はじめに
高校2年生で数学Ⅲの複素数平面の授業をしています。試験でメビウス変換の問題を出しました。
生徒の答案で,あまりみたことのない方針のものがあったので,やってみることにしました。
問題
点zが,単位円から点1を除いた円上を動くとき,w=\frac{1-iz}{1-z}で与えられる点wはどのような図形を描くか説明し,複素数平面上に図示せよ。
生徒の答案
z=\cos\theta+i\sin\theta\quad (0<\theta<2\pi)とおくと
\begin{aligned}
w&=\frac{1-iz}{1-z}\\
&=\frac{1-i\cos\theta+\sin\theta}{1-\cos\theta-i\sin\theta}=?
\end{aligned}
生徒はここでストップしていたので,この先をやってみました。
答案の続き
\begin{aligned}
w&=\frac{1-iz}{1-z}\\
&=\frac{1-i\cos\theta+\sin\theta}{1-\cos\theta-i\sin\theta}\\
&=\frac{(1+\sin\theta-i\cos\theta)(1-\cos\theta+i\sin\theta)}{(1-\cos\theta)^2+\sin^2\theta}\\
&=\frac{1-\cos\theta+\sin\theta+i(\sin\theta+\sin^2\theta-\cos\theta+\cos^2\theta)}{2-2\cos\theta}\\
&=\frac{1-\cos\theta+\sin\theta}{2-2\cos\theta}\cdot(1+i)\\
&=\left(\frac12+\frac{\sin\theta}{2-2\cos\theta}\right)\cdot(1+i)\\
&=\left(\frac12+\frac{2\sin\frac{\theta}2\cos\frac{\theta}2}{4\sin^2\frac{\theta}2}\right)\cdot(1+i)\\
&=\left(1+\cot\frac{\theta}2\right)\cdot\frac{1+i}2\\
&=\left(1+\tan\frac{\pi-\theta}2\right)\cdot\frac{1+i}2
\end{aligned}
0<\theta<2\piより,
\therefore 0<\frac{\pi-\theta}2<\pi
\therefore -\infty<\tan\frac{\pi-\theta}2<\infty
\therefore -\infty<1+\tan\frac{\pi-\theta}2<\infty
\therefore w=k\cdot\frac{1+i}2,\,\forall k\in\mathbb{R}
よって,点wは2点0,\frac{1+i}2を通る直線を描く。
感想
生徒の発想は自由でいいよね!
wがパラメータで表されているので,軌跡が直線全体を表していることもよくわかります。
Discussion