AIの時代におけるソロWebサービス開発(アイディアの閃きからリリースまでを最効率で):ビジネス編

2023/12/20に公開

こんにちは、

Hen&Ai株式会社のゆうすけです。
Hen&Aiでは、「叶わない夢を手の届く現実に」をパーパスとして掲げ企業活動をしております。
このパーパスのために、安定した収益基盤を築くことを2024年に達成することを事業目標として置いており、受託開発や新規事業開発を行っています。

事業の種を探るために、2023年は下記のような新規サービスをリリースしました。

  • 2023年4月: 画像生成サービスをリリース
  • 2023年11月: 表現の自由に配慮したAIチャットサービス「リアフレンド」のベータ版をリリース
  • 2023年12月: 表現の自由に配慮した音声合成サービス「ボイメク」のベータ版をリリース
  • 2023年12月: ストレス低減を目的としたサービス「マインドスマイル」のベータ版をリリース
  • 2023年12月: Webアプリケーション開発をAIで支援する「速創」のベータ版をリリース

この全てのWebサービスの開発でAIを活用し、一人で開発しております。
開発のサイクルをいくつか回し、徐々にAIツールを利用したWebサービスの開発のスタイルが定まってきたため、本記事では、AIツールを活用してソロでWebサービスを開発するためのノウハウをまとめようと思います。フェーズごとにまとめていきます。Webアプリケーション開発支援サービス「速創」を例として上げています。

アイディア出し && 要件定義

アイディアの種を探す

アイディアの種は直感に頼っていて、次のようなことを実践しています。

  • 本を読んで新しい知識を身に着けたり、異分野に触れる。
  • 交流会に参加して、交流したり、ライトニングトークを聞いたりする。
  • ChatGPTと色々と自由に話したりする。

例えば、私はデザイナ向けの生成AI忘年会に参加し、
Value Discoveryを見たことで、
サービス設計にアイディアが湧いてきました。
End2EndでAIに出力させるのではなく、
タスクをうまく分解して、フレームワークとしてユーザに提示することで、
ソフトウェア開発に特化した似たようなサービスを作れそうと考えました。
そこから、「速創」を作り始めることにしました。
例えば、Value Discoveryは、こまめに中間出力を出して、
ユーザに修正させるUIをとっています。
このように、修正フェーズを混ぜることで、ChatGPTの不完全さの交じる出力であっても、
最大限活用できる見込みがあると感じました。

アイディアの種を探す方法は色々あると思いますし、
私の中で固まっていないので、皆様のやり方があれば、コメントなどでいただけると嬉しいです。

アイディアの発散

私は、アイディアの発散には、Value Discoveryを用いています。
Value Discoveryは、アイディアを入力として、
最終的にリーンキャンバスを生成できる程度に思考を進めるのを支援してくれるツールです。
リーンキャンバスを入力することで、事業が成り立ちそうか、事業のどこかに障壁がなさそうかなど、事業アイディアを俯瞰して見ることができます。
また、リーンキャンバス以外にも、

  • 事業の顧客向けのマーケティングメッセージを作ってくれる。
  • 事業の顧客インタビューの設計をしてくれる
  • 事業の解決策のアイディアを発散させてくれる

など、様々な機能もあります。また、リーンキャンバスをAIと一緒に作っていく過程自体が、
アイディアを深めたり、発散するのに役立ちます。
このツールはかなりおすすめだと思っています。

「速創」では、ペルソナ定義のみの活用となりましたが、
アイディアの発散で役立っている感じはしています。
「速創」はスタートアップとフリーランサーをターゲットとすることにしました。

ペルソナ定義 && ペルソナ理解

Value Discoveryで、リーンキャンバスを作る過程で、
ペルソナを作ることになるため、Value Discoveryを使っていれば、
ペルソナは完成します。また、ChatGPTでペルソナを作ることもできると思います。

通常はユーザインタビューを通して、ペルソナに関する理解を深めていくようですが、
簡単な情報に関しては、ChatGPTに聞くことができるため、
そこそこアイディアをふくらませることができます。

例えば、「何でどれくらい収益を出している?」「仕事のボトルネックは?」「お金を出してでも解決したい問題はなに?」などと言った質問をして、ペインに関するイメージを膨らませています。

「速創」では、結果的に「長期的な開発支援」や「要件定義」を支援するような仕組みも導入することに決めました。また、「速創」では、ペルソナを少し詳細に定義することにしました。

詳細なペルソナモデル

  • ターゲット
    • フリーランス、スタートアップ
  • ビジネスモデル
    • 人派遣や人月ビジネスではなく、自社のプロダクトを持っており、効率化が収益につながるビジネスモデル
  • 専門分野
    • 非ミッションクリティカルなサービスを提供
  • 地域
    • 米国、日本
  • 知識・技能レベル
    • すべてのレベル

仮設設定と要件定義

新規事業立ち上げにおいて、
仮説を検証していくことは非常に重要と言われているのですが、
どういった仮説を立証するために、どういう要件を満たす必要があるかを、まとめる必要があります。

ここでも、ChatGPTとやり取りをしながら検証を進めていきました。
例えば、「速創」では、上で作った詳細なペルソナモデルが、課題を課題として認識しているかどうか、機能として、どういうものが良さそうか知るために、下記のプロンプトのようなものを使いました。これの結果、出てきた機能を掘り下げていき、下記のような新機能を作ることにしました。

あなたは世界最強のプロダクトマネジャーです。
ペルソナモデルに対して、長期的な開発支援や要件定義支援が必要かどうかを述べてください。AIを使ったどういう支援機能があれば、彼らのペインを解決できますか?

## ペルソナモデル
- ターゲット
    - フリーランス、スタートアップ
- ビジネスモデル
    - 人派遣や人月ビジネスではなく、
    自社のプロダクトを持っており、
    効率化が収益につながるビジネスモデル
- 専門分野
    - 非ミッションクリティカル
- 地域
    - 米国、日本
- 知識・技能レベル
    - すべてのレベル

新機能: コードの自動レビューと最適化機能

静的コード解析: AIは静的コード解析を行い、コーディング標準の違反、潜在的なバグ、セキュリティの脆弱性を特定します。これにより、コードの品質を向上させ、将来的な問題の予防に寄与します。
パフォーマンス問題の検出: プログラムの実行効率やメモリ使用量など、AIはプログラムの実行効率、メモリ使用量、応答時間などのパフォーマンス指標を分析します。これにより、パフォーマンスに関連する問題を早期に特定し、最適化のための具体的な提案を行います。
リファクタリングの推奨: コードの可読性や再利用性を向上させるために、AIはコードのリファクタリング(コード構造の改善)を提案します。これは、長期的なメンテナンスコストを削減し、将来の拡張や変更を容易にするために重要です。
コードレビューの自動化: チームメンバー間のコードレビューをサポートするため、AIは潜在的な問題点や改善提案を自動的に生成します。これにより、コードレビューのプロセスが効率化され、より一貫した品質保証が実現されます。

サービス設計

サービス名・キャッチコピー

サービス名も基本的にChatGPTに考えてもらっていました。
結構面白いサービス名を考えてくれることもありますし、
ChatGPTのアイディアを元に、自分でサービス名が思いつくこともあり、
サービス名を作るにあたってもChatGPTは便利なツールだなと思います。

決して100点のサービス名を作ってくれるわけではないのですが、自分が目指すところの8割くらいのものは作れるため、バンバンWebサービスをリリースしていくという観点では、かなり良いツールになり得るのではないかと思います。

私は、次のようなプロンプトで生成しており、

あなたは最強の日本人コピーライターです。
Webサービスを短期間で一人で開発するための便利な機能群を提供するWebサービスのサービス名とマーケティングメッセージを10個作って。Webサービスを作るWebサービスです。
日本語の漢字、かたかな、ひらがな、日本語っぽい語感などをフル活用して、最もいいものを作ってください。短い造語もたまには作ってみてください。
君ならできる!!

## 顧客
    - スタートアップ
    - フリーランス

## 提供機能群
- 類似商標を検索するのを支援する機能
- アイコンの作成を支援する機能
- サービス名の列挙を支援する機能
- キャッチコピーの作成を支援する機能
- ランディングページ自動生成

ここから調整していき、「速創」という名前と、キャッチコピーにたどり着きました。

アイコン作成

アイコンの作成は次のように2段階でやると、そこそこ満足のいくアイコンが生成されることが多かったです。

  1. 〜に適したアイコンを言葉で説明してとお願いする。
  2. その画像を生成してとお願いする。

例えば、下記のようなプロンプトを作りまして、
多少の修正を依頼していくことで、下記のようなアイコンが生成できました。
これは「速創」とは異なるアイコンですが、別の候補です。

このサービスに適したアイコンのデザインを言葉で説明してください。
## 顧客
    - スタートアップ
    - フリーランス

## 提供機能群
- 類似商標を検索するのを支援する機能
- アイコンの作成を支援する機能
- サービス名の列挙を支援する機能
- キャッチコピーの作成を支援する機能
- ランディングページ自動生成

## サービス名
### **3. サービス名: "イノヴァブルーム"**

**マーケティングメッセージ:**
「イノヴァブルームで、創造の種を花開かせる瞬間を。スタートアップとフリーランサーのための総合的なウェブ開発サービス。アイデアから実現まで、一貫したサポートを。」

UX設計・UI設計

言葉を介してになりますが、下記のようなプロンプトを入れることで、UIやUXをつくってくれます。
ただ、これに関しては、冗長なUI設計にしちゃったりとか、割といまいちだなと思っています。
これに関してはもっと、試行錯誤してみようと思います。
もっと、いいUIを出す方法がわかれば知りたいです。

あなたは世界最強のUXデザイナです。
下記の機能のUX提案書をつくってください。

## 機能
コードの品質は、プロジェクトの成功に直結します。このAI機能は、コードの品質保証と最適化を目指しています。

- **静的コード解析**: AIは静的コード解析を行い、コーディング標準の違反、潜在的なバグ、セキュリティの脆弱性を特定します。これにより、コードの品質を向上させ、将来的な問題の予防に寄与します。
- **パフォーマンス問題の検出**: プログラムの実行効率やメモリ使用量など、
- **パフォーマンス問題の検出(続き)**: AIはプログラムの実行効率、メモリ使用量、応答時間などのパフォーマンス指標を分析します。これにより、パフォーマンスに関連する問題を早期に特定し、最適化のための具体的な提案を行います。
- **リファクタリングの推奨**: コードの可読性や再利用性を向上させるために、AIはコードのリファクタリング(コード構造の改善)を提案します。これは、長期的なメンテナンスコストを削減し、将来の拡張や変更を容易にするために重要です。
- **コードレビューの自動化**: チームメンバー間のコードレビューをサポートするため、AIは潜在的な問題点や改善提案を自動的に生成します。これにより、コードレビューのプロセスが効率化され、より一貫した品質保証が実現されます。

法務

商標・不正競争防止法観点の調査

Webサービスの名称を考える際は、
不正競争防止法の観点から、有名な会社名とかぶっていないことを確認する必要があります。
また、既存の商標とかぶっていないことも確認する必要があります。
商標を侵害すると、名称利用差し止めなどの理由になりますし、
他社名とかぶっていると訴訟されるリスクもあるからです。

Toreruなどの弁理士に依頼すると、商標取得ができそうかどうかの調査をしてくれますが、
お金も時間もかかるため、一旦は個人で調査することにしました。

商標調査をAIがやってくれるツールはまだないため、
ChatGPTで、類似商標としてありそうな商標の一覧を列挙した後に、
J-Platpatで一個一個確認するという手順を踏みました。

プロンプトには下記のようなものを利用しました。
商標が類似していることの確認だけを依頼しても、
うまく考えてくれなかったため、
商標の類似性の判定基準を与えたところ、
名称をいい感じに作ってくれるようになりました。
ChatGPTでは、こういう専門知識を入れ込むことで、
うまい生成ができるようになることが多いなと感じています。

あなたは日本人のトップクラスの弁理士です。
日本語で「マインドスマイル」という名称が類似してそうな
商標名を想像して考えて、列挙してください。

商標権における類似の確認は次のような観点で実施されます。
1. 商標の外観が似ている場合、類似していると判断されます。
2. 読み方が似ている場合、類似していると判断されます。例えば、下記の場合は似ていると判断されます。
    * 読み方が同じ場合は、類似と判断される場合が多い
    * 読み方が1音だけ違う場合は、類似、非類似の判断はケースバイケース
    * 読み方が2音以上違う場合は、非類似と判断される場合が多い
3. 意味が似ている。例えば、意味が同じで言語が異なる場合は類似していると判断されることがあります。

2は、例えば、下記のケースは類似として判断されます。
* 英語とカタカナで読み方が同じ
* 漢字が異なるが読み方が同じ
* 1音だけが異なっていている
* 特徴のない単語の有無だけの違いしかない

様々な観点で調べるために、漢字やカタカナやひらがなもつかって、
広い範囲で想像してください。

利用規約・プライバシーポリシー・特商法表記の作成

Webサービスを運営してお金を取る場合、利用規約、プライバシーポリシー、特商法を作る必要があります。試しましたが、ChatGPTで利用規約、プライバシーポリシー、特商法をいい感じに作るのは難しかったため、「良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方」という本に付属されていたテンプレートをベースに作成しました。

また、規約は今後の変更も視野にいれて、markdownで管理することにしたため、
ChatGPTにお願いしてmarkdownに変換してもらいました。

まとめ

ChatGPTは、まだ、完璧に一人で何でもできるような存在ではありませんが、
新規事業立ち上げをするにあたって、ビジネス、ユーザビリティ、法務の分野で、
手放せなく感じるくらいには役立ってくれています。

皆様も、こういうChatGPTの使い方をしているという
情報がありましたら、コメント欄にいただけますと助かります!

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