音響学入門:スピーカーとは何ぞや
音響学入門:音の種類と性質を数式で理解する
音響仕事をしている筆者。必ずお世話になる機械として必ずスピーカーがあります。スピーカーは音響学の塊であり,理解することで音について少しは詳しくなります。音響学は、音の特性や伝播を理解するための科学です。この記事では、音の種類、音の三要素、音の性質、そして音圧や音圧レベルについて、数式を交えながら解説します。専門性の高い内容ですが、音響学の基礎をしっかりと学べるように構成しました。
音の種類
音は、その波形や物理的な特徴によって以下のように分類されます。
1. 純音 (Pure Tone)
純音は、単一の周波数成分で構成される音です。時間波形は正弦波で表されます:
ここで:
-
: 時間p(t) における音圧t -
: 音圧の振幅p_0 -
: 周波数(単位:Hz)f -
: 初期位相\pi
純音はチューニングフォークやオシレーターで生成されます。
2. 複合音 (Complex Tone)
複合音は、複数の周波数成分を持つ音です。その波形はフーリエ級数で表現できます:
ここで:
-
: 基本周波数f_0 -
: 倍音(ハーモニクス)n f_0
楽器音は複合音の典型例です。
3. インパルス (Impulse)
インパルス音は、時間的に非常に短い波形を持ち、周波数スペクトルが広範囲にわたります。デルタ関数を使って表されます:
この特性を利用して、室内音響のインパルス応答測定が行われます。
4. 雑音 (ノイズ)
雑音は、ランダムな性質を持つ音です。例えば、ホワイトノイズは全ての周波数成分が均等なエネルギーを持つ音です:
ここで
音の伝播:平面波・球面波・定在波
1. 平面波 (Plane Wave)
平面波は音波が一定方向に直線的に伝わる波で、その波動方程式は以下で表されます:
ここで
2. 球面波 (Spherical Wave)
球面波は点音源から放射される音波で、音圧は距離
ここで
3. 定在波 (Standing Wave)
定在波は、進行波と反射波が干渉して形成されます。その音圧分布は次のように表されます:
楽器の管内での音響特性を説明する際に重要です。
音の三要素
-
音の大きさ (ダイナミックレンジ): 音圧に関連し、音圧レベル(dB)で表されます。
L_p = 20 \log_{10} \left( \frac{p}{p_{\text{0}}} \right) \, [\text{dB}]
ここでp_{\text{0}}=0.0002\mu は基準音圧です。[Pa] -
音の高さ(周波数レンジ): 周波数に関連し、単位はHz。
-
音色(スペクトラム): 倍音構成によって決まる音の特性。
音の性質
音波には以下のような性質があります。
-
干渉: 2つの波が重なり、強め合ったり弱め合ったりします。
- 条件:同位相で干渉すると音圧は加算されます。
-
反射: 音波が境界面で反射する現象。反射角は入射角と等しくなります。
-
回折: 音波が障害物を回り込む現象。
-
吸収: 音波が物質内でエネルギーを失う現象。
-
透過:音波が媒質間を通過する現象。
-
屈折:音波が異なる媒質に入射すると、伝播速度が変化し、波の方向が屈折します。
音圧と音圧レベル
音圧レベルは、音のエネルギー量を示す指標で、次式で定義されます:
ドプラー効果
音源や観測者が移動している場合、音の周波数が変化します:
ここで:
-
: 観測者が聞く周波数f' -
: 音源の周波数f -
: 音速c -
: 観測者の速度v_o -
: 音源の速度v_s
まとめ
まずは基本的なことを学んでいきました。定在波と言われても何だろう?と感じている方もおられると思います。
個人的には、まだまだ深く掘り下げていくつもりですので、お楽しみに!
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