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音響学-騒音: 航空機騒音の評価法

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航空機騒音の評価法 ✈️

航空機騒音は環境基準の一環として評価される重要な項目です。本記事では、航空機騒音の評価指標である WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level)Lden について解説します。


🚀 3.3 航空機騒音の評価法

航空機騒音の評価には、加重等価継続感覚騒音レベル(WECPNL)時間帯補正を加えた騒音レベル(Lden) などが用いられます。

📌 3.3.1 WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level)

日本では1973年に「航空機騒音に係る環境基準」が告示され、国際民間航空機関(ICAO)が提案していた国際的な評価方法を元に環境省が独自に簡略化した WECPNL が採用されました。

WECPNLとは?

  • EPNL(等価継続感覚騒音レベル) を用いて航空機の騒音を統計的に処理
  • 時間帯に応じた加重評価 を行う

📝 WECPNL の計算式

WECPNL = L_{Amax} + 10\log_{10} N - 27

ここで、

  • L_{Amax} は時間特性 Slow で測定した最大騒音レベルの平均値

  • N は時間帯ごとの航空機の通過回数で以下の式で求める

    N = N_2 + 3N_3 + 10(N_1 + N_4)
    • N_1: 0:00 〜 7:00 の航空機通過数
    • N_2: 7:00 〜 19:00 の航空機通過数
    • N_3: 19:00 〜 22:00 の航空機通過数
    • N_4: 22:00 〜 0:00 の航空機通過数

📌 夜間の騒音は影響が大きいため、より高い重み付けが行われる(夜間通過の影響は昼間の10倍に補正)

現在、WECPNLは日本以外ではほぼ使用されておらず、Lden(デイ・イブニング・ナイトレベル) が標準的な評価指標となっています。


🌍 3.3.2 Lden(Day-Evening-Night Level)

📢 Lden の導入

成田国際空港では、2004年に「Lden(時間帯補正騒音レベル)」を導入しました。
Lden は、昼間・夕方・夜間の騒音を時間帯ごとに補正し、エネルギー平均を求める手法 です。

📝 Lden の計算式

L_{den} = 10\log_{10} \left( \frac{1}{T} \sum_{i} 10^{L_{AE,i}/10} + \sum_{j} 10^{(L_{AE,j} + 5)/10} + \sum_{k} 10^{(L_{AE,k} + 10)/10} \right)

ここで、

  • L_{AE,i} は 7:00〜19:00 の時間帯の単発騒音暴露レベル
  • L_{AE,j} は 19:00〜22:00 の時間帯(+5dB の補正)
  • L_{AE,k} は 22:00〜7:00 の時間帯(+10dB の補正)
  • T は 1日の観測時間(通常 86400秒)

📌 夜間の騒音がより厳しく評価されるように補正が加えられる

🚅 3.4 新幹線鉄道騒音の評価

新幹線騒音の評価においても Lden が導入されており、航空機騒音と同様の手法が適用されています。


🎯 まとめ

  1. WECPNL は、航空機騒音の評価に用いられるが、日本独自の基準であり国際的には Lden が主流。
  2. Lden昼間・夕方・夜間の騒音を異なる重み付け で評価する手法であり、より現実的な騒音影響を反映。
  3. 夜間の騒音は影響が大きいため、Lden では夜間の騒音により厳しい補正がかかる

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