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テックカンファレンスに「なんとなく」や「ただ楽しいから」で参加してない?

2024/04/17に公開
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この記事を書くきっかけ

PHPカンファレンス小田原の参加レポートを書いたところ、武田さんからこんなフィードバックをいただきました。

https://x.com/KentarouTakeda/status/1779663201845801103

こんなふうに褒めていただいて、恐縮です。

けど、これまで自分はオフラインのテックカンファレンス[1]に3回しか参加したことがありません。遠征かつ何泊かするのは今回が初めてでした。

にも関わらずこう言っていただけるような行動がきちんとできているようです。実際時間が凝縮されている感覚は自分でもあって、カンファレンスに参加すると2,3日くらいのできごとのはずなのに1週間分くらいの出来事に感じます。

では、「なんでそう感じるんだろう?」を考えてネタにしてみたら面白いんじゃないだろうか。そう思って筆を取ったのがこの記事です。自分は人に褒められたとき、「なぜ褒められたのか?」を振り返ります。詳しくはこの記事に。

https://kanonon.hatenablog.com/entry/2024/04/17/182635

そして自分のカンファレンスに対するスタンス「なぜカンファレンスに参加するのか?」を突き詰めていったとき、他のみなさんに伝えたかったのがタイトルの内容です。

はじめに

では、タイトルを回収する前に少し自分とテックカンファレンスの歴史みたいなものをお話したいと思います。

最初に書いた通り、自分がオフラインのカンファレンスに参加するのは去年から始まりこれが3度目です。前夜祭から参加するカンファレンスに限れば初めてでした。

ソフトウェアエンジニアの歴としては6年目が始まった年ですが、それまでに参加する機会がなかったのかと言われるとありませんでした。

新卒1年目は客先常駐で勉強会に参加する余裕が全くありませんでした。2年目から自社開発に関わり始めたことで余裕が生まれ始めたのですが、同時にコロナ禍が始まりました。

コロナ禍の間でもオンラインではイベントが開催されていたため、ちょこちょこLT会などには参加させていただいていました。そんな中で現在の勤め先に出会ったりもしています。

そして去年あたりからようやくコロナ禍が収束を見せ始め、初めて参加したイベントが『Developers Boost 2023』でした。

ここでうーたんさんことみんさんと出会います。

お二人のXをみてると、「オフラインイベント楽しそうだなぁ」「自分も参加したいなぁ」を思うようになりました。

ついに去年、本格的にコロナ禍が明けた頃から満を持してオフラインイベントに参加するようになりました。

「なんとなく」や「ただ楽しいから」だけで参加し続けるのはもったいない

最初の入り口は、もちろん「なんとなく」や「ただ楽しいから」でよいと思います。むしろ最初から目的を持って参加する方が難しい・・・

自分も先に書いてる通り、最初は「楽しそうだなぁ」というモチベーションで参加しました。

けれども、何度か参加回数を重ねていく上で「なんとなく過ごしてるけど、これだと自分に還元されるものがないのでは」「いつまでもただ楽しいだけでいいのだろうか。目的を作ってそれを達成した上で楽しめればもっと楽しいと思えるのでは」と思い始めました。

お金と、文字通り人生を損している

先に述べたように、これまで自分のカンファレンス参加はオンラインでの参加がメインでした。

オンラインであれば会場への移動時間や費用は基本的に0ですし、「自分が求めていた時間の使い方ができてない」となれば損切りも容易いです。

しかし、オフライン参加するのであれば会場移動のための時間や費用がほぼ確実に発生します。

特に時間の使い方は大事です。僕らのお給料はベース金額は能力によって決まりますが、支払われる給与の合計は時間に比例します。

副業を始めると特にそうで、例えば1時間無駄にしてしまうと「副業してればx円得られたのに…」という思考になっていきます。

また、人が死ぬ確率をみなさんは即答できますか?

答えは100%です。普段は意識していないし残りが見えないけれども、確実に人生には限りがあります。それは明日かもしれない。

以上のような考え方が自分の根底にはあるので、1円1秒を無駄に生きてる暇なんてないと考えているのが私です。

少なくとも自分の意志で参加している

もう一つは「カンファレンス参加は誰に矯正されたものでもなく、自分の意志で参加している」ということです。

自分は鴨志田一先生というラノベ作家[2]が大好きなのですが、彼の座右の名は「なぜベストを尽くさないのか」だそうです。

例え会社に言われて仕方なく参加していようが、結局その場にいて参加しているのは自分自身なのですから、「なぜベストを尽くさないのか」です。

「楽しいから、ヨシ!!」 ・・・本当に?

「なんとなく」で参加している人よりはよいかもしれません。けど、ソフトウェアエンジニアとしてそれでよいのでしょうか?ただ娯楽を求めるだけなのであれば、他にもっと低コスト高タイパで提供されている娯楽があります。

少なくとも、ソフトウェアエンジニアリングが「上手くなりたい」という気持ちが大なり小なりあるからわざわざ休日の時間を使って参加しているのではないでしょうか。

ただカンファレンスに参加して「楽しいから、ヨシ!!」だと、楽しむ意外にソフトウェアエンジニアとして何かしら目的を持って参加している人と大きく差がついていくことでしょう。

なぜなら、カンファレンスに使う時間と与えられている娯楽は全員同平等だからです。カンファレンス運営スタッフのみなさんは、"楽しい"を届けるために奮闘してくださっています。なのでほとんどの人は特段の努力なく「楽しい」と感じているのです。

また"今回は"楽しかったからよかったけど、次回も楽しいが保証されているかというとそうではないはずです。

それはHowなんよ

カンファレンスに「なんとなく」「ただ楽しいから」参加しているだけでは、ソフトウェアエンジニアとして成長するわけないというのが持論です。

参加して楽しむことは当然の前提とするべきです。だって、わざわざ楽しくないものに時間とお金使いたい人間なんていないでしょう?

楽しむのは当然として、「そのうえで何をするか?」を持っている人といない人で同じ時間を使っていても大きく差が付いていくんじゃないかと考えています。

特に自分の場合、神戸ではそう頻繁に参加できるオフラインでのカンファレンスがないので、大体のカンファレンス参加は遠征です。

なので費用や時間の制約がどうしてもつきまといます。だからこそ、参加するからには少しでも意味のある時間にしたい気持ちが強いです。

なぜカンファレンスに参加するのか

自分の場合はこんな感じです。

  • 登壇するために参加する
    • 登壇するのは、何か話したいことがあるから
      • それを話すことで誰かの役に立てばいいと思ってるから
      • 話す準備をする中で知識がついていくことになり、回り回って自分の役に立つから
  • 人と出会うことでしか、人は変われないと考えているから
    • 聞いてみたいトークがあるから (これも結局会いたい人がいるのとほぼ同じかなと。トークを聞くためにその人に会うわけなので)
    • 参加者の中に会いたい人・話してみたい人がいるから
    • 定期的に普段関わらない人と話すことで、新たな考えが芽生えることにつながるから

特に人と出会うことには大きな意味があると考えています。

好きな漫画に『食戟のソーマ』というものがあるのですが、そこでは『出会うことでしか料理人は変われない』とあります。

これをもう少し言語化すると、自分が何者かを正しく知るためには比較対象がいるってことです。

美味しいレストランがどの程度美味しいのかは、たくさんのレストランで食べ比べないとわからない。なぜそのお店は美味しいのか?は実際に食べてみないと分からない。

さらに、食べてみても分からなければ、シェフに美味しい理由を聞いてみないと分からないですよね?

だから僕はふりかえりブログの中で、テックカンファレンスの中で人と話したことを書ける範囲で具体的に書き残します。その人から受けた刺激や、次に会ったときに話したいことを忘れないようにするためです。

「なんとなく参加してる」「ただ楽しいから参加してる」「目的を探すために参加してる」人へ

「なんとなく参加してる」「ただ楽しいから参加してる」それでもよいのですが、「より楽しむためにどうするか?」を考えて参加してみるともっと楽しくなると思うのです。

Xやはてなブックマークにて「なんとなく参加していても、偶然から始まる出会いもある」という意見もいただきました。

はい。それは全くもってその通りだと思います。結果それが成長や体験につながったのであれば、とても尊いことだと思います。全く否定するつもりはありません。

ただ、「生存者バイアスが多少は入ってるかな」というのが自分の見解です。再び自分が好きな漫画シリーズですが、『ブルーロック』にこのようなセリフがあります。

『お前らは鳩にフンを落とされたことはあるか?夏祭りの出店のくじ引き、悪徳店主が「アタリ」を一枚も入れてなかったとしたらそのくじで「ハズレ」た奴は運が悪かったと言えるか?運はどこにでも存在するものじゃなく「落ちる場所にいる者にしか舞い降りない」』

つまり「なんとなく参加した結果の偶然の出会い」というのは、単にサッカーの試合に参加して、最終局面でボールが自分に来るのを待っているのと同じだと言いたい。

確かにそれでサッカー楽しめるかもしれない。しかもボールが自分のところに来るかもしれない。結果得点し、かけがえのない体験になるかもしれない。しかし逆にボールがこなければ「ただ楽しかった」で終了です。

けど、「目的を持って参加」していれば、ボールが来たときに確実に得点することができます。

これが「目的を持って参加する」ことの意義だと考えます。

とはいえ初めの一歩から目的を持つことは難しいと思います。そんな人はそーだいさんのこの記事の内容を読んでこれを目的にしてみてください。そして、カンファレンスで是非ともこれを目的としてみてください。

例に漏れずめちゃくちゃいいことが書かれています。

https://soudai.hatenablog.com/entry/2024/04/14/110948

カンファレンス以外の時間も楽しみ尽くす

さて、もう一つ話しておくことがあるのですが再度武田さんからのフィードバックに戻ります。

https://twitter.com/KentarouTakeda/status/1779663201845801103

ここまではカンファレンス当日の時間の使い方についての考えだったのですが、それ以外の時間の使い方についても触れていきます。

カンファレンスだけでなくそれ以外の時間も楽しむことができれば、200%カンファレンスを楽しむことができます。

オレたち、ソフトウェアエンジニアである前に人間なんだぜ?

最初にも話しましたが、人間が死ぬ確率は100%です。もしかすると、この遠征先には二度と来ることがないかもしれない。

そう思うとただの景色も少し特別なものに見えたりしませんか?また「そこにしかないもの」は一つでも多く見ておいたほうがいいなと思いませんか?

さらに自分の場合は、『オタク』『聖地巡礼』というバフがあります。この前『マツコの知らない世界』で聖地巡礼特集をしており、こんなことをおっしゃってる方がいました。

「アニメにはなんでもない風景を観光地に変える力がある」と。これってつまりブランド力のことです。有名な〇〇さんが身に付けてる・使ってる からみんな身につける・使うわけで、アニメにもこれと同じ力があります。

だからこそ自分は、アニメや漫画の力を最大限活用することにつながる今の仕事が好きです。

自分の場合は『聖地巡礼』でしたが、そこでしかできない体験をしに行くが目的であればなんでもよいと思います。

例えば…

  • そこにしかないお酒を現地で飲み尽くす
  • そこにしかないご飯を食べる
  • そこでしか買えないものを買いに行く
  • そこでしか見れないものを見に行く

日本は世界的に見ても、とても長い歴史を持つ国です。なので、どこに行っても意外と何かしらそこにしかないものがあります。

少なくとも自分が死ぬまでにそれを全て体験し尽くすことは無理じゃなかろうか。つまり、死ぬまでずっとカンファレンスを200%楽しめるってことです。いえい。

おわりに

基本的に自分は「明日死ぬかもしれない」を定期的に考えてる暗い人間です。

それを考えているからこそ、「この体験は次にはできないかもしれない」「寿命使ってんだから少しでも元を取らないと」の精神でカンファレンスの時間も、それ以外の時間も過ごしています。

時間を無駄にしたくない。時間とお金を使うなら少しでも多く自分に還元されるアクションを取りたいなと思うからこそ、凝縮された時間になってるのだと思います。

みなさんも是非、みなさんなりのテックカンファレンスへの参加目的を考えてみてください!正解はありません!

脚注
  1. 以降、記述の都合上テックカンファレンス=カンファレンスとします ↩︎

  2. 代表作に、『さくら荘のペットな彼女』『Just Because!!』『青春ブタ野郎シリーズ』など。 ↩︎

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