タスクに賞味期限を設定する
プロジェクトマネジメントをチケットベースでタスク管理しようとするとゾンビチケットの問題が発生することがあります。
ゾンビチケットとは
いつまでも完了しないでプロジェクトのタスクとして残り続けるチケットのことを指します。
タスクには、基本的には完了期限というものが設定され、それを目標に作業をして消化していくので、業務においてゾンビチケットは発生しづらいはずなのですが、様々な状況により、比較的容易にゾンビチケットは発生します。
ゾンビチケットの発生要因
- 完了条件が曖昧
- 完了の確認作業が手間なので後回し
- 作業内容が更新され、いつまでも完了しない
- 他に優先度の高いタスクがあり、放置される(割れ窓理論が適用され、1つでも期限切れのタスクがあると期限切れが容認される空気ができる)
- タスクが多過ぎて各タスクの完了期限を管理し切れない
こうした完了期限を過ぎても、完了しないことを容認されるタスクには、食べ物と同じで旬というものがあり、時期を過ぎたら、完了しなくても良い類のものがあります。むしろ本当に期日厳守なタスクが残っていたらビジネスとして破綻しているので完了期限の設定が単純に誤りであるとも言えます。
タスクの賞味期限とは
そこで完了期限とは別に、タスクの賞味期限を設定するという案です。
完了期限はその日までに完了しなければならない日付ですが、賞味期限はその日までに完了しなければタスクがなくなる日付になります。つまり、やった方が良いことはわかっているが、指定の日までにできなければ、やる必要がなくなるタスクに、賞味期限として期日を設定します。
賞味期限を設定することで得られる効果
- 期限を過ぎたらオートクローズできる
- 完了期限とは別の視点でタスクの優先度を考慮できる
- タスクへの対応速度が上がる
タスクへの対応速度が上がる
この点について補足すると、完了期限の設定されているタスクは完了までにタスクを完了すれば良いイメージです。
一方、賞味期限の設定されているタスクは、そのタスクが作成された鮮度の高い状態でなるべく早く処理をしたくなるイメージが、今あります。タスク作成日を起点として、旬を過ぎないうちに処理しようとするイメージがあり、賞味期限までにやれば良い、ではなく、賞味期限が来る前にしかこのタスクはできないので、タスクの寿命が期限に向かって減っていくため、より速く対応したくなるのではないか、と思い、この効果を挙げました。
賞味期限を設定するには
そもそもどういう基準で設定できるのか、という疑問があります。
これはプロジェクトやプロダクト単体を見るだけでは判断しづらいと思います。業界だったり、競合だったりを比較してあるタスクの旬を予想して設定できるような気がします。これも多くの見積もり作業と同じように、設定した賞味期限が適切だったのか検証を行って、自分たちのビジネスやチームにあった賞味期限の設定の仕方を模索していく営みが必要だと考えています。
ここまで書き出してみると、今まで自分が完了期限と呼んでいたものを賞味期限に置き換えて運用しても回るかもしれなくて、むしろその方がプロダクトにとっては良いとさえ感じ始めました。今やった方が良いタスクが優先度として高く浮上してくるからです。
参考記事
後付けですが、アイディアの起点になったのは、岩田さんの発言が頭に残っていたからだと思い至ったので記事からの引用です。
岩田さんは,「まあ何年後かにできたらいいですよね」で終わるような話を,「今やるべきです。この困難を乗り越えれば,みんなが驚いてくれるはずです」と,ぐいぐい引っ張ってくれた人でした。
【岩田 聡氏 追悼企画】岩田さんは最後の最後まで“問題解決”に取り組んだエンジニアだった。「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」特別編
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