🔈

音響学入門:スピーカーとは何ぞや

2025/01/20に公開

音響学入門:音の種類と性質を数式で理解する

音響仕事をしている筆者。必ずお世話になる機械として必ずスピーカーがあります。スピーカーは音響学の塊であり,理解することで音について少しは詳しくなります。音響学は、音の特性や伝播を理解するための科学です。この記事では、音の種類、音の三要素、音の性質、そして音圧や音圧レベルについて、数式を交えながら解説します。専門性の高い内容ですが、音響学の基礎をしっかりと学べるように構成しました。


音の種類

音は、その波形や物理的な特徴によって以下のように分類されます。

1. 純音 (Pure Tone)

純音は、単一の周波数成分で構成される音です。時間波形は正弦波で表されます:

p(t) = p_0 \sin(2\pi f t + \phi)

ここで:

  • p(t): 時間tにおける音圧
  • p_0: 音圧の振幅
  • f: 周波数(単位:Hz)
  • \pi: 初期位相

純音はチューニングフォークやオシレーターで生成されます。


2. 複合音 (Complex Tone)

複合音は、複数の周波数成分を持つ音です。その波形はフーリエ級数で表現できます:

p(t) = \sum_{n=1}^\infty a_n \sin(2\pi n f_0 t + \phi_n)

ここで:

  • f_0: 基本周波数
  • n f_0: 倍音(ハーモニクス)

楽器音は複合音の典型例です。


3. インパルス (Impulse)

インパルス音は、時間的に非常に短い波形を持ち、周波数スペクトルが広範囲にわたります。デルタ関数を使って表されます:

p(t) = A \delta(t)

この特性を利用して、室内音響のインパルス応答測定が行われます。


4. 雑音 (ノイズ)

雑音は、ランダムな性質を持つ音です。例えば、ホワイトノイズは全ての周波数成分が均等なエネルギーを持つ音です:

S(f) = \text{一定値}

ここでS(f)は周波数fにおけるスペクトル密度です。


音の伝播:平面波・球面波・定在波

1. 平面波 (Plane Wave)

平面波は音波が一定方向に直線的に伝わる波で、その波動方程式は以下で表されます:

\frac{\partial^2 p}{\partial t^2} = c^2 \nabla^2 p

ここでcは音速、pは音圧です。


2. 球面波 (Spherical Wave)

球面波は点音源から放射される音波で、音圧は距離 r に反比例します:

p(r, t) = \frac{p_0}{r} \sin(2\pi f t - kr)

ここでk = \frac{2\pi}{\lambda}は波数、\lambdaは波長です。


3. 定在波 (Standing Wave)

定在波は、進行波と反射波が干渉して形成されます。その音圧分布は次のように表されます:

p(x, t) = 2p_0 \sin(kx) \cos(2\pi f t)

楽器の管内での音響特性を説明する際に重要です。


音の三要素

  1. 音の大きさ (ダイナミックレンジ): 音圧に関連し、音圧レベル(dB)で表されます。

    L_p = 20 \log_{10} \left( \frac{p}{p_{\text{0}}} \right) \, [\text{dB}]

    ここでp_{\text{0}}=0.0002\mu[Pa]は基準音圧です。

  2. 音の高さ(周波数レンジ): 周波数に関連し、単位はHz。

  3. 音色(スペクトラム): 倍音構成によって決まる音の特性。


音の性質

音波には以下のような性質があります。

  1. 干渉: 2つの波が重なり、強め合ったり弱め合ったりします。

    • 条件:同位相で干渉すると音圧は加算されます。
  2. 反射: 音波が境界面で反射する現象。反射角は入射角と等しくなります。

  3. 回折: 音波が障害物を回り込む現象。

  4. 吸収: 音波が物質内でエネルギーを失う現象。

  5. 透過:音波が媒質間を通過する現象。

  6. 屈折:音波が異なる媒質に入射すると、伝播速度が変化し、波の方向が屈折します。

音圧と音圧レベル

音圧レベルは、音のエネルギー量を示す指標で、次式で定義されます:

L_p = 20 \log_{10} \left( \frac{p}{p_{\text{0}}} \right) \, [\text{dB}]


ドプラー効果

音源や観測者が移動している場合、音の周波数が変化します:

f' = f \frac{c + v_o}{c - v_s}

ここで:

  • f': 観測者が聞く周波数
  • f: 音源の周波数
  • c: 音速
  • v_o: 観測者の速度
  • v_s: 音源の速度

まとめ

まずは基本的なことを学んでいきました。定在波と言われても何だろう?と感じている方もおられると思います。
個人的には、まだまだ深く掘り下げていくつもりですので、お楽しみに!

Discussion