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音響学入門:電気音響変換器の色々

2025/01/28に公開

電気音響変換器の種類と原理を徹底解説

音響学における電気音響変換器は、電気信号を音響信号に変換する重要な役割を担っています。本記事では、電気音響変換器の種類とその基本原理を解説し、各変換方式における動作メカニズムを詳しく説明します。


電気音響変換器の種類

電気音響変換器は、入力される電気信号を振動に変換し、その振動を介して音響エネルギーを放射するデバイスです。主に以下のような種類があります:

  1. 電磁的変換(ダイナミック型など)
  2. 静電的変換(エレクトロスタティック型)
  3. 特殊な音響放射方式(コロナ放電型など)

これらの変換方式には、それぞれ独自の動作原理があります。


1. 電磁的変換の原理

振動系に働く力

電気的変換方式では、電気信号によって振動系(ダイアフラムやコイルなど)に力を加え、振動を発生させます。この力は、電磁誘導や圧電効果によって生成されます。

電磁誘導の場合

ダイナミック型スピーカーを例に取ると、コイルに流れ込む電流 Iと磁場Bの相互作用により、以下のような力Fが発生します:

F = B \cdot I \cdot L

  • F: 振動系に加わる力 [N]
  • B: 磁束密度 [T]
  • I: コイルに流れる電流 [A]
  • L: コイルの有効長 [m]

この力によってコイルが動き、接続されたダイアフラム(振動板)が空気を振動させて音波を生成します。また、電流に比例した力であることがわかります。

起電力と速度の関係

振動系が速度 vで動くと、コイル内に起電力eが発生します。この起電力は以下のように速度に比例します:

e = B \cdot L \cdot v


2. 静電的変換の原理

振動系に働く力

静電的変換方式(エレクトロスタティック型)では、ダイアフラムに静電力を加えることで振動を発生させます。この静電力は、電圧Vとダイアフラムの電荷量Qに依存します。

F = \frac{1}{2} \cdot \frac{Q^2}{C}
  • F: 振動系に加わる静電力 [N]
  • Q: 電荷量 [C]
  • C: 電極間の静電容量 [F]

ここで、ダイアフラムの変位により静電容量Cが変化し、電荷量Qが変動することで振動が発生します。また、電圧に比例した力であることがわかります。

電圧と振動の関係

電圧Vは以下の式によりダイアフラムの変位に比例します:

Q = C \cdot V

これにより、入力電圧に応じた正確な振動が得られます。


3. 音響信号の放射方法

電気信号を音響信号に変換するには、以下の2つの方法があります。

3.1 振動板による音波放射

一般的なスピーカーでは、振動板が空気を振動させ、音波を放射します。この方法は効率的で、幅広い周波数範囲に対応可能です。

3.2 コロナ放電による音波放射

コロナ放電を利用する特殊な方式では、電極間で発生する放電が直接空気を振動させます。この方法は振動板を必要とせず、電圧制御による音波の生成が特徴です。


まとめ

電気音響変換器は、電気信号を音響信号に変換するために多様な方式を用いています。
振動が音になる。あたりまえのことですが何だか不思議な間隔が駆け巡ります。

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