[Windows]Surface Go(第1世代)に MX Linux を入れるまでの記録
はじめに
Windows 10 のサポート終了が近づいています。手元のデバイスを有効活用したいため、Surface Go(第1世代)に MX Linux を導入しました。本書では、実際に発生したつまずきを踏まえて整理した新OS導入手順をまとめています。
対象者
- Surface Go(第1世代)を持っている人
- 手元のPCのWindowsを削除したい人
- 手元のPCに新しいOSを入れたい人
前提
全体の流れ
- Windows OS 削除 → USB から起動 → Live 起動 → 日本語設定 → PC本体(内蔵 eMMC)へインストール完了
要点
- 新しめの USB3.x メモリを使う(古い USB2.0 個体はPCが認識しにくい)
- 事前にSurface Data Eraser(SDE)で Windows を削除する
- Surface UEFI で USB Storage Boot を有効、Secure Boot を無効にしておく
- Rufus は GPT / UEFI(CSM なし)/ FAT32 で作成。必要に応じて DD モード
使用環境
-
本体: Surface Go(第1世代)
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検証用 PC(なくてもよいが、原因究明の切り分けにあると便利)
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USB メモリ (1本でもよいが、SDE用とRufus用に2本あるとスムーズ)
- 失敗: USB2.0/16GB →USB2.0 は非推奨
- 成功: USB 3.2 Gen1 / 32GB →USB3.x を推奨
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LiveUSBメモリ作成ツール: Rufus 4.9
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OS イメージ: MX-23.6_x64.iso
【手順①】Surface Data Eraser(SDE)で Windows を削除する(前処理)
Surface Go に MX Linux を入れる前に 別の OSが存在していると Live USBを認識しませんでした。そのため、Surface Data Eraser(SDE)を用いて Windows OSを消去してから進めました。
※詳細は公式ページをご確認ください。こちらからツールもダウンロード可能です。
Surface Data Eraser(公式)
0. 事前チェック
- USB メモリは 4GB 以上を用意する(推奨は 8GB 以上、USB3.x)。中身は全消去される
- 作成用の Windows PC は管理者権限が必要
- ネットワーク接続があると SDE の WinPE 展開が安定する
- 対象 Surface はバッテリー 50% 以上、または AC 接続
1. SDE USB の作成(作成用 PC で)
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公式ページからDataEraserSetup.msi をダウンロードし、実行してインストール
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SDE を起動し Build を選ぶ
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4GB 以上の USB を挿した状態で Continue を押す
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アーキテクチャを選択
- x64(2020 以前のデバイス)
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Select USB で対象 USB を選び Start を押す。Start が押せない場合は後述の USB 初期化を参照
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Success を確認し Finish で完了。USB を安全に取り外す
2. Surface を SDE USB から起動(対象機で)
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作成した SDE USB を挿す。USB‑C 機は信頼できる USB‑C→A アダプタやハブを使う
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電源を切り、音量マイナスを押しながら電源ボタンを短押しし、音量マイナスを離す
これで USB ブートできない場合は次の UEFI 設定を見直す -
UEFI の見直し(必要時)
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起動方法は音量プラスを押しながら電源ボタン
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Boot
- Enable Alternate Boot Sequence を On
- USB Storage を On
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Security は基本 Secure Boot を On のままでよい。どうしても起動しない場合のみ一時的に Off を試す
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保存して再起動し、音量マイナス + 電源で USB ブートを再試行
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起動後に SoftwareLicenseTerms が表示されたら閉じる
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画面の指示に従い Accept と入力して規約に同意
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ストレージ検出後に Y で消去を実行。確認が出たら Yes で確定
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完了したら終了し電源を切る。
3. よくあるトラブルと対処方法
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SDE の Start が押せない、USB が 4GB 未満に見える
- 以前に Rufus などでブート化した USB はパーティションが分割されて容量が小さく見えることがある。USB を初期化してから再作成する。初期化手順は本文の 役立ったコマンドと操作メモ の DiskPart を参照
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ドライブレターを割り当てられません と表示される
- DiskPart の assign でドライブレターを付与し、だめなら抜き差しや別ポートを試す
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Surface が USB から起動しない
- UEFI の Alternate Boot Sequence と USB Boot を有効化する
- Secure Boot は基本 On のままでよい。起動しない場合のみ一時的に Off を試し、消去後は戻す
- 別アダプタや別 USB、USB‑C 直挿しなども検証する。バッテリー不足やドック経由の多段接続は避ける
-
ARM と x64 の選択を間違えた
- その USB では起動しない。正しい設定値で作り直す
4. 消去後(再インストールの準備)
- Surface 復元イメージまたは Windows インストール USB を用意し、同様に USB ブートしてセットアップする
【手順②】Surface Go に MX Linux をインストールする手順
1. USB メモリを用意する(USB3.x、8GB 以上推奨)
2. OS (MX Linux) をダウンロード
公式ページから任意のOSをダウンロードしてください。今回は「MX-23.6_x64.iso」をダウンロードしました。
MX Linux(公式)
3. Rufus でLive USB を作る
公式ページから最新版の実行ファイルをダウンロードして以下の手順を進めてください。
Rufus(公式)
- ブートの種類に ダウンロードしたOS(MX-23.6_x64.iso)を指定(ISO ファイルは PC 上から直接指定)
- パーティション構成は GPT
- ターゲットシステムは UEFI(CSM なし)
- ファイルシステムは FAT32
- 書き込みは ISO イメージモードから試す。失敗したら DD モードで作り直す
※こちらの記事を参考にしてみてください。
[Windows]RufusでLive USBを作る手順と diskpartで通常USBに戻す方法
4. 検証用 PC で起動確認(任意)
- 電源投入直後に Esc でブートメニューを開き、UEFI: USB を選んで起動する
5. Surface Go の UEFI 設定
- 音量+を押しながら電源投入で UEFI へ
- USB Storage Boot を Enabled にする
- Secure Boot を Disabled にする
- Boot Priority の先頭に USB Storage を配置して保存
6. Surface Go を USB から起動
- USB を挿し、音量−を押しながら電源投入。ブートメニューで USB を選ぶ
7. MX Linux を Live 起動して日本語化
- Language/Keyboard/Timezone を ja / jp / Asia/Tokyo に設定
- メニュー先頭の OS (MX-23.6_x64.iso) を選択して Live 起動
8. インスーラーでインストール
- 必要に応じて eMMC のパーティションを作成し、インストール先を選択して実行
以上となります。
お疲れ様でした。これにて無事に新しいOSで操作ができるようになっていると思います。
注意点
今回、私が特にハマった点は以下の通りです。ご注意ください。
- 古い世代の USB2.0 メモリでは起動デバイスとして認識されないケースがあった。USB3.x の新品に替え、別の PC でブート確認してから本番機で試すと切り分けが速い
- Windows が残存している構成では、インストーラのパーティション選択で PC がLive USBを認識してくれず、進行しづらいことがあった。クリーンインストール前提であれば、事前バックアップと回復用 USB の作成を行い、Windows の領域を削除してから実施するとスムーズな場合がある
- ブート用に作成した USB は通常のストレージとして認識されない。diskpart の clean で初期化してから再フォーマットすると復旧できる。Rufus にもドライブ復元に相当する機能がある。
操作メモ
Surface Go
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音量+を押しながら電源投入で UEFI
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音量−を押しながら電源投入でブートメニュー
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UEFI 設定
- USB Storage Boot = Enabled
- Secure Boot = Disabled
- Boot Priority は USB を先頭に
おわりに
今回新OS導入では、多くのポイントでハマりました。そして、今回の作業で痛感したのは原因が複合しやすいということで、古い USB メモリの個体差、Windows OSの存在、Rufus の設定、UEFI の挙動などが絡み合い、どこから見直すかで解決までの時間が大きく変わると思いました。これらを確認すれば、再現性高く新OSを導入できるはずです。
この記事が、誰かのつまずきを一つでも減らす助けになればうれしいです。
株式会社ONE WEDGE
【Serverlessで世の中をもっと楽しく】
ONE WEDGEはServerlessシステム開発を中核技術としてWeb系システム開発、AWS/GCPを利用した業務システム・サービス開発、PWAを用いたモバイル開発、Alexaスキル開発など、元気と技術力を武器にお客様に真摯に向き合う価値創造企業です。
Discussion
初代Surface Go(ストレージ64GB)を持っていて、数回Debianをインストールしました。
私の場合は、以下の状態であったので処分しようと思っています。
以下は、Surface特有の操作です。
linux-surface / 主要ディストロ向けバイナリkernelが公開されています