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ペロペロ理論:わかりやすいUIでも操作できないユーザーがいる現実
ペロペロ理論とは
どんなにわかりやすくUIを設計しても、操作できないユーザーは必ず存在する
これを私は「ペロペロ理論」と呼んでいます。
Gravity Fallsのミームが教えてくれること
アニメ『Gravity Falls』の「Boyz Crazy」エピソード(2013年)に、「Sev'ral Timez」という架空のボーイバンドが登場します。彼らは「完璧な男の子」のクローンとして作られ、檻の中で動物のように育てられました。
その結果、基本的な生活技能を一切知らないという設定です。
このエピソードから生まれたミームでは、ストローで水を飲む方法を「1-2-3」のステップで丁寧に説明するパロディ広告が作られました。

「ストローの使い方がわからない?大丈夫、簡単な3ステップで説明します!」
笑い話のようですが、これはUI/UXデザインにおける本質的な問題を突いています。
現実のUI設計で起きていること
よくある光景
開発者A: 「このボタン、赤くして大きくして『ここを押してください』って書いておきました」
開発者B: 「これでわからない人いないでしょ」
(1週間後)
サポート: 「ボタンが見つからないというお問い合わせが10件来てます」
実際に試したこと
- ボタンを目立つ色に変更 → 効果なし
- 矢印アイコンを追加 → 効果なし
- ツールチップで説明を表示 → 効果なし
- 操作手順を画面に直接表示 → 効果なし
- アニメーションで注目を集める → むしろ混乱を招いた
なぜ「わかりやすさ」だけでは解決しないのか
1. 前提知識の差が大きすぎる
私たちが「当たり前」と思っていることは、全員の当たり前ではありません。
- ハンバーガーメニュー(≡)がメニューを意味すること
- 虫眼鏡アイコンが検索を意味すること
- ×ボタンが閉じるを意味すること
これらは「学習済み」の人にとっての常識です。
2. 認知負荷の問題
ユーザーは私たちが思っているほど画面を見ていません。
- 目的の情報だけをスキャンしている
- 「説明」は読み飛ばされる
- 新しい要素は無意識にフィルタリングされる
3. 心理的ブロック
「わからない」と感じた瞬間、多くのユーザーは思考を停止します。
- 「壊したらどうしよう」という恐怖
- 「自分には難しい」という思い込み
- そもそも操作を試みない
解決策は...模索中
正直に言うと、この問題の完全な解決策はまだ見つかっていません。
現時点で効果がありそうなアプローチ
-
選択肢を極限まで減らす
- 迷う余地をなくす
- 「次にやること」を1つだけ提示
-
段階的な導入(オンボーディング)
- 一度に全てを見せない
- 操作を実際に体験させる
-
失敗を許容する設計
- 取り消し可能にする
- 間違っても大丈夫という安心感
-
人的サポートとの併用
- UIだけで完結させようとしない
- チャットサポートや電話対応の用意
まだ答えが出ていないこと
- どこまで「わかりやすさ」を追求すべきか
- 理解できないユーザーを切り捨てるのは正しいのか
- コストと効果のバランスはどこか
おわりに
「ストローで水を飲む方法を1-2-3で説明しても、それでも飲めない人がいる」
これは極端な例ですが、UI設計において忘れてはいけない視点だと思います。
わかりやすさの追求に終わりはない。そして、それだけでは解決しない問題もある。
この問題について良いアイデアをお持ちの方がいれば、ぜひ教えてください。
参考
- Gravity Falls「Boyz Crazy」エピソード(2013年)
- Don't Make Me Think(Steve Krug)
この記事は chigasaki.rb で発表しました。
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