Claude Code同士を会話させるMCPサーバー「cc-to-cc」を作ってみた
作った背景
最近、Claude Code を使って複数プロジェクトを並行開発していると、ある不満が。
「こっちのプロジェクトの Claude Code に、あっちのプロジェクトのことを聞きたい」
たとえば、フロントエンドのプロジェクトで作業中に「バックエンド API のエンドポイント仕様ってどうなってたっけ?」と思ったとき。今までは自分がターミナルを切り替えて、もう片方の Claude Code に聞いて、その回答をコピペして…という人間メッセンジャー状態でした。
Claude Code には Agent teams という実験機能がありますが、これは「最初から1つのリードセッションがチームを作る」前提の仕組みです。すでに別々のプロジェクトで独立起動している Claude Code 同士を、あとから自由につないで会話させる公式機能は、調べた限り見つかりませんでした。
GitHub の issue を見ると、同じことを求めている人が複数いました。
- Inter-session communication for multi-Claude workflows
- Three Claude instances coordinating through a self-hosted message queue
- Multi-agent collaboration across machines (Agent-to-Agent protocol)
「ないなら作るか」ということで、cc-to-cc を作りました。
cc-to-cc とは
異なるプロジェクトで動いている Claude Code セッション同士が、メッセージを送受信できる MCP サーバーです。
仕組みはシンプルで、共有ディレクトリ(~/.cc-to-cc/)に JSON ファイルを置くだけ。各 Claude Code に MCP ツールとして send や inbox を生やして、ファイルの読み書きをラップしています。
プロジェクト A プロジェクト B
───────────── ─────────────
Claude Code Claude Code
│ │
└─ send("api-server", ...) watch("api-server") ← 待機中
│ ▲
├─ 1. JSON を inbox に書き込み │
│ │
└─ 2. HTTP POST ─────────────────────┘
(webhook通知) │
3. watch が即座に返る
4. Claude Code が内容を読んで反応
ポイントは以下です。
- 中央サーバー不要: ファイルシステムだけで完結
-
リアルタイム通知: 各セッションがローカル HTTP webhook を持ち、
sendすると相手のwatchが即座に起きる - オフライン対応: 相手がオフラインでもメッセージは inbox に保存される
- プロジェクト数無制限: 2つでも10でも同じ仕組み
セットアップ
1. クローンとビルド
git clone https://github.com/takeshita-0x0201/cc-to-cc.git
cd cc-to-cc
npm install
npm run build
2. 各プロジェクトの .claude/settings.json に追加
{
"mcpServers": {
"cc-to-cc": {
"command": "node",
"args": ["/path/to/cc-to-cc/dist/index.js"]
}
}
}
3. 各セッションでプロジェクトを登録
このプロジェクトを "frontend" として登録して
これだけです。
ツール一覧
| ツール | やること |
|---|---|
register |
プロジェクトを登録。webhook リスナー起動。 |
list_peers |
登録済みプロジェクト一覧。 |
send |
メッセージ送信。リアルタイム通知付き。 |
inbox |
未読メッセージ確認。 |
watch |
新着メッセージをリアルタイム待機。 |
ack |
既読にする(直接アーカイブも可)。 |
archive |
既読メッセージをアーカイブ。 |
history |
過去メッセージ閲覧。 |
使ってみる
ターミナル1:API サーバープロジェクト(受信側)
> 受信メッセージを待って
→ watch("api-server") を実行... 待機中...
ターミナル2:フロントエンドプロジェクト(送信側)
> api-server に「/api/users のレスポンス形式を教えて」と聞いて
→ send(to: "api-server", ...) を実行
→ 「メッセージ送信完了。配信: リアルタイム通知済み。」
ターミナル1に戻ると…
→ 「新着メッセージ受信!
送信元: frontend
件名: /api/users response format
...」
→ Claude Code が自分のコードベースを調べて返信を作成
→ send(to: "frontend", ...) で返信
人間が介在せずに、Claude Code 同士がプロジェクトをまたいで会話している状態です。
メッセージのライフサイクル
受信箱が肥大化しないように、3段階のライフサイクルを設けています。
inbox/new/ → inbox/cur/ → inbox/archive/
(未読) (既読) (処理済み)
-
ackで既読にする(archive: trueオプションで直接アーカイブも可) -
archiveで既読メッセージを一括・スレッド単位・個別にアーカイブ -
historyはデフォルトで既読のみ表示、includeArchived: trueでアーカイブも検索可能
リアルタイム通知の仕組み
「ファイルベースなのにリアルタイム?」と思うかもしれません。
各 MCP サーバーは register 時にローカルの HTTP サーバーをランダムポートで起動します。ポート番号はレジストリ(~/.cc-to-cc/registry.json)に保存されます。
{
"api-server": {
"id": "api-server",
"path": "/Users/you/projects/api-server",
"webhookPort": 54321
}
}
send ツールが呼ばれると:
- 相手の
inbox/new/に JSON ファイルを書き込み - レジストリから相手の webhook ポートを取得
-
http://127.0.0.1:54321/notifyに POST
受信側の MCP サーバーは POST を受け取ると、待機中の watch ツールを即座に resolve します。これにより、ファイルベースの永続性と HTTP の即時性を両立しています。
webhook が到達できない場合(相手がオフライン)でも、ファイルは inbox に残っているので、次回 inbox で読めます。
技術スタック
- TypeScript + Node.js
- @modelcontextprotocol/sdk v1.29.0(MCP サーバー実装)
- stdio transport(Claude Code ↔ MCP サーバー間)
- node:http(webhook 通知)
- node:fs(メッセージ永続化)
外部依存は MCP SDK のみ。シンプルに保っています。
メッセージ形式
{
"id": "550e8400-e29b-41d4-a716-446655440000",
"from": "frontend",
"to": "api-server",
"subject": "API endpoint list request",
"body": "Please check and send me the current API endpoint list for /api/users.",
"threadId": "7c9e6679-7425-40de-944b-e07fc1f90ae7",
"timestamp": "2026-04-09T12:00:00.000Z"
}
threadId で会話のスレッドを追跡できます。返信時に同じ threadId を使えば、一連のやり取りとして history で辿れます。
現在の制限と今後
現在の制限
- 同一マシン限定: ファイルシステム共有が前提なので、リモートマシン間の通信は未対応
-
手動 watch: 受信側が
watchを呼ばないとリアルタイム受信できない(MCP の制約上、サーバーから Claude Code への自発的な push は困難) - 認証なし: ローカル利用前提なのでアクセス制御はなし
今後やりたいこと
- Claude Code の Channels 機能(実験中)との統合で、真のリアルタイム push
- ブロードキャスト(全プロジェクトへの一斉送信)
- 共有 scratchpad(プロジェクト横断の状態共有メモ)
- Agent SDK との統合で、中央ブローカーが複数セッションをオーケストレーション
まとめ
Claude Code のセッションはデフォルトで完全にサイロ化されています。公式の Agent teams は「最初からチームとして作る」前提で、既存の独立セッション同士を後から自由に接続する手段は今のところありません。
cc-to-cc は、その隙間を「ファイルベース mailbox + ローカル HTTP webhook」というシンプルな構成で埋めます。200行程度の MCP サーバーで、プロジェクト横断の Claude Code 間通信が実現できました。
同じ不満を持っている方がいたら、ぜひ使ってみてください。
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