IT(にいかしたい)読書記録「ヘンな研究 世界のトンデモ学問19選」
基本情報
著者: 五十嵐杏南
出版社: 中央公論新社
概要
一般人目線からすると突っ込みたくなるような研究を紹介している本。
前書きにあるように、あくまでその背景を知らない一般人目線からするとそう見える、というのがポイントで、その地域や学問分野、社会制度のなかでは注力するのも当然。生活の一部である場合もあるそうです。
たしかに国内を見ても、いろんなメーカーやサービス業の会社に「研究所」がありますものね。ほかの業種の人から見たらなんの研究?となるものも中にはありますし。
仕事で今書いているプログラムも、自分ごとだからこそ冷静ですが、別の業界の別職種の人から見たら全然意味不明なんだなと、再認識するに至りました。ニッチな処理も書いています。
印象に残ったところ
基本的に面白いなかからおすすめのところを。
Part1より「テーマ空間学」
ディズニーワールド、ユニバーサルスタジオなどのテーマパークを擁するオーランドから近いフロリダ大学では、「テーマ空間統合修士プログラム」なるものがあるらしく、テーマパーク、レストラン、カジノなどの空間の演出や建築を扱うそう。
ディズニーのアトラクション企画をしてきた建築家がけん引する。自身の専門をテーマパークへ生かしたいと考える学生が集まるとのこと。
テーマパークならではの特徴として、例えば下記のようなことが紹介されていた。
- 火災の対策は常に考慮が必要
- 木材が建材としての適さない場合も、演出上木材が必要になることがある。客の手が届く場所は本物の木材を、届かない場所は見ためだけ木材の、異なる建材を使用するなど対案を実行する
- テーマパークではたくさんの専門知識が必要なので、分野横断でたくさんの人とのコミュニケーション力が問われる。
プログラム開始から3年間で、120人のゲストスピーカーを迎えた、とのことで、立地ならではなのだろうなと思いました。
地域の特色を生かした学部ですね。
テーマパークならではの知識がほかにもたくさん書かれていて意外性ばっちりでした。
Part3より「大麻の化学分析」
北ミシガン州立大学では、2017年から、大麻について重点的に学ぶことのできる化学系学科を開設。アメリカで当時、大麻合法化の波が州レベルで来ていたことを受けての策。急な合法化もあって専門人材が足りないこともカバーする。
合法化以前も、大麻に関する研究はアンダーグラウンドで行われて来ており、よく調べると出てくるものもあるそう。そういったものが今後表にでて学術誌に掲載される可能性もあるということ。このことを「シャバにでてきた大麻研究」と表現しているのが面白かった。
ただ、国としては推進しているわけではないため、研究予算の取りにくさが課題としてあるそう。今は少し変わったのでしょうか。
感想
大麻の話はいかにセンシティブで難しいか、という点が面白いので、一読をお勧めします。
ほかにも17個のテーマがあるので、刺激的な本でした。
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