IT(にいかしたい)読書記録「印鑑の基礎知識」
著者: 金融実務研究会
発行所・販売: 株式会社きんざい
概要
ハンコの歴史や、使われ方の変遷などの書籍なのかと思って手に取りました。
が、
実際には印鑑の法的有効性や、実印に関する制度、近年の電子証明書などについての本です。著者も司法書士や弁護士をはじめとした、その方面に詳しそうな方々で構成されており、そもそもとして著者らが所属するグループ「金融実務研究会」名義で出版されています。
実印や印鑑証明は小さいころに両親から「なくしちゃいけない」「なくしちゃいけない」... と何度も聞かされたような気がします。法的側面からの解説は、難しいですが面白くもありました。
印象に残ったところ
IT関連として、最終章にある「電子証明書・電子署名」が気になっていました。
この概念、入門的に説明するのが難しいところだと考えています。抽象化しすぎると実態がつかめないし、具体的すぎると小難しくなるからです。
そう思って本章をみると、以下のような表が紹介されていました。
P131 表7-1 印鑑登録制度と電子認証制度より抜粋
紙の文書の場合 | 電子文書の場合 |
---|---|
実印の押印 | 「秘密鍵」を使った電子署名 |
なるほどと思いました。電子認証の主要要素は、アナログな印鑑のシステムに対応付けられるんですね。表の左側がある程度わかっているなら、右側の概念を受け入れやすそうです。(ちなみに電子証明書の取得、は何に相当するかわかりますか?)
なんとなくデジタル特有な気がしていましたが、そもそもアナログ時代にも同じ悩みはあったはずで、その時の解決策がデジタルでどう実現されたか、という視点で見ると、結局対応表を作れるということでしょうか。
章の最後に、押印の廃止が進む中での「電子契約」の普及について、「受注する企業にとって書類を作成する手間が省け(中略)書類による契約に慣れた官庁側に電子契約の経験が少なく、従来通りになるケースが多いようです。本格的な『脱ハンコ』社会の実現へのハードルはまだ高いのかもしれません」とありました。
2022年の本ですが、2024年の現状はどうなのでしょう。
電子契約について調べてみることにしました。2024/1月のデータがあります。
総務省の資料 組織における文書の電子化又は
DXに係る課題によれば、企業の電子契約利用率は77.9%。コロナ禍での増加が一服した模様。検討中の10%がどちらに転ぶのかが気になりますね。
こういうところもコロナの影響が数値ででるんだなぁという感想を持ちました。
また、調べていたら、「調達ポータル」なるものがヒットしました。
政府の調達情報などを閲覧したり、事業者が入札したりするためのものの様です。デジタル庁案件っぽいですね。体制としては整っていると理解しました。デジタル庁の施策などは調べたこともなかったので勉強になりました。
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