SharePoint Online コンテンツタイプを活用してドキュメント管理や検索を改善する
この記事について
本記事では、SharePoint Online サイトでドキュメントライブラリ上にあるファイルにリストコンテンツタイプを付与し、ドキュメント管理や検索でコンテンツタイプを活用する方法について記載しています。
SharePoint 界隈では、昔から「検索がイケていない」という話を各所で聞くことか多いです。確かに、SharePoint Search は既定で前方一致検索
、または完全一致検索
で検索が行われるため、Google のようなあいまい検索的なことが難しいことから、そういった意見を多く見かけるのは仕方ないとは思います。
しかし、SharePoint Online には、コンテンツタイプというものが存在しています。コンテンツタイプの仕組みを理解することで、自分でドキュメント管理や検索のための独自のメタデータをリストアイテムやファイルに追加で付与することができるようになり、SharePoint での検索性を少しでも改善できるかもしれません。
そのため、この記事では、サイトコンテンツタイプの作成、リストコンテンツタイプの設定、およびコンテンツタイプを活用例などを紹介し、この記事を見たユーザーが自分の SharePoint Online サイトにコンテンツタイプを導入できるようになることを目指します。
コンテンツタイプとは何か
簡単に言うとすれば、ドキュメントを一貫した方法で管理できるようにするためのメタデータ群のようなものです。
コンテンツタイプには、1 つ以上のメタデータを紐づけることが可能になっており、Microsoft の公式サイトにも記載されている通り、活用することでドキュメント(コンテンツ)管理をより容易にすることができるようになります。
サイト コンテンツ タイプを定義することで、すべてのカテゴリのドキュメントを組織全体にわたって一貫した方法で処理できます。たとえば、組織の顧客配布用のすべてのドキュメントで、アカウント番号、プロジェクト番号、プロジェクト マネージャーなど、メタデータの特定の組み合わせが必要になるとします。
この場合、アカウント番号とプロジェクト番号それぞれの列を持つ "顧客配布用" サイト コンテンツ タイプを作成することで、これらのメタデータ アイテムを組織の顧客配布用ドキュメントに関連付けることができます。
そのため、SharePoint Online でドキュメント(ファイル)を行う際、コンテンツタイプを活用することで、ファイルサーバ時代よりもより効果的なドキュメント管理ができるようになる、というものです。
コンテンツタイプには、サイトコンテンツタイプ
とリストコンテンツタイプ
というものがあり、前者は SharePoint Online サイト内で統一して利用できるコンテンツタイプ、後者はリスト(ドキュメントライブラリも厳密にはリストの 1 種)の中で利用できるコンテンツタイプのことを指します。リストコンテンツタイプには、サイトコンテンツタイプで設定されているものを流用することも可能です。
コンテンツタイプの設定
それでは、任意のサイトに対し、コンテンツタイプを設定していきます。
作業内容としては、
- 独自のサイトコンテンツタイプを作成
- 必要に応じてサイトコンテンツタイプで必須の追加列(メタデータ)を付与
- リストコンテンツタイプに作成したサイトコンテンツタイプを追加
- ファイルに追加したリストコンテンツタイプを設定
という流れになります。
独自のサイトコンテンツタイプを作成
サイトページの右上にある歯車アイコンより、[サイト情報] を選択します。
[すべてのサイト設定を表示] を選択します。
[Web デザイナー ギャラリー] セクションにある [サイト コンテンツ タイプ] を選択します。
[コンテンツ タイプの作成] を選択します。
[コンテンツ タイプの作成] 画面が表示されるので、作成するコンテンツタイプの情報を入力し、[作成] を選択します。
今回は例として 提案書 というサイトコンテンツタイプを作成します。入力内容は、以下のとおりです。
項目 | 入力値 |
---|---|
名前 | 提案書 |
説明 | 顧客への提案書 |
カテゴリ | 新しいカテゴリの作成 |
分類名 | 営業関連 |
親カテゴリ | ドキュメント コンテンツタイプ |
コンテンツの種類 | ドキュメント |
作成が完了すると、提案書 コンテンツタイプの情報画面が表示されます。
必要に応じてサイトコンテンツタイプで必須の追加列を付与
今回は、提案書コンテンツタイプを使用する場合に必須で 提案者(社員)
、顧客名
の 2 つを必須入力させるよう、追加でサイト列を設定します。
[サイト列] セクションにある [サイト列の追加] を選択し、[サイト内の新しい列の作成] を選択して、以下 2 つのサイト列を作成します。
項目 | 入力値 |
---|---|
名前 | 提案者(社員) |
説明 | 顧客に提案を行った社員名 |
カテゴリ | 既存のカテゴリを使用する |
列の種類を選択 | ユーザーまたはグループ |
グループの選択を許可 | いいえ |
プロフィール写真の表示 | いいえ |
複数選択を許可 | はい |
この列に情報が含まれている必要があります | はい |
このコンテンツ タイプを継承するサイトと リストのコンテンツ タイプのすべてを、 このページで更新します |
はい |
項目 | 入力値 |
---|---|
名前 | 顧客名 |
説明 | 提案を行った顧客名 |
カテゴリ | 既存のカテゴリを使用する |
列の種類を選択 | 1 行テキスト |
規定値 | |
計算済みの値を表示 | いいえ |
最大文字数 | 255 |
この列に情報が含まれている必要があります | はい |
このコンテンツ タイプを継承するサイトと リストのコンテンツ タイプのすべてを、 このページで更新します |
はい |
リストコンテンツタイプに作成したサイトコンテンツタイプを追加
サイトコンテンツタイプを使用して、ドキュメントライブラリにリストコンテンツタイプを設定します。
リストコンテンツタイプを設定したいドキュメントライブラリに移動し、右上の歯車アイコンから [ライブラリの設定] を選択します。
[その他のライブラリ設定] を選択します。
[全般設定] セクションより、[詳細設定] を選択します。
[コンテンツ タイプの管理を許可する] を [はい] に変更し、[OK] を選択します。
[コンテンツ タイプ] セクションにある [既存のサイト コンテンツ タイプから追加] を選択します。
[サイト コンテンツ タイプの選択元] で、作成したサイトコンテンツタイプのカテゴリを選択し、追加したいコンテンツタイプを [追加] ボタンを選択して追加した後、[OK] ボタンを選択します。
今回は、営業関連
カテゴリから提案書
サイトコンテンツタイプをリストコンテンツタイプとして追加します。
リストコンテンツタイプが追加されたことを確認します。
ファイルに追加したリストコンテンツタイプを設定
実際に、既存のファイルのコンテンツタイプを変更してみます。
サンプルとして、Microsoft 社が公式に公開している提案書のパワーポイントテンプレートをドキュメントライブラリにアップロードし、コンテンツタイプを変更してみます。
コンテンツタイプを変更するファイルを選択し、詳細ウインドウを開きます。
詳細ウインドウの [プロパティ] セクションにある [コンテンツ タイプ] の設定値を提案書
に変更して保存します。
コンテンツタイプを変更すると、このファイルには、必要な情報がありません
が表示されるため、提案書
コンテンツタイプの際に必須入力とした提案者(社員)
と顧客名
の情報を追加で設定します。
これで、ファイルにリストコンテンツタイプを設定することができました。
コンテンツタイプの活用例
独自のコンテンツタイプを導入するだけでも、ドキュメント管理には一定の効果が見込めますが、コンテンツタイプを効果的に活用しているとはまだ言えません。
以降では、SharePoint Search での検索やリストビューでの表示、コンテンツタイプのテンプレート設定など、よりコンテンツタイプを活用し、利用者の生産性を向上させ、よりコンテンツタイプを効果的に利用する方法について紹介します。
コンテンツタイプを使用して検索結果をフィルターする
コンテンツタイプを設定したからには、まず考えるのは検索で絞り込みをできるようにしたいということだと思います。
無論、SharePoint Online での検索 (SharePoint Search) では、コンテンツタイプをフィルター条件として使用することができます。
フィルター条件として使用するには、検索時に接頭辞 ContentType:
を追加するだけです。
検索文字列例としては、以下の通りです。
ContentType:提案
ContentType:提案*
ContentType:提案書
SharePoint Search では、検索は前方一致検索または完全一致検索が既定となっており、また、ワードブレイクの仕様もあることから、完全一致で検索ができない時は、ワード分割やワイルドカード (*) を使用して検索を工夫してください。
また、コンテンツタイプに加えて名前の検索を行いたい場合は、AND
を追加して、検索条件を追加します。
検索文字列例としては、以下の通りです。
ContentType:提案書 AND サービス
リストビューにコンテンツタイプを表示する
普段使用するリストビューの表示で、コンテンツタイプが列情報として表示されるようになることで、ビューの視認性が高くなる場合があります。
コンテンツタイプを導入したら、ビューに列として表示させることも検討しましょう。
コンテンツタイプを表示したいビューに切り替えた後、[現在のビューの編集] を選択します。
[列] セクションにある [コンテンツ タイプ] にチェックを入れ、[OK] を選択します。
[左からの並び順] については、必要に応じて変更してください。
設定が完了すると、ビューにコンテンツタイプ列が表示されるようになります。
リストコンテンツタイプのテンプレートを変更する
リストにリストコンテンツタイプを導入すると、[新規] メニューにもコンテンツタイプに紐づくファイル作成メニューが表示されるようになります。
既定では、これは無字の Word テンプレートが設定されています。Word テンプレートのままで問題ないなら構いませんが、このままでは使用しにくいと思われるので、任意のテンプレートに設定を変更します。
今回は提案書
ということなので、先で使用した Microsoft 公式から配布されている PowerPoint の提案書テンプレートをコンテンツタイプのテンプレートとして設定します。
[新規] -> [[新規] メニューの編集] を選択します。
[提案書] メニューにカーソルを合わせ、表示される [...] を選択し、[編集] を選択します。
[設定] セクションにある [詳細設定] を選択します。
[ドキュメントのテンプレート] で [新しいドキュメント テンプレートをアップロードする] を選択し、[ファイルの選択] を選択して 23661_business_proposal.pptx
ファイルをアップロードし、[OK] を選択します。
正常に保存されたら、[新規] メニューにて、変更が反映されていることを確認します。
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