Chapter 02

学習のロードマップ

lacolaco
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2023.03.27に更新

Angular のチュートリアルを終えたことで、あなたは何を学び、何をまだ学んでいないのでしょうか。ここまでに何を積み上げ、この先に何が待っているのかについて、大まかな全体像を掴んでおくことにしましょう。

チュートリアルで学んだこと

Angular のクイックスタート チュートリアルツアー・オブ・ヒーローズ チュートリアルを通して、学習者は Angular の基本的な機能を知り、Angular を構成する主要な概念を学ぶことができます。具体的には、次のような機能や概念に触れているはずです。

  • コンポーネント
    • テンプレート HTML とデータバインディング
    • 組み込みディレクティブ(ngFor/ngIf など)の使い方
    • コンポーネント間のコミュニケーション(Input/Output)
    • 再利用可能なコンポーネントへの分割
  • 依存性の注入
    • サービスの作成とコンポーネントへの注入
    • HttpClientModule を使った通信
  • ルーティング
    • RouterModuleを使った基本的なナビゲーション
    • Angular Router の基礎的な使い方
  • フォーム
    • ReactiveFormsModule を使った基本的なリアクティブフォームの作成
    • FormsModuleを使った基本的なテンプレート駆動フォームの作成
  • Angular CLI
    • Angular CLI を使ったアプリケーションの作成とローカル開発
  • RxJS
    • Observable の基本的な使い方

もしこれらのことを学べたという実感がなければ、何度でもチュートリアルを繰り返してみましょう。サンプルコードの中に意味を理解していないコードはありませんか?サンプルコードをコピー・ペーストしなくても文章だけで同じコードを書けますか?テキストを読まなくてもツアー・オブ・ヒーローズの要件を満たすアプリケーションは自分ひとりでも作れるでしょうか?

もうチュートリアルから学ぶことは無くなったと言えるなら、ロードマップの先へ進む準備ができています。

チュートリアルで学んでいないこと

はじめにで書いたように、本書はチュートリアルと開発の現場をつなぐための実践的な入門書として、公式チュートリアルではまだ学べていないことを学ぶための本です。では、開発の現場で必要でありながら、チュートリアルを終えても学べていないことは何でしょうか。

チュートリアルで作成したアプリケーションは学習のためだけに作られた短命なものです。開発者も自分ひとりしかいません。しかし現実にあるビジネスのためのアプリケーション開発はそれよりもずっと期間も長く、備える機能も関わる開発者も多いはずです。
前提が違うのですから、ツアー・オブ・ヒーローズをそのまま真似して現実のアプリケーションを作ろうとしてもうまくいきません。チュートリアルはあくまでも Angular の基礎を学ぶことにフォーカスした教材です。

つまり、Angular のチュートリアルを終えた開発者が学ばなければならないことは、ビジネスにおけるアプリケーション開発の課題をどのように Angular で解決していくかということです。
具体的には、次のようなことを優先的に学んでいく必要があります。

  • アプリケーション開発の持続可能性を高めるための方法
    • ユニットテスト
    • リファクタリング
    • アプリケーション設計
  • ユーザー体験の品質を高めるための方法
    • パフォーマンス
    • アクセシビリティ
    • コンポーネントのスタイリング
    • Web プラットフォーム機能の活用

本書での学び方

これらの方法を習得するためには、Angular の知識・経験だけでなく、一般的な Web アプリケーション設計への知識・経験も必要になります。前者は Angular の公式ドキュメントを深く読むことで多くを知ることができますが、それを後者と組み合わせながら現実に適応させてうまく活用するには経験が必要です。

本書ではイメージしやすいシナリオを例示しながら、それを解決するために役立つパターンやテクニックを解説します。どのような目的で、どのような問題を解決するためのプラクティスなのかを理解していくことで、複雑な課題に直面したときにもそれを分解して解決していくときに役立つはずです。

ただし、本書の内容はまだまだ不足しています。少しずつ拡充できるよう努めていますが、本書以外にも参考になるドキュメントや記事はたくさんありますのでぜひ自分でも探してみてください。

それでは次の章から、Angular After Tutorial を開始しましょう!