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対話からナレッジへ:SlackとAIで“日常の気づき”を組織の知に変える仕組み

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はじめに

「昨日ちょっと詰まったけど、なんとか解決した」
「この設定、あとで誰かにも共有しないとな…」
──でも、そのまま流れていってしまうこと、ありませんか?

Slackを使った日々のやり取りの中には、あとから役立つ“気づき”が多く眠っています。
今回の記事では、そうした日常の小さな知見AIと連携して自動的に拾い上げ、組織のナレッジに変換する仕組みの構築について紹介します。

解決したかった課題

Slackやチャット文化が浸透したことで、業務のやり取りは加速度的に効率化されました。
一方で、次のような課題が見え隠れしています:

  • 小さな発見や悩みがログに埋もれる
  • 「誰が何に困っていたか」がわからない
  • 個人の経験が組織の成長に活かされにくい

これらの“埋もれた気づき”を拾い上げて再利用するには、能動的なナレッジ共有よりも、受動的かつ自然な記録の仕組みが必要です。

今回試したアプローチ

私が構築したのは、次のような構成のSlack連携型ナレッジ支援システムです。

  • Slackでの発言や相談を、AIが対話的に支援
  • 会話内容を一般化・要約し、ベクトル検索可能なナレッジとして保存
  • 別の誰かが似た悩みを抱えた際に、自動で過去の知見を検索して参照

要するに、「ちょっと困って投稿したやりとり」が、あとから別の誰かの役に立つ──そんな知の循環をSlackの中で完結させる試みです。

なぜSlack × AIなのか?

  • Slackはすでにみんなが使っているため、新しいツールは不要
  • AIは曖昧な発言にも対応でき、内容を抽象化・一般化できる
  • 非同期コミュニケーションの特性にフィットし、対話のきっかけ作りにもなる

この仕組みは、“ナレッジを集めるぞ!”と意気込まなくても、日常の延長で自然と情報が集まり・再利用される状態を目指しています。

次回予告:技術スタックとAI×検索の実装解説

次回はこの仕組みの中核である、生成AIとベクトル検索の実装について詳しくご紹介します:

  • AIはどんなプロンプトで動かしているのか?
  • 会話をどう構造化し、どのように検索できる形にしているのか?

実際のコードや設計の工夫を交えて、詳しく解説していきます。

まとめ

Slackのちょっとした会話にも、他の人にとっては貴重なヒントが隠れています。
その“気づき”を、AIの力で引き出し、つなぎ、活かす。

本記事ではその第一歩として、課題と構想の概要をお伝えしました。
次回からは、より技術的な視点で、この仕組みの詳細を掘り下げていきます。

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