🕶️

MetaのLlamaハッカソンで開発もピッチも生成AI駆動開発でできた

に公開

はじめに

Meta主催のハッカソン「Meta Llama Academy in Japan 2025」に参加し、Llamaを使ったアプリを生成AIフル活用して半日で開発しました。資料もほぼAIで準備したピッチ審査の結果、ありがたいことに賞までいただきました。単なるハッカソンではなく、豪華ゲストによる講座などもあり有益な内容だったので、その概要も含めて紹介します。

https://luma.com/q6q73ztw

Llamaとイベント趣旨

ハッカソンの​テーマはLlamaを活用した課題の解決です。LlamaはMetaが開発しているオープンソースのLLMで、最新版としてはLlama 4 MerverickおよびScoutが公開されています。
Llama開発の経緯や利用時のベストプラクティスについては、1日目の最初にMetaのPartner EngineerであるRiandyさんから解説がありました。LLM本体だけでなく、ガードレール(Llama Guard)やプロンプト最適化ツール(Prompt Ops)などの開発支援ツール群も開発しているのは知らなかったです。
Llamaの利用方法に関しては事前学習教材として以下の3つが紹介されていました。DeepLearning.AIはこれ以外にも良質なコンテンツが無料で提供されているので、 AIについて基礎から学びたい方にはおすすめです(※英語のみ)。

​​Prompt Engineering with Llama 2 & 3
​https://www.deeplearning.ai/short-courses/prompt-engineering-with-llama-2/

​Introducing Multimodal Llama 3.2
​https://www.deeplearning.ai/short-courses/introducing-multimodal-llama-3-2/

​Building with Llama 4
​https://www.deeplearning.ai/short-courses/building-with-llama-4/

審査員にはMetaのエンジニアのほか、Llamaをもとにした日本語言語モデルSwallowの開発を主導した東京科学大学の岡崎直観先生をはじめ、起業家や投資家、大学教授と非常に豪華な面々が名を連ねていました。
1日目にアイディエーションやユースケースの講座、チーム編成とそれに続くアイデア出しが行われ、2日目前半のハッカソンでサービスを開発したあと、後半のピッチが審査されて結果が発表されます。

「儲かるアイデアの作り方」講座

アイディエーション講座ではAlgomatic 取締役CTOの南里勇輝さんが「儲かるアイデアの作り方」と題し、起業や新サービス開発でどうやってお金を稼ぐかをお話しくださいました。
南里さんはAlgomatic RoboticsのCEOでもあり、ロボットを用いた製造業のDXおよびAX(AI Transformation)に現在取り組んでいます。
自身がエンジニアとして経験を積んできたこともあり、どうすればエンジニアが成功して収入を増やせるのか、そのためにはどのような戦略で新規事業開発に臨めばよいか、かなり実践的なトーンで解説されていました。
「作る前に売る」という発想はエンジニアにいまいち馴染みがないもののY Combinatorなどのアクセラレーターは耳が痛くなるほど言っていることで、私としてはハッカソン2日間の中で最も刺激を受ける内容でした。

Llamaを使ったユースケース紹介

午後からはリコーにおける独自LLM開発経緯、スリーアップ・テクノロジーの製造業DX事例、そしてLlamaインキュベータープログラム優勝チームであるMyRepublicの開発ソリューションに関してユースケース紹介が行われました。
あいにく私は午後から私用があり講座そのものは聞けなかったのですが、実は今回のハッカソンではCuckooというサービスで全編文字起こしと日本語・英語との相互翻訳がオンラインで行われており、これをもとに講演内容を後から読むことができました。
ただ、後から見返すのにも便利なように、私はまずClaudeにプロジェクトを作り、その中で文字起こし内容をまとめた講義ノートを作ってもらいました。これは1日目最後のチーム編成・アイデア出しに先立って公表された審査基準をピッチ準備の際に参照するのにも役立ちました。

実現したアイデアと生成AI駆動開発の手法

1日目のチーム編成に参加できなかったため、やはり1日目に参加できなかった参加者と2人チームになったのですが、アイデアは自分が持ってきたものが二つありました。利用可能な資源を考え、そのうちの一つ「やさしい日本語」をテーマとしたアプリを開発することにしました。
「やさしい日本語」は、日本語を第一言語としない外国人などを念頭に、難しい漢字や表現を使わず読み手にメッセージを伝える日本語です。出入国管理庁と文化庁が「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」をPDF形式で公開しており、言い換え例や箇条書きなどの方針が示されています。
つまりタスクとしては単なる翻訳というより文章のパラフレーズであり、生成AIが得意とする領域ではないかと考えました。
自分が日本語教員試験を最近受けたばかりでドメイン知識を持っているだけでなく、日本で暮らす外国人については近年つとにクローズアップされていることから、社会課題の解決というテーマにも合致すると考えました。

開発に与えられた時間が4時間もなかったので、発表できるレベルのアプリをまずは作る必要がありました。
当初は対訳コーパスを用いたファインチューニングやカメラ読み取り機能なども考えたのですが、これらは採用を諦めてプロンプトエンジニアリングに資源を集中することにしました(この助言はメンターとして参加されていたぬこぬこさんにいただきました)。
ガイドラインPDFやSNOWという対訳コーパスを参照させながら、Claudeなどのチャットボットと機能要件やプロンプトを練りました。
それを今回初めて使うClaude Code Webに渡すとスイスイとPythonでStreamlitアプリを実装してくれて、アプリの形をしたものが1時間ちょっとでできたので一安心しました。
そのあとは言い換え結果に振り仮名(ルビ)を実装したり、プロンプトを改善したりして機能性の向上に努めました。
完成したアプリが動いている様子は次のような感じです。

ピッチ戦略と結果

審査対象はGitHubリポジトリと技術図に加え、ピッチすなわち3分程度のプレゼンテーションになります。
アプリを作って終わりではなくピッチを準備しないといけないわけですが、ちょうどこの日にNotebookLMの「スライド資料作成」が公開され、Proプラン限定機能だったので迷わず加入しました。
発表したい内容のメモや審査基準のまとめノート、それからGitHubリポジトリやガイドラインのURLをソースにそのまま渡してスライド作成を丸投げしてみたところ、下手に自分で作るよりもよほど高品質なスライドができてしまったので、一部を置き換えたり拡充したりして資料を直前まで仕上げました。

しばらくの審査の後、私たちのチームの発表はTechnology Innovation Awardを受賞したことが発表されました!
社会課題に対して具体的なアプローチで解決策を示したことに加え、先述のPromptOpsをソースコードに取り入れたことも評価されました。
また、地方自治体に実際に関わっておられるメンターや先生からは講評や懇親会の席にて、自治体と組んで実用化できそうな成果物である、とも後押しをいただきました。
ちなみにグランプリを獲得したチームの成果物は、「◯◯ヨシ!」の一言で安全確認・自動記録・トレーサビリティを同時にかなえる現場DXツール、というものでした。

振り返っての感想

Llamaファミリーモデルはこれまで利用したことがありませんでした。GroqのようなLLMプラットフォームがあって、そこからSDK経由でモデルを利用するというのも、最近はChatGPT APIとか使っていて忘れていました。しかしオープンソースLLMであるLlamaは時間や計算資源さえあればファインチューニングは容易であり、またローカルLLMとして秘匿性の高い要件でも扱えるといった事例紹介を聞いて、GPT-5.1やGemini 3 Proといった最先端モデルとは違ったユースケースがあるのだなと気づきました。
Llamaを利用したといっても、開発はほぼほぼコーディングAIなどの生成AIがやってくれました。これは他の参加者も同様だったと思います。正直、4時間という短時間でそこそこのUIデザインを備えたアプリが実装できているのは、生成AIが実用的なレベルに達しているおかげでしょう。数年前に私が参加した頃のハッカソンではこうはいかなかったでしょうし、今後はこうした超短期間のハッカソンも十分ハイレベルな内容になってくると思います。
Meta東京オフィスで開発できたのはレアな経験になりました。虎ノ門のビル高層階にあり、昼も夜も窓からの眺めが良かったです。セキュリティもけっこう厳重でした。あと、ランチや懇親会のバイキングが見た目も華やかで美味しかったです。



受賞後の感想ででも述べたんですが、MetaといえばReact Nativeや「いいね」機能がハッカソンから生まれるなど開発が旺盛な一方で、ビジネスとしてはちょっと邪悪(evil)な企業だなと思っていました。ただ、本イベントのように非常にオープンな態度や成功のチャンスを開発者に示していることはよく理解できました。私も今回学んだことを今後の事業開発に活かしたいと思っています。

Discussion