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さらば、巨大なシャンデリア。シリコン半導体が量子コンピュータを『特別な装置』から『日常のインフラ』に変える日

に公開

2025年も、いよいよわずかとなりました。
今年12月のSEMICON Japan 2025。そこで私たちが公開したblueqatの半導体量子実機の前に立った時、皆さんは何を思われたでしょうか。

かつての量子コンピュータといえば、天井から吊り下げられた巨大なシャンデリアのような、金色の派手な造形が象徴的でした。しかし、私たちのブースに鎮座していたのは、それとは正反対の姿。「標準的なサーバーラック2つ分」にすべてのシステムが収まった、極めて静かでコンパクトな、筐体です。

2026年、量子コンピュータは「実験室の芸術品」であることをやめ、「データセンターの主力」へと姿を変えます。私たちが2025年に提示したあのコンパクトな実機こそが、その幕開けの合図です。


1. 「派手さ」よりも「量産性」を選んだ理由

これまでの量子コンピュータがなぜ巨大だったのか。それは、室温にある巨大な制御装置と、極低温にある量子チップを数千本の配線で無理やり繋いでいたからです。

私たちが開発した実機がサーバーラック2つ分に収まったのは、見た目を整えるためではありません。「量産化」と「拡張性」を突き詰めた結果、この形に行き着いたのです。

派手なシャンデリア構造は、研究用としては美しくても、データセンターに何百台と並べるには不向きです。私たちの実機は、「今日からでもデータセンターのラックの隣に並べられる」。この現実感こそが、2026年からの勝負を決めるポイントになります。


2. 水面下で進む「半導体量子」の真の破壊力

2025年、私たちはプレビューとして実機を見せましたが、その水面下では2026年を見据えたさらなる集積化が進んでいます。

従来の方式が1ビットを「数ミリメートル」で構成するのに対し、私たちのシリコンスピン方式は「ナノメートル」の世界です。つまり、現在サーバーラック2つを占有しているシステムを、将来的に同じフットプリントのまま、量子ビット数だけを増やしていけるということです。

この「小型化×高集積化」こそが半導体方式の真髄であり、汎用性を担保する唯一の道だと確信しています。


3. ロードマップの再定義:FTQCへの最短距離

ここで、改めて私たちが進んでいる技術的な道筋を整理しておきましょう。
半導体量子においても、最終的なゴールは**FTQC(誤り訂正を伴う汎用量子計算)**です。しかし、そこへ至るアプローチは半導体ならではの「微細集積化」を武器にした、非常に合理的なものです。

配置と集積化の戦略

量子ビットの配置は一次元、あるいは二次元。これは各社の技術的な優位性によって分かれますが、共通しているのは「ビット数の増加」を最優先することです。微細化に強い半導体プロセスなら、ビット数を増やすハードルが他の方式より圧倒的に低いからです。

制御のワンチップ化とクライオCMOS

理想は、制御回路をSoC(System on Chip)として量子チップと統合することです。それが叶わない場合でも、4K(極低温)環境への配置は必須となります。量子ビットのすぐそばで制御し、誤り訂正までをチップ近傍で完結させる。 これが、精度の極限を追求する鍵です。
2026年初期はまだ室温機器との併用になりますが、2027年から2028年には配線の限界が来ます。そのデッドラインに向けて、現在クライオCMOSの開発が世界規模で本格化しています。

確実な素材とプロセス

素材については、当面はアイソトープ純度の高いSi28(シリコン28)が主流です。世界的な需要増に対し、幸いにも生産能力の拡充が進んでおり、初期ロットとしては十分な供給体制が整いました。
プロセスについては、最先端の数ナノメートルを追う必要はありません。多くのスタートアップが22nmや28nmといった、枯れた、しかし信頼性の高い
レガシープロセス
を活用しています。


4. 2026年への抱負:一社では成し得ない「連帯」の年へ

半導体量子コンピュータの開発は、決して一社で完結するものではありません。
全世界で同時多発的に開発が進む中、私たち半導体業界の量子チームは、常に情報交換を行い、サプライチェーンの構築やチップの役割分担を調整しています。

「半導体は、横のつながりが命」です。

2025年は、その絆を再確認し、実機として形にできた年でした。
2026年、私の抱負はただ一つ。
**「量子コンピュータを、特別な装置から、ただの『計算リソース』に変えること」**です。

サーバーラックに収まったあの筐体が、データセンターの片隅で静かに、しかし劇的に世界を計算し直す。そんな未来がいよいよ始まります。

2026年、blueqatが牽引する半導体量子の力を、どうぞその目で確かめてください。

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