライフに必要な「第三の場」
まず本のタイトルにもあるインフォーマル・パブリック・ライフとは以下です。
インフォーマル・パブリック・ライフとは、肩書や社会のコードから一旦離れ、リラックスし、自分らしくいられる場のことである。
飯田美樹. インフォーマル・パブリック・ライフ 人が惹かれる街のルール. ミラツク, 2024, 31p.
「家庭」と「職場」以外に人と出会える「第三の場」での経験がインフォーマル・パブリック・ライフと言えるとも述べられています。
初めは少しピンと来ていなかったのですが、私の趣味がボルダリングなので、ボルダリングジムで共通の趣味の知人や知らない人と話すのが近い雰囲気なのかなと思うとスッと理解できました。
そういった場所では、家庭や職場とはまた違った気持ちでいられますものね。
この「第三の場」については、経済産業省が公表している「未来人材ビジョン」の中でもサードプレイスとして必要性が提案されています。
教員に探究や研究を指導する役割が期待されてこなかった中、 学校だけに多くの役割を求めるのは現実的ではない。 学校の外で多様な才能を開花させる「サードプレイス」を広げるべきである。
経済産業省. 未来人材ビジョン. 令和4年5月, https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf#page=83
教育の話なので本と文脈は異なるのですが、多様な他者と協働して新たな価値を創造できる人材を育成するために、家庭と職場・学校以外の場も活用していこうという話のようです。
日常の中で多くの時間を過ごす家庭や職場・学校以外の場があることで、精神的な充足感や新たな刺激、経験を得られ、より充実した生活が送れる。そんな「第三の場」の大切さを知ることができました。
徒歩で移動しゆっくりできることが街に活気を与える
街に活気を与えるには、限られた日にイベントを打って来訪者数を一時的に増やすことよりも、訪れる人々の足取りをゆるやかにさせ、そこに長時間滞在してもらうことのほうが容易で効果的であり、持続可能な方法なのだ。
飯田美樹. インフォーマル・パブリック・ライフ 人が惹かれる街のルール. ミラツク, 2024, 333p.
これはなるほどなと思いました。たしかにイベントで惹きつけ続けようとすると何らかのイベントを開催し続けなければなりませんが、それはなかなか大変です。
それよりかは気軽に休めるカフェやベンチなどがあり、その場に滞在しやすくすることで結果的に人が集まるという形を目指す方が持続しやすそうだなと感じました。
また、インフォーマル・パブリック・ライフを生み出すルールの1つとして徒歩を意識し歩行者空間化することが挙げられており、面白い点だなと感じました。
現代には様々な移動手段がありますが、目的地に向かいつつもちょっとした寄り道がしやすいというのは徒歩ならではです。
目的地に着くまでに思いもよらない体験ができるかもしれませんし、見知った街でも休憩がてらカフェに入ったりちょっとした軽食を食べるスペースがあったりすれば、ゆったり過ごせる魅力的な街に感じそうだなぁと思いました。
憧れの郊外暮らしは当時の労働環境や宗教観に関係していた
個人的にかなり面白いなと感じたのがこれです。
たしかに郊外で暮らすということが憧れの暮らしの形の1つという漠然とした印象を持っていたのですが、元を辿ると昔の富裕層のライフスタイルがこうだったからというのは驚きでした。
郊外に住む当時の目的の1つに、あえて都市の娯楽から切り離した場所に住みたいという点があったようです。(娯楽から切り離したいというのは宗教思想に関係している)
ただ、それにより社交がなくなったわけではなく、自宅に人を招いてお茶会を開き交流しており、ある程度の社会的地位があるからこそ集客もできていたようでした。
ここは私が想像する現代の郊外暮らしのイメージとは少し違うなと感じました。郊外暮らしであってもインフォーマル・パブリック・ライフを生み出す環境はあった方が現代においては良いのかなと想像します。
まとめ
他にもスナック巡り常連の方によるスナックの魅力訴求にみんなが興味津々になったり、本の中でオープンカフェの必要性の話がある点から派生してオープンカフェ巡りしたいねという話が出たりしました。
また、アメリカに住んでいたときの体験・気持ちが言語化されてたという感想が出たり、自分の子供が喜ぶ公園の話で盛り上がったり(本の中に人の集まる公園の話が出てきます)と、とにかく本の内容をベースに色々な話題で終始盛り上がって、たっぷり会話できました!
まちづくりについての本ではありますが、個人的には街に限らず何かの場作りをするときにも活かせる要素がありそうな内容だなと思いました。
例えば数や量より時間や質を高める方が持続可能で効果も高いという観点は輪読会などの運営にも活かせるのではないでしょうか。
また、まちづくりがテーマの本でこれだけ盛り上がれたのは「東急グループの資産をハックして、より豊かな暮らしをつくる」をテーマに掲げて立ち上げたURBAN HACKSならではだなと感じました。
輪読会の案内があったときに「URBAN HACKSだと盛り上がりそうな本っぽいなー」と思っていたのですが、実際に読んで輪読会に参加してみると想像以上にそうだったなと感じましたし、とても楽しかったです!
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