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The Power of Bad読書メモ
これの読書メモ
結論
悪いことの方が良いことより重視されがちだから気をつけようぜ
悪いことの方が良いことより強い
- 大体の言語は悪い意味の言葉のほうが良い意味の言葉より多い。例えば「痛い」「トラウマ」など、対義語が存在しない単語はほぼ確実に悪い意味を持つ。一方、良い意味の言葉はほぼ確実に対義語がある(快感→不快感、嬉しい→悲しい、など)
- 悪いことを打ち消すには4倍の良いことが必要
- ロシアの格言:「スプーンひと匙のタールを入れたら、樽いっぱいのはちみつも台無しになる」
- フランスの格言:「ワインに一滴泥を入れたらそれは泥水だが、泥にワインを入れても泥水だ」
- 数学もマイナスかけたら絶対マイナスだしな
- 心理学の実験:おいしい食べ物に消毒済みだと伝えたGを乗せて、すぐ取り除く。実害はないけど誰も食べられなくなった。Gのネガティブ効果を上回る食べ物は存在しなかった
- 歴史を振り返っても、たった一つの間違いで断罪される人はいるけど、聖人になるには何十年も善行を積み重ねないといけない。
- インドのカーストシステムでも、brahman (バルモン)は自分より下のカーストの作ったものを食べると下のカーストに落ちる。でもアンタッチャブルは何をしてもアンタッチャブル。
- 一回浮気したら離婚するカップルもいるけど、一回何かやっておけば永遠に結婚が続く行いは存在しない
- 幸福な家族は似ているが、不幸な家族はそれぞれユニーク(単発の出来事で一気に不幸になる一方、幸福な家族を作るには善行を積み重ねる必要があるからかな。nが増えるから平される的な)
- 地獄の概念を搭載している宗教ほど早く流行る
- 赤ちゃんは笑顔より怒った顔を早く認識する
- 生後8ヶ月でカエルよりヘビに素早く目を向ける(本当か?)
- 単語の色を答える実験では、悪い単語の方が良い単語より色を答えるのに時間がかかった(悪い単語の方が惹きつける力が強い)
- **体の一部を引く反射神経のほうが、伸ばす反射神経より強い。**人間の最も根源的な脳みその部分でも悪いこと(痛みとか)を回避することが組み込まれている
とはいえ人間は悪いことも克服できる
- PTSDを経験した人の8割は克服している。より強いストレス耐性を身につける
なんで悪いことの影響の方が大きいのか
- 生きるため。一回の失敗で死ぬ環境に脳が適応しているため。(この辺はスマホ脳にも似ている)
- 隣人の善意に気づくより悪意に気づく方が大切
- おいしい獲物に気づくより自分を狙うライオンに気づく方が大切
- しかし狩猟時代の本能は現代に適していない。ネガティブバイアスを抱えたまま生活すると今の社会には適応できない
どういう不適応が生じるのか
- テロリズム。メディアがなければテロは成立しない。拡散されない限り、罪のない市民を傷つけることは意味を持たない
- 不安。今の時代は過去のどの時代に比べても平和で暮らしやすいのに周りが物騒になったと感じてしまう(これはファクトフルネスに似てるかも)
- どれだけ幸せでも「あなたの妻が浮気している7つのサイン」みたいなクソ記事が流れてくる
ネガティブ以外にもバイアスがある。自己欺瞞
- 囚人に自己評価してもらうと「正直、誠実、気遣い、自制心」の項目で一般人より高くつける
- 恐怖に駆られやすい習性と自惚れやすい習性が組み合わさって人類はさまざまな過ちを繰り返している
- 第一次世界大戦のドイツ。誰も攻撃しようとも思わないぐらいの軍事力を持っていたのに周辺国からの脅威を感じて戦争を仕掛けた
バイアスに負けない方法
ルールを決める
- xが起きたらyする、みたいなルールを冷静な時に決めておく。本能に任せると同じ過ちを繰り返してしまう
- アルコール依存を乗り越えるのも同じ仕組み。本能に任せてたら治らない。ルールを決めて理性で守る
無理をしない(don't over-promise)
- 目標を未達するネガティブの影響が大きすぎる。期限より早く終わらせることの良い影響より、期限に遅れることによる悪い影響の方が遥かに大きかった。
- ある実験で、amazonからの荷物が遅れた時の影響と、予定より早く届いた時の影響を調べた。早く届いてもほぼ影響ないけど、遅れた時はめっちゃネガティブな影響があった
悪いかどうかは受け手次第だと心得る
- 相手の自己肯定感次第では何を言っても悪く取られる。これはもうしゃーない。
ネガティブバイアスの例
配偶者編
自己肯定感
- カップルの片方には相手の不満なところを書くように指示して、もう片方には家にあるものを書くように指示する。どちらもお互い何を書いているか知らないので、片方は「自分の不満をこんなに書いてるの?」と勘違いする。
- 自己評価が低い人ほど過剰反応して、相手にネガティブに評価し返したり、関係性に不安を感じた。自分を疑う気持ちを相手に投影する。自己防衛反応が強い人は相手のわずかな反応にも過剰反応するから大体破綻する
- 自己評価が高い人はあんまり気にしなかった
男女差
- 女性の方が相手に不満を感じやすく、男性の方が相手を拒絶しやすいらしい
- 女性の方がネガティブな感情を感じやすいことを示す実験がある。怒った顔を識別する能力も男性より強い。狩猟時代の脳の名残
- 同性カップルの方が異性カップルより上手くいく。お互い不満をぶつけ合うけど拒絶まで行かない、あるいはそもそも不満をぶつけ合わないため
ホニャララの影響
- 良いホニャララは幸福度を15~20%向上させる
- 悪いホニャララは幸福度を50~75%減少させる。悪いホニャララをしないことの方が大切
goodよりnot so bad
- 悪い家庭環境が子供に与える影響は大きいが、良い家庭環境でも子供に与える影響は小さい
- めちゃくちゃ良い環境づくりに躍起になるより、悪影響を与えるほどの失敗をしない方が大きい(暴力とか、常に不機嫌とか)
- 夫婦関係は結婚直後が幸福のピークで、基本は減少する。おしどり夫婦も減少幅を低く抑えられているだけ
fundamental attribution error
-
誰かが悪いことをした時、それが環境や状況のせいだとは考えず、当人のせいだと考える。良いことをした時は環境や状況のおかげだと考える傾向がある。
- 車が一時停止を無視した→悪いドライバーだ、と考える。木が邪魔で見えなかった、とは考えない
- 隣人が良い大学に合格した→先生がよかったんだ、と考える。本人が努力した、とは考えない
- このエラーを抱えている人ほど離婚率が高い
- ちなみに自己評価するときは真逆の傾向が発生する
- 相手がミスをしたときに「状況が状況だし仕方ない」「たまたまだよね」と見逃せる能力が結婚の継続に最も大事
仲良くなるには物理的距離が大事
- 物理的に距離が近い人ほど仲良くなりやすいが、それ以上に物理的に距離が近い人ほど険悪になりやすい。 仲良くなるには何十回も良い体験を重ねる必要があるが、険悪になるには2~3回の悪い体験で済む。
返報性の原理はネガティブにより大きく作用する
-
100ドルを与えられて相手に分け与える実験では50/50ぐらいに落ち着く。相手が持っている100ドルを好きな金額だけ奪える実験だと、次のターンで相手から更に多く奪い返す(やり返す)傾向がある。
- 礼には礼を、よりも目には目を、のほうが強い
- 同様に議論は基本的にエスカレートする方向に働くことを知っておく必要がある
- 動物界でも「もし背中をかいてくれたらあなたの背中もかいてあげる。でも、もし私を殴ったら!君が!死ぬまで!殴るのを止めない!!!」みたいな感じ