ハッシュアルゴリズムの基礎
ハッシュアルゴリズムとは
ハッシュアルゴリズムとは、任意の長さのデータを入力として受け取り、一定の長さのハッシュ値(ハッシュコード)を生成するアルゴリズムのことです。ハッシュ関数は、データ構造のハッシュテーブルや、暗号学的ハッシュ関数として使用されます。
ハッシュアルゴリズムは、次の性質を持っていることが望ましいです。
- 一貫性:同じ入力に対しては、常に同じハッシュ値を生成する。
- 高速性:ハッシュ値の計算が高速に行われる。
- 雪崩効果:入力データが少し変化しても、ハッシュ値が大きく変化する。
以下では、ハッシュアルゴリズムの基本的な種類と、それぞれの特徴について説明します。
非暗号学的ハッシュアルゴリズム
非暗号学的ハッシュアルゴリズムは、一般的なデータ構造(ハッシュテーブル)などで使用されるハッシュアルゴリズムです。これらのアルゴリズムは、高速で計算できることが求められますが、安全性については重要視されません。
例: DJB2
DJB2は、非暗号学的ハッシュアルゴリズムの一つで、Daniel J. Bernsteinによって開発されました。簡単で高速に計算できることが特徴です。
def djb2(data: str) -> int:
hash_value = 5381
for char in data:
hash_value = ((hash_value << 5) + hash_value) + ord(char)
return hash_value
暗号学的ハッシュアルゴリズム
暗号学的ハッシュアルゴリズムは、セキュリティ上の要求が高いアプリケーション(パスワードハッシュ化、データの改ざん検出など)で使用されます。これらのアルゴリズムは、安全性が重要で、一般的には次の性質が求められます。
- 衝突耐性:異なる入力データに対して、同じハッシュ値が生成されることが非常に困難であること。
- 事前イメージ耐性:ハッシュ値から元の入力データを特定することが非常に困難であること。
- 二次事前イメージ耐性:ある入力データに対するハッシュ値が与えられたとき、そのハッシュ値と同じハッシュ値を持つ別の入力データを見つけることが非常に困難であること。
例: SHA-256
SHA-256は、暗号学的ハッシュアルゴリズムの一つで、Secure Hash Algorithm(SHA)ファミリーに属しています。SHA-256は、256ビットのハッシュ値を生成し、セキュリティ上の要求が高いアプリケーションで広く使用されています。
PythonでSHA-256を使うには、hashlib
モジュールを使用します。
import hashlib
def sha256(data: str) -> str:
hasher = hashlib.sha256()
hasher.update(data.encode("utf-8"))
return hasher.hexdigest()
data = "Hello, World!"
hash_value = sha256(data)
print(hash_value) # 7509e5bda0c762d2bac7f90d758b5b2263fa01ccbc542ab5e3df163be08e6ca9
まとめ
これらのハッシュアルゴリズムは、それぞれの目的や要件に応じて適切なものが選択されます。非暗号学的ハッシュアルゴリズムは、高速性が求められる一般的なデータ構造で使用されます。一方、暗号学的ハッシュアルゴリズムは、セキュリティ上の要求が高いアプリケーションで使用されます。どちらのタイプのハッシュアルゴリズムも、データの整合性チェックや検索の高速化など、多くの場面で役立ちます。
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