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音響学入門:人の耳を理解する
人の耳とラウドネスの科学
人間の耳は、周波数や音圧レベルに対して独特な感度を持っています。この感度は、音響学や音響設計において非常に重要な概念です。本記事では、以下のトピックを詳細に解説します。
- 人の耳の特徴
- ラウドネスと等ラウドネス曲線
1. 人の耳の特徴
1.1 周波数感度
人の耳は、20 Hzから20,000 Hzの範囲を聞き取れるとされていますが、感度は周波数によって異なります。
- 最も感度が高いのは 1 kHzから5 kHz の範囲で、これは人の声が主に存在する領域に対応しています。
- 低周波数(20 Hz〜250 Hz)や高周波数(10 kHz〜20 kHz)は感度が低く、同じ音圧レベルでも聞こえにくく感じます。
1.2 音圧と音の知覚
音の物理量として「音圧レベル(Sound Pressure Level, SPL)」がありますが、人間の耳はこれを直接知覚するわけではありません。
- 音圧(Pa) は客観的な物理量。
- ラウドネス(Loudness) は主観的な感覚量で、音圧と周波数に依存します。
2. ラウドネスと等ラウドネス曲線
ラウドネスは、人が「音の大きさ」をどのように感じるかを表す指標です。音圧レベルと異なり、周波数によって異なる知覚をします。
2.1 等ラウドネス曲線とは
等ラウドネス曲線は、異なる周波数の音が「同じ大きさに聞こえる」ための音圧レベルを示したものです。
- 基準: 1 kHzの音圧レベルを基準とし、その大きさと同じように感じる他の周波数の音圧をプロットします。
- 単位: ホン(phon)。例えば、「40 phon」は1 kHzで40 dBの音と同じラウドネスを持つ音を指します。
2.2 等ラウドネス曲線の特徴
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低音域の感度が低い:
- 低周波(20 Hz〜250 Hz)の音は、高い音圧が必要です。
- 例えば、40 phonでは20 Hzの音圧は約80 dB必要ですが、1 kHzでは40 dBで十分です。
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高音域の感度も低下する:
- 高周波(10 kHz〜20 kHz)でも同様に、感度は低くなります。
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音圧が高くなると感度が平坦になる:
- 大音量になると、低音や高音の感度が相対的に向上します。
[参考文献:日本音響学会誌80巻1号(2024)ISO 226(等ラウドネスレベル曲線)2023年版:改訂の背景と実務への影響]
2.3 ラウドネスの式
ラウドネスの定量化には、Stevensのラウドネス法則が用いられることがあります:
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: ラウドネスN -
: 音圧レベルL -
: 聞き取れる最小音圧レベル(閾値)L_0 -
: 周波数に依存する定数m,k
まとめ
人間の耳の感度に関係する、等ラウドネス曲線やラウドネスの数式を理解することで、音の知覚を的確に把握できます。もう少し詳しくかけますが、難しくなりそうですので、今日はここまで。
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