転職したら考えること

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事業軸と時間軸の2軸を意識する

事業軸(事業を構成する全体像)と時間軸(過去、現在、未来に関する情報)の2軸で自組織を取り巻く環境や自分が今後目指すべき方向性や仕事を理解することが重要です。

事業軸

事業軸では事業を構成する全体像を把握できるようにする。

  1. 事業計画
    事業の収益計画、コスト計画、人員計画などの基本情報や経営戦略、ビジネスモデルを把握する
  2. ターゲット顧客のニーズの把握
    顧客のニーズを把握し、重要な成功要因を理解する
  3. 市場、競合の把握
    市場動向や成長率、競合やその製品・サービスに関して把握する
  4. 提供している製品やサービスの提供価値の理解
    SWOT分析や顧客アンケート等から製品やサービスが顧客に提供している価値を理解する
  5. 価格の決められ方の把握
    競合の価格や顧客の予算、コストなどの情報を把握した上で、製品やサービスの価格がどのような背景や意図で決められているか把握する
  6. 製品やサービスのポートフォリオの把握
    製品やサービスのポートフォリオとその価格設計に関して、どのような背景や意図で決められているか把握する
  7. 潜在顧客やリード、現在の顧客、注力顧客、将来の注力顧客の把握
    ターゲット顧客のボリュームやサイズ、トレンドを把握する
  8. マーケ・セールス戦略を把握する
    顧客獲得と収益向上のための営業やマーケ戦略に関して把握する
  9. デリバリーの仕組みを把握する
    製品やサービスの提供プロセスがどうなっているか、効率化・標準化できるところがないか把握する
  10. 担当箇所の内容の詳細を把握する
    IT系の開発であれば、システムやアプリ、報告書、ドキュメント、開発の進め方など、詳細を把握する
  11. 顧客満足度を把握する
    顧客満足度調査などの顧客アンケート情報より、製品やサービスの強みや弱みを把握する
  12. 自組織の体制を把握する
    組織の体制、各部門の役割や部門間の関係性を把握する。また、開発をベンダーに委託している場合など外注しているケースでは、ベンダーとの関係性などを把握する
  13. 社内における自組織の立ち位置を把握する
    社内における自組織の位置付けや、扱われ方を把握する。
  14. 繋がりを持つべきステークホルダーを把握する
    社内、社外、自組織の影響力が強い人など、繋がりを持つべきステークホルダーを把握する
  15. 新規事業フェーズの場合)事業化に向けた社内の審査をクリアするための条件や、社内制度を把握する
    社内の審査制度やその承認を下すステークホルダー、現在の立ち位置、クリアするための条件などを把握する
  16. 公式・非公式な会議体やコミュニティを把握する
    会議の種類と頻度、参加者、目的を整理し、コミュニケーションや意思決定フローを把握する
  17. 財務状況を把握する
    組織全体、可能であれば各製品やサービス、テーマの単位ごとの収支状況(PL)を把握する。また、キャッシュフローや資本構成も必要に応じて把握する。
  18. 目標を把握する
    事業全体・製品やサービス・各部門・上司・同僚の目標を把握する
  19. 自分に期待されている仕事内容を把握する
    上司を中心としたステークホルダーから期待される仕事の内容を把握する

時間軸

上記の事業軸に対して、過去、現在、未来に関する情報を取得する。

なぜ現状のやり方になったのか?、そうするようになった理由は今でも有効なのか?、状況が変化し、将来は違った方法が必要なのではないか?、という観点で情報を集める。

特に、上記の事業軸の項目にあるような技術軸(市場、技術、プロセス、システム)、人間関係軸(上司、同僚、部下)、文化軸(規範、価値観、期待される行動)、政治(影の組織、非公式なプロセスや協力関係)に関して、時間軸の視点の情報を取得することで、今後の計画を立てる際の優先順位付けの参考情報とする。

情報源

ハード面

オープンな情報から社内の特定の人しか持っていない情報まで、情報源をまとめて整理する。

  • 財務報告書
  • 営業報告書
  • 戦略計画
  • 職務計画
  • 従業員調査
  • 顧客満足度調査
  • 報道記事
  • 業界レポート

ソフト面(人と話す)

  • 社内外の顧客
    • 組織をどのようにみているか
    • 製品やサービスをどのように評価しているか
    • 顧客サービスについてはどうか
    • 競争相手と比べてどうか
  • 流通業者
    • 競合他社の慣行や商品に関して
  • 研究開発及び業務担当者
    • 組織の基本プロセスや、組織と外部の主な関係者の関係
  • 営業及び調達担当者
    • 市場の動向や差し迫った変化に関する最新情報
  • スタッフ
    • 財務、法務、人事の各業務スタッフと、組織内部の仕組み
  • インテグレーター(PMなどの部門間の対話を調整、促進)
    • 社内の関係がどのように働き、各部門がどのように関わり合っているか。社内の真の政治的階層を知り、どこに軋轢があるか
  • 生き字引
    • 会話の文化や政治のルーツについて

1on1などで全員と面談できる場合

全員に共通の質問をして、相手の答え方を見ることで、新しいチームとその環境に関して多くのことを理解することができる。例えば、以下のような質問をして、答え方の比較を行うことで多くの示唆を得る。

  • 組織が直面している、または近い将来直面しそうな最大の課題は何か?
  • 組織はなぜこれらの課題に直面している、または直面しそうなのか?
  • 未開拓の成長機会で最も有望なものは何か?
  • これらの機会を活かすには、組織はどうするべきか?
  • あなたが私の立場だったら、特に何に注意を払うか?
  • 営業の方に対して)お客様が希望するもので、他社にあって我が社にないものは何か?

上司と会話する

  • 組織の状況についての会話
    • 組織はこれまでどのような過程を経てきたのか。ソフト面・ハード面を含め、どのような要因が現状を難しくしているのか。社内のどのような資源を利用できるのか。上司が状況をどのように見ているのかを把握する。
  • 上司の期待についての会話
    • 短期的、中期的に何をしてほしいと思っているか。成功したと認められる条件は何か。業績はいつどのように評価されるのか。
  • 資源についての会話
    • 成功するためには何が必要か。上司に何をしてもらう必要があるか。
  • 仕事のスタイルについての会話
    • 何のために、どのような形式のコミュニケーションを望むのか。直接、メール、頻度、どのような決定に関して相談してほしいか。どのような場合は自分で決定を下しても構わないか。
  • 自己啓発についての会話
    • 自分の仕事ぶりはどうか、自己っ啓発の優先事項は何か。やり方を改善した方がいいか。現在の目標を犠牲にせずに引き受けられるプロジェクトや特別任務はあるか。

今後の計画を立てる

上記を踏まえて、自組織の製品やサービスの強み、弱みを把握した上で、将来の更なる収益向上のために自分が貢献できる仕事が何か、それをどう達成するか、まず初めにどの仕事で成果を速く実現できるかを考える。この時、可能な限り、上司の目標達成にも貢献できるように意識して計画し、実行に移す。

30日単位を目安にして、上司や同僚にフィードバックをもらい、軌道修正を行う。また上司に関しては不定期に頻度高く期待される仕事や役割に関する認識合わせを行うことで、目指すべき方向性のずれをなくすように意識する。

参考

Discussion