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FT2232H基板製作・検証記録(動機~概要設計)

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はじめに

私はこれまで、先人たちが残してくれた有用な情報や資産を活用し趣味で何度か簡単な基板を製作してきました。今回は普段の業務で治具としても利用でき、かつ趣味で遊ぶことも可能なやや複雑な基板の製作に挑戦しようと考えています。

今回の基板製作の動機

きっかけは大きくは以下の三つ

  • FTDIのFT2232HがUSB-UART機能のみならずUSB-JTAG機能も搭載してると知った。
    FPGAの書き込みでJTAG使うし遊んでみたい。
  • FT2232Hが載った市販の基板は思いのほか高額で自作するメリットがある。
  • Raspberry pi pico対応のロジアナアプリがInterface様のサイト[1]で無料ダウンロードできるとしり書籍を購入。
    picoに搭載のMCU(RP2040)はLCSCで購入可能で自作pico基板を作れそう。RP2040を使った自作基板の実例も沢山ある。
何故JTAGなのか

15年ほど前に動機は忘れましたが、何故か私含め数名でJTAGの仕様を勉強していた時期があり特殊電子回路株式会社様[2]からJTAGの専門資料を個人的に購入させていただいて読ませて頂きました。MITOUJTAGも会社で購入させて頂きました。
 現在の業務ではあまり使わないし昨今のマイコンではJTAGを使わないROM書き込み手段が用意されていたりするものの、未だにJTAGに個人的な興味があります。

基本方針

  • PCB発注はJLCPCB[3]で2$/5pcになる制約内で作成
  • 両面基板でZ0制御をすると配線が太くなって好みじゃないので6層(50mm x 50mm)でやる
  • 部品調達はLCSC[4]で購入できるものに限定(送料対策)
  • 部品実装は全て手はんだで行う。よってBGAは採用しない。

主要部品の決定

FT2232HとRP2040だけでは基板がスカスカで勿体ないので、興味のある機能を検討します。

温度測定(熱電対)

職場では熱電対多chのロガーは部内に一つしかなく、個人で占有する訳にもいかないため普段はテスター内蔵の熱電対機能(1ch)を使ってました。多chで測れたほうがいい時もありますが、諦めて複数回測っています。
 少し調べるとΔΣ型ADCを使った実現方法、回路例が公開されていたためこの部品を使って熱電対温度測定機能を実装します。ADC一つで2ch,基板の面積的に4chいけそうだったのでADCを二個使って4ch実装します。ΔΣ型ADCを使うのも今回が初めてです。

CPLD/FPGA

使い慣れてて廉価なMAX10を探していましたが、LCSCで購入できる部品はサイズが箸にも棒にも...そこでサイズ、価格で及第点、一応PLLも内蔵されているLattice XO2を採用。
CPLD/FPGAはローエンドでも高い...

ブロック図

初版のブロック図ではなく諸々修正後のブロック図になります。どういったミスでどの部品を変えたのかは検証結果の記事で説明します。

電源系統図

電源系統図のDCDCですが初期はRT5752BHGJ5ではなくRT5752AHGJ5でした。
なぜ変更する必要があったのかについては検証結果の記事で説明します。

リセット系統図

RST ICによるPOW ON RESETのほかにPUSH SWでもRESET可能な構成とする。
またRP2040のBOOTSELはDIPSWに割り当てる。これにより通電状態のままBOOT MODEに移行可能になる。

JTAG系統図

FT2232HのJTAGの接続先を内部のRP2040, CPLD, 外部のピンヘッダで切り替え可能な構成にしてます。
RP2040へはSWDで接続するための結線になっています。

今回のまとめ

今回はブロック図、電源系統、リセット系統の検討まで行いました。
次回は詳細設計、シンボル・フットプリント作成・入手、回路図入力*までを行っていきます。
*25/3/30:詳細設計だけで長くなりそうなので記事を分けることにしました。

脚注、引用

脚注
  1. Interface 2024年3月号 ↩︎

  2. 特殊電子回路株式会社 ↩︎

  3. JLCPCB ↩︎

  4. LCSC ↩︎

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