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『エンジニアのためのデザイン思考入門』を読んで
どんな本か
デザイン思考の実習を通した教員の方々の気づきを共有するための本という印象だった。
- 第1章 イントロダクション
- デザイン思考に関する著者(のひとりの齊藤先生)の考え
- 第2章 EDPの作り方
- 東工大のデザイン思考に関する実習(EDP)、及びその源流となったスタンフォード大学のME310の説明
- 第3章 多様性のあるチームを作る
- EDPを通して重要視されたチームメンバーの多様性について
- エンジニア(東工大生)、デザイナー(美大生)、ビジネス(社会人)に分けて考えている
- デザイナーを知るための漫画、エンジニアを知るための漫画が紹介されている
- チーム運営方法
- HRT(謙虚・尊敬・信頼)を満たす
- 道具
- どのような文房具を用意するか
- Slackを使う
- チーム活動が始まったあとのルール
- 「圧倒的当事者意識」
- 8つのデザイン能力
- EDPを通して重要視されたチームメンバーの多様性について
- 第4章 ユーザーを理解する
- ユーザー理解の方法
- 第5章 アイデアを生み出す
- 本記事で詳しく
- 第6章 ものを作って検証する
- プロトタイプの段階
- ユーザ体験のために寸劇や動画を作る
- 雑に作る用意
- 電子工作・3Dプリンタ
- ユーザーテストは5人で十分
2章は実際の実習の説明といった感じで、これから実習に取り組む学生や教員向けの用に感じた
3章はデザイン思考実習を通したチーム運営の方法など。デザイン思考に限らずリーダー的立場の人なら参考になる部分があると思われる
4章はユーザー理解の方法など。企画の立場なら読むべき
6章は(コードだけではなく)物理的なモノを作ることに関する紹介。
本記事では、エンジニアに一番役立ちそうだと思った5章を見ていく。
5章: アイデアを生み出すガイドライン
- アイデアを生み出すための手法と、やるべきでない手法が紹介されています
- すべてを詳述するのではなく、気になった項目をかいつまみます
アイデアを生み出す方法
- アイデアを生み出すガイドライン
- タンジブルであること
- 素人のように考える(『独創はひらめかない』)
- 名詞ではなく動詞で考えろ
- 組み合わせで考えろ(「枯れた技術の水平思考」)
- 『複利で伸びる1つの習慣』
組み合わせで考えろ
- アイデアしりとり
- 『∞アイデアの作り方』で紹介されている
- 考えたいテーマに対してしりとりを続ける連想法
- 常識破りの〇〇
- 『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォーフォ大学集中講義』
- 「普通ならこう考える」を列挙したり反対にしたりする発想法
- ワックスオン、ワックスオフ
- 全く違う分野や製品を融合する方法
- ビジュアルシンキング
- 手を動かしながら考える
アイデアを生み出す具体的な手順
- ざわざわ感(違和感)
- 明らかな問題ではなく、問題にならないような些細なものを見極める(『デザインコンサルタントの仕事術』)
- 応急処置(根本原因が未解決なまま)
- 価値観(既存の製品と顧客の価値観が合致していないもの)
- 惰性(単に惰性で同じものを使い続けているもの)
- 長期的利益と目先の欲求の対立
- インサイトの発見
- インサイト: 何かをきっかけに新たに気づいた情報
- インサイトの切り口としてTCS
- Tension(対立)
- Contradictions(矛盾)
- Surprising(驚き)
- タテマエメソッド
- TCSをテンプレートにEDP教員チームで考案
-
[状況]にある[ユーザー]は、
[行動]をしている/する必要がある。
なぜなら[タテマエ]だからだ。
とはいえ、本当は[インサイト]である。
-
- 具体的には以下のように埋める
-
10代の女の子は、
栄養のある食事をとる必要がある。
なぜならビタミンは健康に不可欠だからだ。
とはいえ、毎日は食べられない。
-
- TCSをテンプレートにEDP教員チームで考案
- どうすればできそうか
- ざわざわ感をタテマエメソッドで明文化したあと
- 明らかな問題ではなく、問題にならないような些細なものを見極める(『デザインコンサルタントの仕事術』)
効果的ではないこと
- ブレストは効果的ではない
- なぜ?
- 「グループの生産性の幻想」
- 個人で考えたほうがアイデアの質も量も高まるという研究がある
- 『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』
- 「他者への気兼ね」と「思考が止まりがちになる」から
- 「グループの生産性の幻想」
- アイデアを出す「前に」ブレストをするのが効果的(雑談でいい)
- なぜ?
- 親和図法も難しければ使わない
- 親和図法はアイデアをまとめる手段
- 難しい
- 多様性だけでうまくいくと思わない
- 認知的な多様性を獲得する必要がある
- まずは専門分野の先人の方法を知ること
- 未来のことなんて分かるわけがない
- 近い未来はアーリーアダプターを見ればある程度分かるが、10年以上先は難しい
- TTFTF(未来シナリオをランダム生成するカード)を使うことで練習できる
感想
- 今読む本ではなかったと思ったが、後からきっと役に立つとも思った
- 個人開発したいなという思いが少し湧いたとき、アイデアの出し方について検討していたのだが、まるっきりこの本の出し方じゃん!と後から気づくという経験があった。
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