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音響学-騒音: 騒音制御の概要と空気伝搬騒音・固体伝搬騒音(1)

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1.1 騒音制御の概要

騒音制御を行うためには、騒音源の特定、伝搬経路の把握、適切な対策の選定が必要である。本記事では、騒音制御の基本概念、伝搬経路、制御方法について解説する。

1.1.1 空気伝搬騒音と固体伝搬騒音

騒音の伝搬経路は 「空気伝搬経路」「固体伝搬経路」 に分類され、それぞれの経路を伝播する音を 「空気伝搬音」「固体伝搬音」 と呼ぶ。

  • 空気伝搬音: 振動源から空気を介して受音点まで伝わる音。例として、自動車のエンジン音が窓を通じて室内に入る場合などが挙げられる。
  • 固体伝搬音: 振動源が直接支持構造体(地盤や建築構造)に伝わり、それが再び空気を介して放射される音。例として、自動車のタイヤ振動が地面を通じて建物に伝わる場合や、階上の足音が階下の天井を振動させて伝わる場合がある。

1.1.2 騒音制御計画

騒音制御を行う際には、以下のような手順を踏む必要がある。

  1. 騒音源の特定と音響特性の把握

    • 主要な騒音源を明確にし、音響特性(パワーレベル、スペクトル、指向性など)を測定する。
  2. 伝搬経路の特定

    • 空気伝搬か固体伝搬かを明確にし、それぞれの遮音・吸音対策を検討する。
  3. 受音点の現状調査

    • 受音点の環境基準を確認し、必要な騒音低減目標を設定する。
  4. 適切な騒音対策の選定

    • 遮音壁、吸音材、防振対策などの具体的な手法を選択する。
  5. 制御設計と試験

    • 必要な遮音・吸音対策を設計し、試験を繰り返しながら効果を確認する。

1.1.3 制御対策の種類と効果

騒音制御には、以下のような方法がある。

2. 音源・振動源対策

  • 騒音・振動の発生自体を低減する方法。例として、防振支持装置の導入、低騒音型の機械への変更などがある。

3. 遮音対策

  • 空気伝搬音の伝搬を防ぐために、遮音構造を設ける。例として、防音壁の設置や建築材の変更が挙げられる。

4. 吸音対策

  • 吸音材を用いて音のエネルギーを吸収し、反射を抑制する。

5. 防振対策

  • 振動源と建物の構造体を絶縁し、固体伝搬音を低減する。例として、防振ゴムや防振スプリングの使用がある。

6. ダンピング(制振)

  • 振動する部材に粘弾性材料を適用し、振動を効果的に減衰させる。

7. 浮床構造

  • 高度な遮音性能を得るために、防振支持や高密度材料を用いた構造を設計する。放送スタジオや録音スタジオなどで使用される。

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