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EAMの勘所 第1回: 作業指示書の分類コード - 仕事の分類を整理することは、仕事を整理することと同じ

2024/03/27に公開

通常、作業を分類する場合、予防保全や事後保全など様々な呼び方でその内容を区別します。この分類方法は非常に重要で「あなたの組織における管理の詳細度」を示している場合があります。みなさんも自分の組織の作業指示書の分類コードを確認してください。見えていないものが見えるようになるかもしれません。

作業指示書の分類

作業指示書の分類コードには通常、作業の分類コードが用いられます。一般的に作業は以下のように分類されます。

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図1. 作業の分類体系の例

表1. 作業の分類コード及びその説明
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作業の分類の目的(管理上の分類と技術的な分類)

時に「保全管理システムからの情報は使えないものが多い」という声を聞くことがありますが、これは作業に関する管理上の分類と技術的な分類を混同している可能性があります。通常技術部門では作業に関する管理の分類コードでデータを検索することはあまり有用ではありません。同時に管理部門では技術部門のコードに興味はありません。このように情報の標準化をしっかりしないと、「役にたたない」という烙印を押されてしまいます。作業指示書の分類コードは、この場合前者の作業管理に関するコード体系です。このコードの割り振りや詳細度を確認することでその部門がどのような管理を実現しようとしているかの概要を理解することが出来ます。

コード設定時の注意点

作業指示書の分類コードを設定する場合、どのような視点で作業を分類したいかをあらかじめ決めてからコード設計を行うことが重要です。作業の分類を細分化して闇雲に詳細化することも問題があります(複雑なコード体系では覚えにくく、保全担当者の方々にうまく使用してもらい場合が出てきます。またデータの集計に時間がかかり効率的にない場合があります)。

作業の分類コードを作成する場合は以下の点に注意して設計しましょう。

  • 何に着目して分類・分析したいか?

    • 作業の分類(先に示した作業の分類)
    • 経理的な観点
    • 技術的な観点
    • 責任分担
    • その他
  • コードを見たらその意味が簡単に理解できる(1桁目はなに、2桁目はなになどの複雑なコード体系を採用しない)

  • 業界のベストプラクティス(業界標準など)を参照する

  • 全員でディスカッションをして決める

  • コードは半角英数字を用いる(日本語はわかりやすいが、入力の仮名漢字変換が意外と面倒)

  • 桁数は2から3桁(最大でも4桁、これ以上になると覚えられなくなる)

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昔はコンピュータの資源(CPUの速度、メモリ、ディスクなど)が非常に高価であったため、少しでも情報フィールドを有効に活用しようということで、コードに意味を持たせた「意味ありコード」を一般的に使用しました。例えば作業指示書に割り振られる管理番号(伝票番号)に以下のような命名をしていました。

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「A工場の2008年の121345番目の作業指示書」などです。しかし現在ではデータベースの容量が増え、作成された年度や対象の工場のコードは別のフィールドに格納されるようになりましたが、今でもこのようなコード体系を好む人がいます。

特に面白いのが、本来この番号は唯一無二であれば良いのですが、「この番号が12345番の次は12346、12347、…と」連続で続いていないとなんとなく気持ちが悪く感じるのが日本人の特徴です。しかし、実際のこの番号で作業指示書を検索することはほとんどないので、せっかくきれいに番号をそろえても結局「無駄作業をしただけ」になってしまします。

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