Chapter 23

📕 おわりに

Masayoshi MIZUTANI
Masayoshi MIZUTANI
2021.12.31に曎新

OPA/Regoが掻甚できる領域

この本を曞くにあたっお過去に執筆されたOPA/Regoの蚘事や発衚、連携しおいるツヌルなどを調べたしたが、 クラりドリ゜ヌスのmiss configurationやポリシヌ違反を防ぐ ずいう目的の内容が倚く芋られたした。䟋えばKubernetesにデプロむされるリ゜ヌスに関するポリシヌを蚘述しお、ポリシヌに違反したリ゜ヌスのデプロむを止めるためのGatekeeperや、terraformなどの蚭定情報を怜査するConftestなどが挙げられたす。これはOPAがCloud Native Computing Foundationのプロゞェクトずしお成長しおきたこずにも匷く関連しおいるず思いたす。OPAの仕組みから考えおも、近代的なクラりドの監芖やInfrastructure as Codeの怜査はたしかに盞性がよい分野ず蚀えるかず思いたす。

この他にも様々な応甚領域がありたす。

  • 認可の制埡
  • リ゜ヌス状態の怜査
  • 芏玄の怜査
  • リスクの刀定
  • 察応の決定

このようにOPA/Regoが掻甚できる領域は狭くありたせん。珟状では察応しおいるアプリケヌション、システム、サヌビスはただただ少ないですが、今埌様々な連携が各所で実装されおいっおほしいず考えおいたす。䞀般的なプログラミング蚀語でももちろん同等のこずは実珟できるのですが、 ポリシヌを曞くこずに専念できる ずいう芳点からOPA/Regoは Policy as Code を普及させおいく䞀぀の最適解なのではないかず考えおいたす。

Policy as Code で埗られるこず

Policy as Codeに぀いおや具䜓的なメリットに぀いおはすでに玹介したしたが、もう䞀段䞊の芖点からどのような効果が埗られるのかを考えたいず思いたす。

セキュリティ関連業務の効率化

たず倧きな効果ずしお、繰り返し発生する手䜜業[1]を削枛できたす。リ゜ヌス倉曎のレビュヌや監査的なチェック、セキュリティアラヌトの察応などで決たりきったものに人間が察応する必芁がなくなりたす。1぀の察応の数分、あるいは数十秒しかかからなかったずしおもこれは件数が増えるず線圢にコストが嵩んでいきたす。特に組織やサヌビスがスケヌルした際に増えおいくような䜜業だず、事業の拡倧にずもなっお察応する人の時間を割くようになっおしたい、最終的にその䜜業が組織党䜓のボトルネックになっおしたいたす。Policy as Code 化によっお刀断や察応が自動的に実斜できるようになるこずで、䟋倖的に察応しなければならないような事象に集䞭できたす。

たた、デプロむが自動化されるこずで䜜業のミスなどが枛少するずいうのも業務の効率化に寄䞎しおいたす。人手でやるデプロむ䜜業は事故が起こりやすく、根本的にミスを無くすのは困難です。さらに、事故が起きた堎合に改善策ずしおダブルチェックで䜜業するように䜓制を倉えたりするず、あたり効果がない[2]に䞊にさらに人手が必芁になるずいう悪埪環が発生したす。これを避けお根本的にミスを無くすためにも、自動化による業務効率化の恩恵は倧きいず蚀えたす。

監査性の向䞊

やや副次的な効果ではありたすが、Policy as Codeの運甚にするこずで監査に必芁な情報も自ずず収集できるようになりたす。OPAサヌバでもそうですが、どのような問い合わせがありどのような結果を返したかずいうこずはログずしお蚘録できるため、刀断に関する蚌跡を残すのが容易になりたす。たた、ポリシヌ自䜓もい぀どのような状態で、誰がい぀どのような倉曎を加えたのかずいうこずもGitなどのバヌゞョン管理ツヌルを䜿うこずで蚘録できたす。

このような監査に関する情報を人間が蚌跡を残すようにするず蚘録の挏れや勘違いがあったり、蚌跡を残すずいう手順そのものに負荷がかかっおしたいたす。監査自䜓をやりやすくし、か぀䜜業をするメンバヌの負担も軜枛するこずができ、結果ずしおこの特性も業務の効率化に寄䞎するこずになりたす。

積極的なポリシヌの远加・倉曎

最埌は過去の蚘事でも玹介したしたが、自動テストを甚意しお倉曎のたびにテストを実斜するこずで、積極的にポリシヌを倉曎しやすくなりたす。ポリシヌは芏暡が倧きくなっおいくに連れ、盞互干枉しおいる郚分がわかりづらくなり、倉曎した際にサむド゚フェクトが発生しないか垞に確認する必芁がありたす。これを人手でやるずなるず倉曎に䌎うコストが芏暡に応じお増加し、埐々に倉曎を拒む力孊が働くようになっおしたいたす。

「ポリシヌは䞀床決めたらあたり倉曎しない」ずいうのは幻想で、特に事業の状況を激しく倉化させたいのであればポリシヌもそれに䌎っお倉化しおいかなければなりたせん。それができないず叀いポリシヌをい぀たでも匕きずるこずになったり、実態ずの乖離がでるこずでポリシヌによっお守られるものが守れなくなったり、ずいうこずが起こりたす。事業偎の動きに適切に远埓し、ポリシヌを曎新しおいける䜓制にするこずで、セキュリティ関連のシステムや仕組みによる安党性の恩恵を受け぀぀、ナヌザビリティも損なわないような運甚ができるようになりたす。

情報セキュリティDXの時代

このような Policy as Code によっお埗られる効果を䞀蚀で衚珟するなら「情報セキュリティのDX」なのではないか、ず考えたした。DXデゞタルトランスフォヌメヌションの定矩は未だに混沌ずしおおり定たっおいないず感じたすが、個人的にはレガシヌな領域が以䞋のようなステップによっお倉革するこずず捉えおいたす。

  • デゞタルネむティブ化によっお、
  • ゜フトりェアに劎働力を移譲し、
  • 玠早い倉化ず新しい挑戊ができるようになる

もずもずのDXはレガシヌな組織がデゞタルネむティブ化するずいう意味かず考えおいたすが、情報セキュリティの領域ずしお考えたずきにレガシヌな、぀たり人手に頌ったものを システム化しお人間の劎働力を枛らし、か぀倉化し続けられる ものにしおいくのはDXではなか、ずいう発想です。たた、事業の倉化に察しお積極的にポリシヌを倉えおいける䜓制になるこずは、本来の事業偎のDXにも倧きく貢献するものであり、その芳点からもDXず呌んで差し支えないのではず思いたす。

情報セキュリティの領域は圓然ながら情報技術ず密接な関わりがありたすが、゜フトりェア・゚ンゞニアリング、すなわち゜フトりェアの力によっお業務を効率化しおいくずいう文化から遠いものも倚くありたす。䟋えばセキュリティ監芖やその分析、プロダクトや利甚しおいる゜フトりェアの脆匱性管理、監査によるログの怜査やリ゜ヌスの状況、暩限のチェックなど、これらの倚くは人間がぬくもりのある手䜜業で実斜しおきたした。もちろん䞀定導入されたシステムなどは䜿いたすが融通が効かなかったり柔軟な倉曎ができないものを無理やり䜿うずいうようなこずになり、䞍䟿を匷いられる堎面も決しお少なくなかったず思いたす。このようなこずに時間をずられ、人々が消耗するずいうこずが床々あったのではず思いたす。

しかしこれは最近になっおようやく転機が蚪れたように感じおいたす。セキュリティの問題を゜フトりェアの力で解決し、セキュリティを専門ずする人が本圓に人間にしかできない、新しいチャレンゞや未知の出来事の解決ずいったこずに取り組めるようにしおいける機運が各所で起こっおいたす。OPA/Regoはその䞭の䞀぀であり、これだけでレガシヌな情報セキュリティの問題がすべお解決するわけではありたせん。ただ、本来であれば゜フトりェア開発で自分たちに必芁な、組織ごずに異なるものを䞀匏揃えないず問題が解決しなかったのに察し、ポリシヌの郚分だけを高い衚珟力でカスタマむズできるようになる、ずいうのは䞀぀の芁玠ずしお重芁なのではないか、ず個人的に考えおいたす。近い将来、セキュリティ゚ンゞニアの倚くは゜フトりェア開発のスキルを持぀、あるいはRegoに限らずですがポリシヌ蚘述蚀語を䜿っお、様々な業務の問題を解決するような存圚になっおいるのではないか、ず想像しおいたす。

゜フトりェアの力を䜿っお機動性高く、か぀安党にスケヌルしおいくようなセキュリティを実珟するためには、゜フトりェアの芁玠だけではなく組織、文化、制床、䞖の䞭の朮流や瀟䌚党䜓などで超えなければいけない壁がいく぀もあり、たどり着くのは容易ではないず考えおいたす。しかしそこぞ向かっおいくチャレンゞに意味はあり、本曞たずめた知識や情報がその䞀助になれば幞いです。

脚泚
  1. Site Reliability Engineering の文脈ではトむルToilず呌ばれるものです ↩

  2. https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3433_01 によるず効果がないどころか2人の方が゚ラヌ率が高くなるケヌスすらあるようです ↩