音響学-騒音:騒音制御における二つの基本概念
騒音制御における二つの基本概念
はじめに
音の制御は、建築、音響設計、エンジニアリングの分野で非常に重要です。本記事では 「遮音」 と 「吸音」 の二つの基本概念について詳しく解説し、音響透過損失(Transmission Loss, TL)の計算方法についても触れます。
遮音の概念
遮音とは?
遮音とは、壁や仕切りなどを用いて 音エネルギーを反対側に透過させないこと を指します。音を遮断するためには、基本的に 遮音性能の高い材料 を使用する必要があります。
遮音性能は、音響エネルギーの透過率(
例えば、透過率
透過損失(Transmission Loss, TL)
TLの定義
透過損失(TL)とは、音エネルギーがどの程度遮音されるかをデシベル(dB)で表したものです。TLは次の式で定義されます:
ここで:
-
:透過損失 [dB]TL -
:音響エネルギー透過率(0 <\tau < 1)\tau
透過損失が高いほど、音の透過が少なく、遮音性能が優れていることを意味します。
遮音の具体例
例えば、厚さ10cmのコンクリート壁 に 500 Hz の音波 が入射した場合、音エネルギーの 0.0001(0.01%)が透過するとします。
このとき、透過損失は:
つまり、この壁は 40 dB の透過損失 を持ちます。
さらに 高い遮音性能 が求められる環境(例:レコーディングスタジオ、劇場、住宅の防音壁)では、透過損失が 80 dB 以上 となるような構造が必要です。
遮音材の選定基準
遮音性能を高めるために、以下のポイントに注意する必要があります:
1. 材料の質量を増やす
遮音性能は 質量則(Mass Law) に従い、材料の密度や厚みが大きいほど、音の透過が減少 します。
2. 多層構造を利用する
空気層を挟んだ 多層構造(例:二重壁) にすると、遮音性能が向上します。
3. 吸音材と組み合わせる
遮音だけでなく、内部の音の反射を抑える 吸音材(グラスウール、ウレタンフォームなど) を併用すると効果的です。
まとめ
本記事では、音響透過損失(Transmission Loss, TL) の概念とその計算方法について解説しました。重要なポイントは以下の通りです:
- 遮音とは 音エネルギーを透過させないこと
-
透過損失 TL は、透過率
を基に計算できる\tau - 高い遮音性能を得るためには 厚みのある材料、多層構造、吸音材の活用が重要
音響設計を行う上で、適切な遮音対策を施すことで、快適な音環境を実現できます。
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