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Microsoft Azureの入門書「Azureの知識地図」を出版します! 〜 経緯と内容の紹介

に公開

はじめに

この度、技術評論社の「知識地図」シリーズで、Microsoft Azureの入門書「Azureの知識地図」を出版することになりました!2025年5月13日発売予定です!

Azureの知識地図〜クラウドの基礎から実装・運用管理まで(技術評論社サイト)

本書は、Azureを初めて学ぶ方や、これからAzureを使い始める方に向けて、Azureの基本的な概念やサービスをわかりやすく解説しています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4297149036

本記事では本書刊行までの経緯や本書の内容についてご紹介します。

経緯

本書の出版経緯について少しお話しします。
2023年の初めに、OpenAI社とMicrosoft社のパートナーシップにより、Azure上でOpenAIのモデルを使うことができるAzure OpenAI Serviceが一般提供されたのは記憶に新しいところです。
このサービスはセキュアにOpenAIモデルが使えるという特性から特に企業ユーザーから注目を集めました。特にいままでAzureを使ったことがないユーザー層からもAzureに対して関心が寄せられ、私も仕事で「Azureとは」という基礎的な部分からお話をする機会が増えました。

時を同じくして私は会社の同僚数名と技術同人誌イベント「技術書典」に参加し、Azureをテーマにした「Azure MixBook」という名前の同人誌を執筆しました。(技術書典サイト
これはMixBookの名前の通り、著者陣がそれぞれの得意分野を活かして、Azureの様々なトピックを紹介する内容になっています。簡単にいうとAzureの文集のようなもので、2023年から現在までに4巻を発行しました。
実際に私も会場で売り子をしてお客様とお話をする機会がありましたが、その中で「トピックタイトルは面白そうだけどAzureについての基礎的な知識がないから・・・」と購入を諦められる方々にお会いしました。

このような主に2つの経験から23年の秋くらいにAzureの入門書を執筆したいなと思いはじめます。
https://x.com/07JP27/status/1723680719837495722

ただ、この時は出版社にコネクションがあるわけではなかったので、まずは次の技術書典でAzure入門本を出そうと決意し、「Takeoff into Azure」と命名して執筆を始めます。
このタイミングでAzure MixBookの著者陣の中から6名の有志に加わってもらい、各人の専門分野を手分けして執筆していきました。(この時の自分に「200ページなんかじゃ足りないよ」と教えてあげたい)
https://x.com/07JP27/status/1724023014952718508

そして、2024年最初の技術書典で「Takeoff into Azure」を刊行することができました。
https://x.com/07JP27/status/1790948323781935195

その頃、奇しくも技術評論社の編集者から「知識地図シリーズでAzureの入門書を執筆してほしい」とお声がけいただきました。
願ったり叶ったりのお申し出だったので、すぐに著者陣と相談しTakeoff into Azureをブラッシュアップした「Azureの知識地図」を執筆することに決めました。

その後開催された技術書典で「Takeoff into Azure」を販売したところ、比較的高額にもかかわらず用意した部数全て完売しました。
https://x.com/07JP27/status/1794678640434983156

Takeoff into Azureのキャッチコピーは「本もあなたも自立する」
https://x.com/Kusayan_k/status/1794574657292808395

技術書典でTakeoff into Azureの販売を続けてしまうと自己競合になってしまうので、出版社と協議の上Takeoff into Azureは初版の印刷部数をもって販売を終了することになりました。
ただ、この時は本当にAzureの知識地図が出版できるかどうかもわからない段階だったので、理由をお伝えできず「買えなかった」という投稿を数名拝見しとても心苦しい思いをしていました。
https://x.com/07JP27/status/1799725361208635480

そして、このたび無事に「Azureの知識地図」を脱稿し、2025年5月13日に全国発売されることになりました🎉
Takeoff into Azureの終売から約一年が経ってしまいましたが、その間に内容をブラッシュアップし最新情報を盛り込んで、商業誌クオリティにレベルアップさせることができました。
https://x.com/07JP27/status/1912325181877649636

内容

それではAzureの知識地図の内容についてご紹介します。
本書は「クラウドとは」という基礎的な内容から始まり、読者がこの先も変化するであろうAzureのサービスを理解することができるような構成になっています。

第1章 クラウドサービスとAzureの基礎

この章ではAzureに限らないクラウドサービスの基礎と、Azureの概要や「なぜAzureを選択するか」というような技術的というよりはビジネス的な観点からの説明をしています。

第2章〜第4章

2〜4章では「IaaS/PaaS/運用」という3つの観点からAzureのサービスの全体像を紹介しています。
特にこれらの章は「やりたいこと」ベースで目次立てしており、索引的に使うこともできるようになっています。
サービスによっては複数のやれることにまたがっている場合があるので、どこの章に載せるかは特に悩みました。

  • 第2章 AzureのIaaSを知ろう
    • Azure上にネットワーク環境を作りたい
    • Azure上に仮想マシンを立てたい
    • Azureとオンプレミスネットワークを接続したい
  • 第3章 AzureのPaaSを知ろう
    • Web上にアプリケーションを作りたい
    • データを保存したい
    • サービス間を連携したい
    • 分析をしたい
    • IoTをしたい
    • AIを使いたい
  • 第4章 Azureでシステムを構築・運用しよう
    • セキュリティ,ガバナンスを強化したい
    • 運用と管理を効率化したい

https://x.com/kongou_ae/status/1919662219299557762

第5章 Azureの知識の深め方を知ろう

本書の概要などにも記載していますが、「本書を読んでAzureをマスターできる!」とは思っていませんし、そのように構成もしていません。
それには理由が2つあり、1つはAzureのサービスが多すぎて、マスターするレベルを求めるなら、ある1つのサービスだけでも書籍が1冊できるほど内容があるということ、そして2つめに「Azureは変わり続ける」ということです。
これはAzureに限らないことですが、クラウドサービスは日々進化しており、新しいサービスが次々とリリースされているため、常に最新の情報をキャッチアップする必要があります。
そのため、Azureの知識を深めるための情報収集の方法や、Azureの最新情報をキャッチアップするための情報源を紹介して、一通りAzureの基礎を本書で抑えたあとに読者が自立学習をしたり、スキルアップできるようなガイドを最後に添えています。

付録

特に私のおすすめコンテンツは巻末・巻頭付録の折込"地図"付録です。
これは商業誌でないと実現できない形式の表現で、"Azureの知識地図を読むための地図"となっています。
https://x.com/07JP27/status/1918844873936945464

発売前に献本させていただいた方からも折込付録についてポジティブなフィードバックをいただいています。
https://x.com/dahatake/status/1919571438190919770

https://x.com/yuma_prog/status/1919737371634860389

おすすめの対象読者

本書は入門書という位置づけですが、Azureの全体像を把握するための「地図」としての役割を果たすことで、以下のような様々な立場の読者に役立つと考えています。

  • 最初のクラウドにAzureを選んだ方
  • 新入社員や部署異動などでAzureを使うことになった方
  • AWSやGCPなど他のクラウドサービスを使っていて、Azureを使う必要が出てきた方
  • すでにAzureを一部分使っていて、網羅的にAzureを学びたい方

本書の制作にあたり特に考えたポイント

ここでは少し著者目線に立って、本書を制作するにあたって特に熟慮したポイントを紹介します。
もしこれを読んでいる方が書籍を執筆することになった場合の参考になれば幸いです。

ストーリーテリングを意識した構成

本書に求められるのは全体を俯瞰するという性質です。しかし、全体を網羅するとなるとどうしてもただの用語集やサービスカタログになりがちです。
本書では全てを網羅しつつも、Azureを知らない読者が「Azureを学び自立学習できるまで成長する」というストーリーを意識して構成しました。
地図は地図でも「頂上を目指す」というゴールがある ”登山地図”のような役割になれるように意識しました。

もっとも分かりやすい部分は2,3章で個々のサービスを習得した後に、4章でそれらを組み合わせてどのようなソリューション(エンドユーザーへの価値)を提供できるかのアーキテクチャを紹介している部分です。
点として存在していた個々のサービスがつながり、面になって価値あるものが生み出される部分は特に意識して構成しました。

現場のリアルな経験を反映

本書の各章の執筆はそれぞれの分野の専門知識と豊富な経験を持つ著者陣が担当しています。
多くの現場やシナリオを経験してきた著者だからこその内容もふんだんに盛り込まれています。
特に繰り返しハマったポイント、何回も同じような質問を受けたポイント、実際に説明した時にウケが良かった表現など、現場のリアルな経験を反映した内容になっています。
内容のレベル的には入門書で、綴られた文章はシンプルかつ平易でも、各著者の経験に裏打ちされた重みがあります。

類似サービスの比較

例えば「プライベートエンドポイントとサービスエンドポイント」や「Event GridとEvent Hub」など、Azureには名前や機能が似たようなサービスが存在します。
ただでさえ右も左もわからない初学者なのに、さらにそれを惑わそうとする状況になります。しかしそれらは異なる特性を持っているからこそ別々のサービスとして存在しています。
本書ではそれらのサービスの違いと共通点を明確にし、どのようなシチュエーションで使うべきかを解説することも意識しています。
中身を理解すると「だからそういう名前なのね。使い分け完全に理解した。」となるはずです。

最後に

本書の刊行にあたり、多くの方々にご協力いただきました。

  • 共著者のみなさん
  • レビュアーのみなさん
  • 技術評論社の編集者のみなさん
  • 書評を書いていただいたみなさん
  • 行き詰った時にリフレッシュに付き合ってくれた友人、犬と猫たち
  • そして、Azureの知識地図を手に取っていただいたすべての方々

ありがとうございます!!!
5月13日に全国の書店でお目にかかれることを楽しみにしています👋
https://www.amazon.co.jp/dp/4297149036

いただいた書評の数々

以下のスクラップにまとめています。購入を検討されている方はぜひご覧ください。
https://zenn.dev/07jp27/scraps/ba70cd967b66e5

余談

私は普段地方からリモートで仕事をしています。
コロナ禍では基本的にオンラインでイベントが開催されていたので気になりませんでしたが、行動制限が解除され始めた頃から時折学習機会の格差を感じたことを記憶しています。
IT系のイベントは他業種に比べると運営の方々の尽力によりオンライン環境なども整っていますが、それでもやはり地方と都市では学習環境に差があると感じています。
そのような状況を身をもって体感してきたため、ストック型でかつ商業誌という形で全国どこでも入手できる本書を執筆することができたことはとても嬉しく思っています。

余談の余談ですが地方の学習格差を無くしたいと思って始めた、全国行脚をしながらAzureに関する勉強会を開催するコミュニティも共同主宰しているので、ぜひご興味があればチェックしてみてください。

https://jat.connpass.com/

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