【React】簡単なお絵かきアプリでState内のオブジェクト更新について学ぶ
Reactを使いこなせるようになるには、Stateの理解を深めることが不可欠だと思います。
今回は超簡単なお絵かきアプリを作成して、State内のオブジェクトを更新する際の注意点について復習しました。
▼参考
完成デモ
▼マウスをドラッグすることで画面に線を描画できるアプリケーションです。
State内のオブジェクトを更新するポイント
Stateのイミュータビリティ
Reactでは、Stateは変更されるべきではない（イミュータブルであるべき）とされています。
つまり、Stateに格納されたオブジェクトを直接変更（ミューテーション）するのではなく、新しいオブジェクトを作成してStateを更新する必要があります。
オブジェクトの直接変更は避ける
例えば、以下のようなStateがあるとします。
const [position, setPosition] = useState({ x: 0, y: 0 });
このpositionオブジェクトを更新する際には、直接変更を避け、新しいオブジェクトを作成する必要があります。
setPosition({ x: newPositionX, y: newPositionY });
スプレッド演算子を使ったオブジェクトの更新
スプレッド演算子（...）を使ってオブジェクトをコピーし、特定のプロパティだけを更新することが一般的です。
setPosition(prevPosition => ({
...prevPosition,
x: newPositionX
}));
この方法では、prevPositionの他のプロパティはそのまま保持され、xのみが新しい値に更新されます。
完成コード
今回のアプリケーションのコードは以下のとおりです。
import { useState } from "react";
interface Point {
x: number;
y: number;
}
const Drow = () => {
const [drawing, setDrawing] = useState(false);
const [lines, setLines] = useState<Point[][]>([]);
const [currentLine, setCurrentLine] = useState<Point[]>([]);
const handleMouseDown = (e) => {
setDrawing(true);
setCurrentLine([{ x: e.clientX, y: e.clientY }]);
};
const handleMouseMove = (e) => {
if (!drawing) return;
setCurrentLine(currentLine => [...currentLine, { x: e.clientX, y: e.clientY }]);
};
const handleMouseUp = () => {
if (!drawing) return;
setDrawing(false);
setLines(lines => [...lines, currentLine]);
setCurrentLine([]);
};
return (
<>
<div className="text-center mt-10 pb-4 border-b-2">
<h1>お絵かきアプリでState内のオブジェクト更新を学ぶ</h1>
</div>
<div
role="button"
tabIndex={0}
onMouseDown={handleMouseDown}
onMouseMove={handleMouseMove}
onMouseUp={handleMouseUp}
onMouseLeave={handleMouseUp}
className="w-full h-full fixed top-0 left-0"
>
{lines.map((line, index) => (
<svg key={index} className="absolute top-0 left-0 w-full h-full pointer-events-none">
<polyline
fill="none"
stroke="black"
strokeWidth="2"
points={line.map(point => `${point.x},${point.y}`).join(" ")}
/>
</svg>
))}
{drawing && (
<svg className="absolute top-0 left-0 w-full h-full pointer-events-none">
<polyline
fill="none"
stroke="black"
strokeWidth="2"
points={currentLine.map(point => `${point.x},${point.y}`).join(" ")}
/>
</svg>
)}
</div>
</>
);
};
export default Drow;
Stateの定義
-
drawing: ユーザーが現在ドラッグ中かどうかを追跡するブーリアン（真偽値）です。 -
lines: 描画された全ての線を保持する配列の配列です。各配列はPointオブジェクトの配列で、一つの線の座標を表します。 -
currentLine: 現在描画中の線の座標を保持するPointオブジェクトの配列です。
イベントハンドラ
-
handleMouseDown: ユーザーがマウスボタンを押したときに呼ばれます。drawingをtrueに設定し、currentLineに最初の座標点を設定します。 -
handleMouseMove: マウスが動いている間呼ばれます。drawingがtrueの場合、新しい座標点をcurrentLineに追加します。 -
handleMouseUp: ユーザーがマウスボタンを離したときに呼ばれます。drawingをfalseに設定し、完了した線（currentLine）をlinesに追加し、currentLineをリセットします。
SVGの描画
lines配列とcurrentLine配列を使用して、SVGのpolyline要素で線を描画します。
linesは既に描かれた線を表し、drawingがtrueの間はcurrentLineを使用して現在描画中の線を表示します。
Stateのイミュータビリティ
currentLineやlinesを直接変更するのではなく、新しい配列を作成してStateを更新しています。
もしcurrentLineやlinesのようなStateを直接変更してしまうと、Reactはその変更を検出できなくなります。
例えば、次のようなコードは推奨されません：
const handleMouseMove = (e) => {
if (!drawing) return;
// これはStateを直接変更している例
currentLine.push({ x: e.clientX, y: e.clientY });
setCurrentLine(currentLine);
};
このコードでは、pushメソッドを使ってcurrentLine配列に直接新しい要素を追加しています。
この操作は配列の元の参照を変更しないため、Reactはこの変更を検出できず、結果としてコンポーネントは再レンダリングされません。
代わりに、常に新しいオブジェクトや配列を作成してStateを更新するべきです。例えば、handleMouseMoveは次のように書かれるべきです：
const handleMouseMove = (e) => {
if (!drawing) return;
// 新しい配列を作成してStateを更新
setCurrentLine(currentLine => [...currentLine, { x: e.clientX, y: e.clientY }]);
};
currentLineの既存の要素を新しい配列に展開し、新しい点を追加しています。
これにより、配列の新しいインスタンスが作成され、Reactはこの変更を検出し、適切にコンポーネントを再レンダリングします。
まとめ
今回は簡単なお絵かきアプリケーションを作成して、ReactのState管理とStateのイミュータビリティ（不変性）の重要性について、復習しました！
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