AWS Summit 2025 初日の個人的レポート
6/25日、幕張メッセで行われた初日のAWS Summitに現地参加しました。振り返りとして聴講したセッションなど簡単なレポートにまとめます。
基調講演
ビルダーと描く新たな価値創造
白幡 晶彦氏(AWS Japan代表執行役員社長)、ラフール・パサック氏(AWSバイスプレジデント)
[内容箇条書き]
- 近年リリースされた新サービスのおさらい
- OracleDatabase@aws
- Amazon Elastic VMware Service
- aws Transform
- 生成AIを活用してレガシーなメインフレームアプリのモダナイゼーションをサポートしてくれるサービス(?)
- amazon connection global レジリエンス
- S3Table
- 特定GPUインスタンスサービスの値下げのお知らせ
- ビルダー育成のサポート
- 富山の専門学校と包括連携協定
- 大阪リージョン開始
- 東京リージョンとのマルチリージョン構成や、低レイテンシーの実現
- 他、AWSの活用事例数社の紹介
[所感]
ざっくりAWSの昨今の取り組みや、アップデート、事例の紹介が行われてました。そのほか、Anthropicの方も登壇していて、日本オフィスを開設してデータも日本国内保存するとのこと。今後の生成AI市場としてかなり日本が注目されていることを実感しました。
セッション
市場変化に対応するサントリーグループの基幹システム改革
サントリーホールディングス株式会社
石橋 浩平・齋藤 陽 氏
[内容箇条書き]
- サントリーグループはグローバル売り上げが6割
- ITの取り組み
- AWSへのインフラ統合
- 2018年にはAWSを採用し始め、2022年にはグローバル全体でAWSにインフラ統合した
- スマートファクトリーの導入
- 商品をスキャンして情報をトレースできるように。トレーサビリティを確保
- 基幹システムはjavaでスクラッチ開発。20年以上運用している。
- AWSへのインフラ統合
- 昨今の取り組み
- システムをマイクロサービス化し、変化に強いシステムに改修
- 夜間バッチ処理を減らしクラウドリソースの利点を活かしたオンライン処理の導入
- データ統合ツール(Fivetran)の導入による社内連携の効率化
[所感]
このセッションでは、システムのマイクロサービス化を実施して、既存システムの個別ロジックを柔軟に変更できるようにした事例が印象的でした。アーキテクチャの工夫として、Auroraの前にElastiCacheを挟んだり、LambdaではなくFargateをあえて使うことでアクセス速度を高速化させている点なども紹介されていて、性能改善Tipsとしてとても参考になる事例と思いました。
クラウド環境を取り巻く最新のサイバー攻撃の動向と必要なセキュリティ対策を解説!
クラウドストライク合同会社パートナー技術統括本部チャネル・ソリューション・アーキテクト
菅村 優哉 氏
[内容箇条書き]
- エンドポイントのセキュリティやログ管理、データ保護、CIEM、サイバー攻撃対応のサービス運用まで実施するサイバーセキュリティ分野の企業
- グローバル脅威レポート
- https://www.crowdstrike.com/ja-jp/global-threat-report/
- 昨今は実行ファイルを使わないマルウェアフリーの攻撃が全体の79%を占めている
- ブレイクアウトタイム(攻撃者の初期侵入)は年々短縮傾向にあり、2018年では9時間かかっていたのに対して、2024年では48分に短縮。最短は51秒で侵入されているケースもあるとのこと
- クラウドへの攻撃が昨今増加傾向にある
- クラウド攻撃の35%は正規の認証情報を利用
- クラウド攻撃の手法一例紹介
- 対応策の紹介
- 基本的にはAWSが提供するセキュリティ成熟度モデルのガイドラインを活用した対策を検討するべき
- well-architedted frameworkとNISTのベストプラクティスが集約されてる
- 基本的にはAWSが提供するセキュリティ成熟度モデルのガイドラインを活用した対策を検討するべき
- クラウドストライクでは、そのガイドラインを拡張する評価ツールを用意。AWSのサービスだけでは対処しきれない要件にも対応できる
- クラウドストライクのサービスで検知した脅威情報を検知アラートをSecurityHubに集約したり、クラウドストライクの方にAWSの検知情報を集約することもできる
- セキュリティ運用サービスも展開している
[所感]
昨今のサイバー犯罪が増加していてより高速になっていることや、具体的な攻撃手法や対策など紹介されていて、個人的にも危機感を持って聴講してました。AWSだけでは対処しきれない要件などはやはりセキュリティ企業のサービスと組み合わせて利用することが望ましいですね。
ブース展示
SONYとホンダの共同開発車:アフィーラ1
クラウド経由でソフトウェアを継続的に更新できるOTA(オーバー・ジ・エアー)を採用しており、自動運転の機能などもOTAでアップデートを図っていくとのことでした。自動運転の実現にはAWSの機械学習基盤を活用しているみたいです。
クラウド運用(運用自動化・コスト最適化)
Githubのaws-samplesに公開されてる「Well-Architected IaC Analyzer」を使った運用自動化ソリューションが紹介されていました。cloudformationやterraformなどのIaCコードや、その他システムの設計ドキュメントなどを入力すると生成AI(Bedrockモデル)がそれを読み取りWell-Architected Frameworkに即したアンチパターンの検出や、改善提案を行ってくれるWebアプリになっているようです。実際に提案された内容を承認すればリソース更新も自動的に行えるようになっていて、そのままAWSサービスとしてすでに展開できそうな印象も受けました。ちなみにAmazon Q Developer(有用版)でもCLI上で同じようなことができて現場では簡単なデモも紹介してもらえました。
アンチパターン神殿
AWSを構築・運用する上で悪手とされる所謂アンチパターンをWell-Architected Frameworkに落とし込んで分析し改善提案までしてくれる啓蒙アプリを紹介してました。ユーザーが業界や仕事内容を入力すると生成AIで架空のアンチパターンを含む運用シナリオを生成。対話形式で問題点を分析したりどうすれば改善できるかまで表示してAWSのアンチパターンを学習できる内容となっていた。実際にリンク先をみてもらった方がイメージつきやすいのでまずはぜひみていただきたい。
AWSデータセンター
貴重なデータセンター内部の話。部屋の構成とかも模型になっていて、隣にVRでデータセンター内部の映像をみれるイベントもやっていました。
AWSの独自チップの実物展示
EC2インスタンスなどで利用されるAWS独自開発チップの実物が展示されてました。2024年にはインスタンスタイプ800以上もあったんですね。。
生成AIハッカソンの作品展示
Summitの開催前に生成AIでアプリを作るハッカソンが行われていたみたいです。開発力はもちろん、アプリの着眼点も面白いものばかりでした。
まとめ
他にも非常に多くのセッション、展示があり1日では全て回りきれませんでしたが、aws利用者としてはとても有益な1日でした。
そのうち各セッション資料もダウンロードできるみたいなので当日見きれなかった部分を追っていきたいと思います。
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