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音響学-騒音: 環境騒音と航空機騒音の評価方法

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環境騒音と航空機騒音の評価方法

🔊 環境騒音の評価法

環境騒音は、住宅地や都市部で発生する騒音のことであり、その評価にはさまざまな測定基準が存在します。本記事では、環境騒音の評価方法について解説します。

1. 騒音測定時の補正

騒音レベルを測定する際、騒音計の周波数補正回路をA特性にセット することが一般的です。
A特性補正とは、人間の聴覚特性に基づいた周波数補正であり、特に環境騒音の評価に適しています。

2. 定常騒音と間欠騒音の評価

環境騒音には、定常騒音(時間とともに大きく変化しない騒音)と間欠騒音(断続的に発生する騒音)の2種類があります。

📌 定常騒音の場合

騒音規制法では、「騒音計の指示値が変動せず、変化が少ない場合はその指示値を記録する」 という基準を採用しています。このため、騒音レベルが安定している場合は、そのままの数値を記録します。

📌 間欠騒音の場合

騒音が周期的または間欠的に変動する場合は、その変動中の最大値を一定の時間ごとに記録する 方法を用います。これにより、短時間のピーク音が評価に反映されます。

3. 変動騒音の測定

変動騒音とは、時間とともに不規則に変化する騒音のことであり、時間率騒音レベル を用いて評価します。
特に、騒音レベルの 95% の時間が観測されるレベルを L_{A95}(下限値)、5% の時間が観測されるレベルを L_{A5}(上限値)として定義し、95パーセントレンジ の範囲を評価します。


✈️ 航空機騒音の評価法

航空機騒音は、その発生頻度や変動性から特別な測定方法が必要とされます。現在、日本の JIS Z-8731 では、等価騒音レベル(LAeq) を基準にしています。

1. 等価騒音レベル L_{Aeq} とは?

等価騒音レベルは、変動する騒音を 単一の数値で表現する手法 であり、時間平均のエネルギー量として計算されます。
等価騒音レベルは、以下の式で表されます。

L_{Aeq,T} = 10 \log_{10} \left( \frac{1}{T} \int_0^T 10^{L(t)/10} dt \right)

また、観測回数 N を用いると以下のようにも表現できます。

L_{Aeq,T} = 10 \log_{10} \left( \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} 10^{L_i / 10} \right)

この値は、騒音のエネルギー的な平均値を示し、交通騒音や航空機騒音の評価に適しています。

2. 時間区分による騒音評価

航空機騒音の評価では、昼間 (6:00〜22:00) と夜間 (22:00〜6:00) の2つの時間帯に分けて等価騒音レベルを計算する方法が一般的です。

昼間の等価騒音レベル:

L_{Aeq,(6:00-22:00)} = 10 \log_{10} \left( \frac{1}{16} \sum_{i=1}^{16} 10^{L_i / 10} \right)

夜間の等価騒音レベル:

L_{Aeq,(22:00-6:00)} = 10 \log_{10} \left( \frac{1}{8} \sum_{i=1}^{8} 10^{L_i / 10} \right)

夜間の騒音は 生活環境への影響が大きいため、より厳しく評価 される傾向があります。


🎯 学習ガイド

学習目標

  • 環境騒音と航空機騒音の違いを理解する
  • 騒音測定における A特性補正 の重要性を知る
  • 時間率騒音レベル L_{A95}, L_{A5} の意味を理解する
  • 等価騒音レベル L_{Aeq} の計算方法を理解する

📌 重要ポイント

  1. 定常騒音と間欠騒音の評価基準 を区別する
  2. 変動騒音時間率騒音レベル を使って評価する
  3. 航空機騒音の評価には等価騒音レベルが使用される
  4. 昼間と夜間で異なる基準 が適用される

📚 練習問題

問題 1: 騒音評価の基本

次の騒音評価方法について説明せよ。

  1. A特性補正とは何か?
  2. 時間率騒音レベル L_{A95}L_{A5} の意味を説明せよ。
  3. 等価騒音レベル L_{Aeq}の計算方法を述べよ。

問題 2: 計算問題

ある測定地点で、以下の騒音レベルが得られたとする。

時間帯 騒音レベル (dB)
6:00 - 7:00 60
7:00 - 8:00 65
8:00 - 9:00 55
9:00 - 10:00 70

この場合の 昼間の等価騒音レベル L_{Aeq} を計算せよ。

問題 3: 応用問題

都市部と郊外の騒音評価方法は異なると考えられる。その理由を述べよ。


📝 まとめ
本記事では、環境騒音と航空機騒音の評価方法について解説しました。
騒音は単純な音圧レベルだけでなく、時間率騒音レベルや等価騒音レベル を用いて適切に評価される必要があります。

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