🐡

メビウス変換

2020/12/14に公開

はじめに

高校2年生で数学Ⅲの複素数平面の授業をしています。試験でメビウス変換の問題を出しました。
生徒の答案で,あまりみたことのない方針のものがあったので,やってみることにしました。

問題

zが,単位円から点1を除いた円上を動くとき,w=\frac{1-iz}{1-z}で与えられる点wはどのような図形を描くか説明し,複素数平面上に図示せよ。

生徒の答案

z=\cos\theta+i\sin\theta\quad (0<\theta<2\pi)とおくと

\begin{aligned} w&=\frac{1-iz}{1-z}\\ &=\frac{1-i\cos\theta+\sin\theta}{1-\cos\theta-i\sin\theta}=? \end{aligned}

生徒はここでストップしていたので,この先をやってみました。

答案の続き

\begin{aligned} w&=\frac{1-iz}{1-z}\\ &=\frac{1-i\cos\theta+\sin\theta}{1-\cos\theta-i\sin\theta}\\ &=\frac{(1+\sin\theta-i\cos\theta)(1-\cos\theta+i\sin\theta)}{(1-\cos\theta)^2+\sin^2\theta}\\ &=\frac{1-\cos\theta+\sin\theta+i(\sin\theta+\sin^2\theta-\cos\theta+\cos^2\theta)}{2-2\cos\theta}\\ &=\frac{1-\cos\theta+\sin\theta}{2-2\cos\theta}\cdot(1+i)\\ &=\left(\frac12+\frac{\sin\theta}{2-2\cos\theta}\right)\cdot(1+i)\\ &=\left(\frac12+\frac{2\sin\frac{\theta}2\cos\frac{\theta}2}{4\sin^2\frac{\theta}2}\right)\cdot(1+i)\\ &=\left(1+\cot\frac{\theta}2\right)\cdot\frac{1+i}2\\ &=\left(1+\tan\frac{\pi-\theta}2\right)\cdot\frac{1+i}2 \end{aligned}

0<\theta<2\piより,

0<\frac{\theta}2<\pi

\therefore 0<\frac{\pi-\theta}2<\pi

\therefore -\infty<\tan\frac{\pi-\theta}2<\infty

\therefore -\infty<1+\tan\frac{\pi-\theta}2<\infty

\therefore w=k\cdot\frac{1+i}2,\,\forall k\in\mathbb{R}

よって,点wは2点0\frac{1+i}2を通る直線を描く。

感想

生徒の発想は自由でいいよね!
wがパラメータで表されているので,軌跡が直線全体を表していることもよくわかります。

Discussion