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システム構造による可視化:因果のループを“見える化”しよう

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  • 様々な思考法について学んで実践したい人
  • 駆け出しのエンジニア

1. なんとなく混乱している「問題」ってない?

  • 「毎日忙しい。でも成果が出ない」
  • 「やってもやっても減らないタスク」

そんなふうに感じるとき、実は“構造的な問題”が背景にあることがあります。
この構造を「見える化」できると、問題解決のヒントが見つかるかもしれません。

2.「なんかうまくいかない」が続いてる気がする…

「夜更かし → 寝不足 → 集中できない → 作業が終わらない → 夜更かし…」
こんな“ぐるぐるした流れ”に心当たりはないですか?
実はこれは「ある出来事が別の出来事を引き起こして、それがまた元に戻ってくる」という構造になっています。
この流れのことを「因果のループ」と呼んでいます。

3. ループの例を図にしてみよう

「好循環」の例

  • 運動 → 健康状態改善 → やる気アップ → 運動習慣化
  • ポジティブ思考 → 自信向上 → 挑戦 → 成功 → ポジティブ思考
  • 学習 → 知識習得 → 自信向上 → 学習意欲増加
  • 計画的な行動 → 目標達成 → 満足感 → 次の目標設定
  • 良い睡眠 → 精神的な安定 → 効率アップ → さらに良い睡眠

「悪循環」の例

  • 不安 → 過度な心配 → 行動に支障 → 不安が増す
  • ストレス → 睡眠不足 → 体調不良 → ストレス増加
  • 低いモチベーション → 仕事を後回し → ストレス → モチベーション低下
  • ネガティブ思考 → 自信喪失 → 何も挑戦できない → ネガティブ思考の強化
  • 疲れ → 動きたくない → 健康悪化 → さらに疲れる

◆ 流れや考え方を書き出してみる

なんとなくモヤモヤしているときは、頭の中で考えがぐるぐるしてしまって、
全体の流れが見えにくくなることがあります。

そんなときは一度、自分がふだんどんなふうに考えて、どう動いているのかを
言葉や図にして書き出してみるのがおすすめです。

順番や分岐、前提になっていることなどが見えてくると、
「ああ、こういう流れになっていたんだな」と少し俯瞰してとらえられるようになります。

流れが見えてくると、そこから考え方を変えてみたり、
新しい選択肢を試してみたりするのも、ぐっとやさしくなります。

まずは、自分なりの考え方の流れを、いったん外に出してみましょう。

  • フローチャート
疑似言語
WHILE true:
    IF ストレス > 閾値:
        睡眠の質 -= 低下率
    IF 睡眠の質 < 基準:
        疲労 += 1
    IF 疲労 > 限界:
        ストレス += 1
prolog
悪循環 :- ストレス多い, 睡眠質低い, 疲労あり.
ストレス多い :- 疲労あり.
睡眠質低い :- ストレス多い.
疲労あり :- 睡眠質低い.

4. 悪循環から好循環へ

悪循環から好循環に持っていくためには、まず一度立ち止まって状況を分析し、どの因果関係が自分を追い詰めているのかを特定することが大切です。
その上で、最初の小さな変化を意識的に実行してみましょう。

4-1. 抜け出す「分岐点」を考える

疑似言語に「IF ○○ THEN BREAK」など追加:

疑似言語
WHILE true:
    IF ストレス > 閾値:
        睡眠の質 -= 低下率
    IF ストレス > 閾値 AND 深呼吸した:
        BREAK  // ループ脱出
    IF 睡眠の質 < 基準:
        疲労 += 1
    IF 疲労 > 限界:
        ストレス += 1

Prologで「例外ルール」を入れる:

prolog
悪循環 :- ストレス多い, 睡眠質低い, 疲労あり.
ストレス多い :- 疲労あり, \+ 対処した.
対処した :- 呼吸法, 思考の切り替え.
睡眠質低い :- ストレス多い.
疲労あり :- 睡眠質低い.

→「何か1つでも要素が変われば、ループは止まる」

4-2. ルール自体の変更(=思考の再設計)

疑似言語
疑似言語で「行動方針の切り替え」を表現:
WHILE true:
    IF ストレス > 閾値:
        睡眠の質 -= 低下率
    IF 睡眠の質 < 基準:
        ストレス -= セルフケア効果
        疲労 += 1
    IF 疲労 > 限界:
        ストレス += 1

Prologで「ルールの定義を書き換える」:

prolog
悪循環 :- ストレス多い, 睡眠質低い, 疲労あり.
ストレス多い :- 疲労あり.
睡眠質低い :- ストレス多い.
疲労あり :- 睡眠質低い, \+ 休息時間取った.

→「疲労は必ずしも悪ではなく、ケアすれば蓄積しない構造にできる」という視点転換。

5. 図はどうやって作ればいいの?

まずはシンプルでOK。

  1. 直近の困ってることをひとつ書く
  2. それが起きた「原因」を矢印でつなぐ
  3. それがまた引き起こす「結果」もつなぐ
  4. ループができたらOK!

あとで増やしたり、関係の薄いものを削ってもかまいません。
手書きでも、ホワイトボードでも、マインドマップでも大丈夫です。

6. まとめ:見えない構造が、問題をつくっている

問題にとびつく前に、一歩引いて「構造」を見てみる。
それだけで、今までと違う選択肢が生まれるかもしれません。
因果のループは、その “見える化” の手がかりになります。

脚注
  1. ネガティブな感情や状況が必ずしも無駄ではなく、場合によっては自分の成長や気づきに繋がることもあります。
    しかし、改善を目指す場合は、そうしたネガティブなループから抜け出す手段としてポジティブな行動や思考の変化を意識的に行うことが重要です。
    改善するためには小さな成功体験を積み重ね、徐々に良い循環を作り出していくことが効果的です。 ↩︎

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