概要
ウェブアクセシビリティを実践する際、基準となるのがWCAG(Web Content Accessibility Guidelines、ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)です。このガイドラインには、ウェブコンテンツを制作する上でアクセシビリティを担保するために気をつけるとよいことがまとめられており、大変参考になります。
しかし、いざその文章を読もうとしてみると、WCAGの文章は難しい![1]
なので、簡単な言葉に読み替えながら理解しましょう!
アクセシビリティ対応にハードルを感じている・どうやればいいかわからない人にも、身近に感じてもらえたら幸いです。
想定読者
- ウェブアクセシビリティに取り組みたい(もしくは取り組む必要に駆られた)ウェブサイト制作者・ウェブアプリケーション開発者
- WCAGを読もうとしたけど、難しすぎて挫折した人
この本を読む前に
「ウェブアクセシビリティってそもそも何?」という段階の方は、デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを先に読むことをオススメします。
「そもそもアクセシビリティとは?」「なぜ必要なのか?」といった内容がわかりやすくまとめられています。
執筆の方針
- WCAGの内容を完全に理解するのではなく、**「ざっくりどういう趣旨の話なのか理解する」**ことを第一目標としています。
- そのため、あえて細かい例外などを削ぎ落とし、厳密でない説明をしている部分があります。
- 例えば、正確には「ユーザーエージェント」と表現すべき部分を、「ブラウザ」に置き換えて表現します。ユーザーエージェントはブラウザだけではありませんが、多くの場合はブラウザであり、学習者にとってイメージしやすいものとしてブラウザを選択します。
- WCAG理解のための「足がかり」を目指しています。
- それをご理解いただいた上で、もし間違っている内容を見つけた場合には読者コミュニティで教えてください。
- タイトルの通り、中学生でもわかることを目指しています。
- やさしい日本語を意識して執筆しています。具体的にはやさにちチェッカーでB以上を目標、Cまでを許容としています。
- なぜ「中学生でも」としているのかは、達成基準3.1.5を読むとわかります。
おことわり
- この本は著者である私自身の、アクセシビリティの勉強の一環でもあります。
- 正確な資料としてではなく、学習の参考として活用してください。
- アクセシビリティの取り組みはWCAGに準拠することがすべてではありません。
- WCAGは大変有用な資料ですが、場合によっては準拠が難しいこともあります。
- あくまで「ガイドライン」であり、「法律」でも「ルール」でもありません。
- タイトルに「ゆるふわ」とはつけたものの、WCAGがそもそも長いので、結構長いです。すべてを読もうとするのではなく、まずは気になる部分だけを読む使い方をオススメします。
そもそもWCAGとは
WCAGは。Web Content Accessibility Guidelines(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)のことです。
W3Cという国際的な団体が公開している、ウェブアクセシビリティに関するガイドラインです。
「これを守っておけばどんな人でも使いやすいよ」という基準をまとめています。
この本の形式
以下の形式で書いていきます。
見出し
(WCAG 2.1 解説書 日本語訳から引用)
(引用元のリンク)
やさしい言葉で言い換えた文(太字)。
補足説明の文章
次に上げるのは具体例です。
1. 知覚可能 とは
情報及びユーザインタフェース コンポーネントは、利用者が知覚できる方法で利用者に提示可能でなければならない。
https://waic.jp/translations/WCAG21/#perceivable
文字や画像・音声などが、見える・聞こえるようにしましょう。
ユーザーが「そこに情報があるなー」って思えるようにしましょう。
「操作できるかどうか」や「理解できるかどうか」はここでは一旦考えません。
(「操作できる」は2.の操作可能、「理解できる」は3.の理解可能で考えます。)
太字の部分だけを拾い読みしてもらうだけでも、WCAGにどんなことが書いてあるのか知ることができると思います。
引用元
ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC) が翻訳して公開しているWCAG 2.1 解説書の日本語訳を引用して作成しています。
解説書には詳しい解説が載っているので、この本よりも詳しく知りたくなったらそちらを参照してください。
-
厳密・汎用的に表現しているためなので、悪いことではないです。 ↩︎