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Data Engineer Manifest v0.1.0

2025/03/15に公開

はじめに

データエンジニアがどうあるべきかについて宣言的に述べてるよう意識しています。そうあるためにどうすべきかなどにはあまり言及しません。

批判・コメントお待ちしています。

マクロで見たデータエンジニアの業務

データエンジニアの業務は抽象・マクロでは次の繰り返しであるべきです。

  1. ビジネス要求を理解
  2. システム要件を定義
  3. ツール・技術を選定
  4. 構築
  5. 継続的な評価及び改善の繰り返し

ビジネス要求を理解

ビジネス要求を理解することに可能な限り時間を使用し、構築する基盤に対する任意の質問に対して、ビジネス的根拠を元に説明できる必要があります。

多くの開発でビジネス要求を理解することは重要ですが、データエンジニアリングでは際立ってこのステップが重要になります。

構築されるシステムは要件を満たす上で最小限のコストでなければなりません。一方で、扱うサービスやデータは非常に流動的でかつデータ基盤がこの流動性を妨げる要因であってはなりません。

そのため、ビジネス要件を深く理解し中長期的なデータ戦略を持ちつつもスモールスタートでコスト最適化をし続ける必要があります。

このような要件定義をする上で、今後どのようなデータが追加され、これらのデータがどのように利活用されセキュリティ・コスト要件がどのように変化していくかを早い段階でどの程度予測を立てられているかで将来的な改修コストに大きな差が生じます。

システム要件を定義

データエンジニアリングにおいて、システムの設計を行う際には、単に技術的な要素だけでなく ビジネス要求を深く理解した上で具体的なシステム要件を定義すること が重要です。

システム要件を適切に定義することで、事業価値を最大化しつつ、運用負担の少ない堅牢なデータ基盤を構築できます。本記事では、システム要件を定義する際に最低限考慮すべき主要な観点を整理します。

データ品質

データは、分析や機械学習の基盤となるため、品質を担保することが極めて重要です。

  • 正確性:データが誤っていないか?
  • 完全性:必要なデータが欠落していないか?
  • 一貫性:異なるデータソース間で矛盾がないか?
  • 最新性:データの更新頻度は適切か?
  • 信頼性:データが継続的に取得できる保証はあるか?

データパイプラインの設計では、データ検証・モニタリングの仕組み(例: データカタログ、データリネージュ、異常検知)を導入し、データ品質を維持できる体制を整える必要があります。

スケーラビリティ

データ量や処理負荷の増大に対応できるスケーラブルな設計を考慮します。

  • データボリューム:データが10倍、100倍に増えてもシステムが耐えられるか?
  • 処理能力:並列処理、シャーディング、ストリーミング処理などで負荷分散できるか?
  • 運用負荷:マネージドサービス(BigQuery, Redshift, Snowflake など)を活用できるか?
  • コスト:スケールアウトとスケールアップのバランスを考慮し、無駄なコストを発生させない設計か?

データ基盤の設計においては、将来的な拡張性を見据えて、適切な技術選定を行うことが求められます。

データガバナンス

⭐️ セキュリティ

データが不正アクセスや情報漏洩のリスクにさらされないよう、強固なセキュリティ対策を実施します。

  • アクセス制御:適切な権限管理
  • 暗号化:データ保存時(at rest)および転送時(in transit)の暗号化
  • 監査ログ:データアクセス履歴の記録・異常検知

⭐️ プライバシー

個人情報や機密データを扱う場合、プライバシー保護を徹底する必要があります。

  • データ匿名化:個人を特定できないようにデータを加工する。
  • 最小権限の原則:必要最低限のデータのみアクセス可能にする。
  • コンプライアンス遵守:GDPR, CCPA など各国のプライバシー規制に適合した運用を行う。

⭐️ 法務遵守

業界・地域ごとの異なる法規制に準拠し、違反リスクを防ぐ必要があります。

データガバナンスを強化することで、法的リスクを回避し、企業の信頼性を高める ことができます。

特に重要なのは、これらの要件が将来的なビジネスの成長や変化に対応できる柔軟性を持っているかを確認することです。

ツール・技術を選定

要件を満たした上で、ツールの将来性・運用コストや構築コストなどの定量・定性的な指標を考慮し、最もROIが高いツール・技術を選定します。

この手順は容易ではなく、OSSや最新技術の情勢も深く理解し、少なくとも論理的には説明性のある選択を行わなければなりません。

構築

要件に従い、選定したツール・技術を用いて構築します。

テスト・検証を定義し、データ品質が担保し、説明可能である必要があります。

継続的な評価及び改善の繰り返し

市場・サービス・データは常に変化し続け、従い要件も変化します。

また任意のツールは古くなり、よりモダンなツール・技術も生み出されます。

データ基盤・要件を評価し、事前に準備し改善を行います。

一方で、ツールはモダンであれば良いわけではありません。特に既に成熟したデータ基盤であれば開発体験よりも今動いている信頼できるツールを使い続けることあるいは運用コストに着目して、ビジネス的な観点を持って評価をする必要があります。

まとめ

データエンジニアの主な成果物は データ基盤 である。データ基盤とは、ビジネス要求に基づいたデータを適切に収集・処理・提供するためのパイプライン であり、その基本的な構造や役割は一貫している。

しかし、データ基盤の品質や設計によって、データの可用性・正確性・速度・コストが大きく変わる ため、単なるパイプラインの構築ではなく、持続可能でスケーラブルなデータ基盤を設計・運用することがデータエンジニアの本質的な役割 である。

データ基盤のアウトプット自体には表面的な差分は少ないかもしれないが、その設計思想や運用体制、スケーラビリティ、データ品質管理の仕組みによって、最終的なビジネス価値には大きな違いが生まれる

データエンジニアは、単にデータを処理するのではなく、ビジネス価値を最大化するデータ基盤を継続的に進化させる責務を担っている

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