ITに活かしたい読書録 「知ってたのしい! 鉄道の信号」
基本情報
著者: 土屋武之・栗原 景・伊原 薫
出版: 交通新聞社
概要
電車がぶつからないための仕組みと歴史について解説している本。非常停止装置であるATSについても、戦前からの歴史と紆余曲折が語られていて、期せずして面白かったです。
印象に残った章
Automatic Train Stop (ATS)の歴史の話が一番い印象に残りましたが、そもそも鉄道がぶつからないための仕組みとしての「閉そく」をまなべたのは大きかったです。たしかに言葉を知ってからwikipediaなどを見てみると細かく解説されてはいるのですが、そこにたどり着くきっかけが自分にはありませんでした。
ざっくりいうと、路線を細かい区間に分けて、その中にはかならす1編成以下の電車しかいないようにする、ということの様です。そのために信号もあるとのこと。わたしはなんとなく前の電車近いから赤にしてるのかなと思っていましたが、厳密な基準はそりゃありますよね。区間に電車がいなくなったらその区間の入り口の信号は緑。いなくなってすぐなら黄色といったようなルールと理解しました。
しかもこの閉そくの概念は自動信号がない時代からあるもので、その頃は運転士が穴の開いたタブレットを駅と駅の間で運んでいた、という記述がありました。正確に意図を組めませんでしたが、「A駅を発車する電車にタブレットA1を持たせ、B駅の駅員が到着時にそれを受け取り、A駅の駅員とタブレット称号をする→称号出来たら、確かに先ほどA駅を出た電車ですね、と確認できる。この確認ができるまでA駅から電車を発車させない」という運用だったのかな、と想像しています。
当然のことながら、通過する電車にこの運用を適用して大変だった、という話でした。
話をATSに戻すと、印象に残った理由は、「こういう事故があってこういう機能ができた」「こういう事故があってこういう改善が加えられた」というスタイルでの解説で、発展の歴史を追うことができたからです。やはり数々の事故をへているようで、中には「三河島事故」のような悲惨な事故も紹介されていました。
また、昭和の終わりごろまでは、前の電車への接近のアラートが出ても、警報音を運転手がOFFにできてしまうという、強制力の弱い機能だったようです。これまた衝突事故を経て、乗務員の操作によらず確実に停止させる方式のATSの実装が急がれたとのこと。
感想
運用中のシステムで、すべてのエラーをSNS通知で警告をだしていた時期のことを思い出しました。最初こそすぐ原因解析をしていたものの、機能の修繕が進んで重要度の低いwarningのSNS通知の占める割合が増えてからというもの、オオカミ少年的なシステム監視になっていたという話です。当然のことながら、「warning出ているけどどうせ大丈夫でしょ」という気持ちになり、重要なエラーを見逃しました。
かたや初期のATS(自動停止ではないかもだが)は警告をだすだけで、しかも乗務員には過剰に感じられるものも多く、結果的に無視して事故につながっていたというお話です。
二つが重なりました。
必要な警告のみ出すべきだし、出た警告はすべて手順通りに対処すべきですよね。
無理やり重ねました。
Discussion