UE4とUE5の違いとは?新機能まとめてみた
今回はUE4とUE5の違いについて新機能と一緒にまとめてみました。
2022年4月に正式リリースされたUnrealEngine5
2022年4月5日にUnrealEngineは「UnrealEngine4」から「UnrealEngine5」へ変更され、それに伴いUrnealEngineのエディタや機能が大きくアップデートされました。UE4でも細かくアップデートはされていましたが、バージョンの名前自体が変更されるアップデートは約八年ぶりで大きくUnrealEngineがアップデートされた事になります。
UE5とUE4との違いとは?主な三点を紹介
UE4からUE5へ変更された点は主にエディタの見た目です。全体的に非常に使いやすくより、ゲーム開発が効率的かつ高品質に作れるよう改善されました。見た目が変わりましたが主な機能に変更はないのでUE4ユーザーであればUE5での使用にすぐ慣れるでしょう。では具体的な違いを解説していきます。
①エディタの見た目がよりシンプルに,カスタマイズ性も向上
UE4とUE5のエディタの違いは以下です。簡単に言うと、UE5ではそれぞれのウィンドウが簡単に開閉できるようになりビューポート(ゲーム画面)が広がりました。
見た目の部分は大きく変更されていますが、エディタの機能自体はほぼ変わっていません。つまり、ゲームの作り方はUE4からほとんど変わっていません。UE5のエディタで具体的な変更点を挙げるとするなら以下の3点です。
・それぞれのボタンやウィンドウの位置が少し変更されました。
・ウィンドウのカスタマイズ性が向上しより非常に使いやすくなりました。
・テンプレートプロジェクトと呼ばれる最初にゲームを作る時に選べるゲームのテンプレート内容が若干変更されました。
つまりエディタは見た目が変更されただけでUE4からの既存の機能は特に変更はありません。もちろん新機能は追加されたので、既存の機能については特に変更はないという事になります。
②グラフィックがさらに綺麗になった
後ほど解説しますがNaniteやLumenという新機能でによってグラフィックが向上し、より綺麗にリアルにゲームを描画できるようになりました。UnrealEngine5で作られたゲームや風景などがYouTubeにあがっていたのでいくつか紹介します。以下UE5で制作された動画です。
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また、UnrealEngine5ではリアルなゲームが注目されていますが、アニメ風のゲームも他のゲームエンジンより綺麗に描画してくれます。UnrealEngine5の特徴は何か?と聞かれれば「グラフィックが綺麗」というのが一番最初に挙がってくるでしょう。
③完全無料ゲーム素材を簡単にゲームに追加できるようになった
UE5からQuixelBridgeというツールを導入した事により全てのQuixelのゲーム素材を簡単にゲーム上に追加できるようになりました。ゲーム素材とは例えば草や木,石や建設物の3Dモデルや、地面の柄となるテクスチャ(画像)などがあります↓
これらは全てUnrealEngineのゲームに使用する事ができ、UE5ではドラッグ&ドロップで簡単にゲーム上に配置できるようになりました↓
要するに無料で豊富なゲーム素材がUE5では簡単に使用できるようになったという事になります。
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ちなみにこれらのリアルなモデルを買おうと思ったら超高額になります。リアルな3Dモデルの石のセットを購入するのに通常だと数千~数万したりします。そんな高品質な3Dモデルが使用できちゃう訳です。ではここからはUE5になって追加された新機能について解説していきます。
新機能について
新機能は色々ありますが①Naniteと②Lumenと呼ばれるものが主な新機能となっています。
①Nanite(高性能レンダリング&自動LOD)
Naniteとは3Dモデルを効率的かつ高速にレンダリングするシステムです。また自動でLODを行ってくれます。LOD(Level Of Detail)とは同じオブジェクトでポリゴン数が異なる3Dモデルを何パターンか用意して、カメラの距離によってモデルを差し替えるといった方法です。例えばオープンワールドで遠くまでカメラで映す場合はLODは必須の作業でかなり手間もかかります。それがNaniteによって自動化されます。
LODのわかりやすい画像↓
「LODで負荷を軽減させて60FPSを死守する」より
なので今までのゲームの作り方はオープンワールドなどのゲームでは、基本的に同じ3Dモデルを何種類か用意してカメラの距離によってモデルを差し替えるという作業をしなければなりせんでした。これは非常に手間がかかる作業ですが、モデルを差し替えないと重すぎてゲームがプレイできないためです。その問題を解決したのが新機能のNaniteです。
Naniteは簡単にオンオフを切り替える事ができて、表示画面に合わせて3Dモデルのポリゴン数を自動調整します。カメラから遠い場合にはポリゴンを粗く、近い時にはポリゴンを細かくします。そうする事によって負荷を抑えたままレンダリングする事が可能になります。
ゲームのプレイ中にこのNaniteは実行され、3Dモデルのポリゴンがカメラからの距離に合わせて徐々に変化する訳ですが変化する過程は人間の視覚では全くわかりません。
このNaniteによって実質無制限にポリゴンを描画できるようになったとの事です。数億ポリゴンでもかくつく事なく描画できるとの事で、PS5やXboxなどでも問題なく動作確認済みとの事です。動画がこちら↓10分30秒あたりのロボットが数億ポリゴンらしいです。
Naniteを使って超大量のオブジェクトをレンダリングしている動画です↓コメント🐤
実際に私もNanite使ってみて大量のオブジェクトを設置してFPSを確認しましたがビックリするほど全く重くなりません。とても実用性が高いと思われます。
②Lumen(間接光,反射のリアルタイムライティング)
Lumenとは間接光,反射を考慮したライティングの計算をリアルタイムで行えるシステムです。直接光は光源から直接届く光です。間接光は反射した光によって照らす光のことです↓この間接光をゲームプレイ中に映すのがLumenです。
「北向きのタワーマンションが明るいワケ」より
Lumenのオンオフを切り替えた比較動画です↓LumenがONだと反射した光が綺麗に反映されていますね。
UnrealEngine5の紹介動画↓であったこちらの動画(5分48秒あたりで太陽光がリアルタイムで洞窟内に反映されています)もゲームもライトをベイク(事前計算)している訳ではなく、リアルタイムで一つの太陽となるライトから反射させて洞窟内でも光が広がっているとの事です。
今まではゲームプレイ中にライトの間接光を反映させる事は重たく難しかったので、それっぽく見せる事をしていました。それがLumenによってゲームプレイ中に光を処理負荷は抑えたまま間接光を反映させられるようになりました。さらにこのLumenを使うととても綺麗なライティングになるので、よりゲームが美しく現実世界に近い表現が可能になりました。従来のRaytracingを使ったライティングとLumenを使用したUE5での比較動画です↓
こう見るとLumenでかなり綺麗にライティングが描画されているのがわかります。コメント🐤
目玉の新機能はこのNaniteとLumenです。では、他の新機能も解説していきます。
③World Partition システム(マップをグリッド毎に管理できる)
オープンワールドの作成を高速かつ簡単に作成できるよう目指して作られたのがWorld(ワールド) Partition(敷居) システムです。World Partition システムはワールドを自動でグリッドで分割しセル毎に自動でロード、アンロードなどできるようになります。
これによってゲームプレイ中二プレイヤーからの距離によって必要なセル(マップの一部分)だけを自動描画してくれるのでパフォーマンスが良くなります。
またWorld Partitionには他にも以下の機能もあります↓
①DataLayersによって環境の夜バージョン、昼バージョンなど雰囲気をレイヤーを変更する事によって切り替えられます。
②レベル全体を保存ではなくアクタ毎に保存できるようになったので複数人による同時共同開発が可能になりました。
③Hierarchical LOD (HLOD) システムで、World Partition と連携して、グリッド セル内のアクタからプロキシメッシュ(ポリゴン数が少ない代わりのモデル)を作成し、パフォーマンス向上ができます。
④MetaSounds(オーディオ管理)
では最後にMetaSoundになりますがこれはUE5から追加された新機能で、より複雑な編集が可能になり、かつ高性能なパフォーマンスで直感的にできる音声編集システムです。
UE4の既存のオーディオシステム「サウンドキュー」の上位互換とも言われていますが、まだ実装されたばかりの機能のため情報も少なく、扱いがやや難しいです。
⑤エディタ内でのアニメーション作成強化
Unreal Engine 5内でアニメーションを効率的に編集できるよう強化されました。具体的には、ポーズブラウザでポーズの保存と適用を行うことができるようになったり、フルボディIKソルバという機能でアニメーションの自然な動きを簡単に作成することができたり、MotionWarpingという機能を使うことで、一つのアニメーションから様々な状況をあわせた動きを作り出せます。例えばキャラクターのアニメーションをオブジェクトの高さに合わせて作成できたりします↓
⑥Chaos Physics(物理シミュレーション機能)
Chaos Physicsは、映画のような物理・破壊表現を目指した軽量の物理シミュレーションです。この物理シミュレーションによって建物の倒壊などを自動で行ってくれます↓
「Unreal Enigine Documentation Chaos Destruction」より
より物理挙動の精度は上がり、この機能を利用してシミュレーションが常に予測可能な方法で動作するように微調整することができます。今までは物理挙動をオンライン上で完全に合わせる事はできなかったのですが、ChaosPhysicsではサーバーとクライアントが物理結果を簡単に同期させることができます。
まとめ
UE4とUE5の違いとしてはエディタの見た目の改善、新機能としてはNaniteという要するにパフォーマンスがよくなる機能とLumenというゲームプレイ中の間接光を再現する機能などが追加されました。さらに要約するとUE5になってゲーム制作が楽になり、よりグラフィックが向上したといった感じになります。
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