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DAOの歴史とこれから

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はじめに

クロステックマネジメントのR&D Dept.ではAIやブロックチェーンなどの研究開発をおこなっています。
AIの話題は昨今さまざまなところで見かけるので、今日はブロックチェーンの話を書ければと思います。

ブロックチェーンはBitCoinやEthereumなど暗号資産の話題でよく聞きますが、FinTech意外でもさまざまな分野で利用が進んでいます。
今日はそのうちの一つであるDAO(Decentralized Autonomous Organization: 自立分散型組織)について先日Governance for regenerative coordination: the evolution from DAO to DAO 3.0という中々面白い記事をみたので、記事の紹介も兼ねてDAOの1.0 -> 3.0までコンセプトや歴史を振り返りながら、新たにDAO組織を作る際の参考にしていただければと思います
(昨今AIや暗号資産の話題に押されがちですが、他の利用分野でも着実に進んでるんだよ!ブロックチェーンオワコンじゃないよ!みんなもっとブロックチェーン使おうぜ!的なことが言えればと思います。)

DAOってなんだっけ?

DAOそのものについてはググれば秀逸な記事がたくさん見つかるので、詳細はそちらを参考いただいて、本記事ではさらっと概要だけ記載します。

DAOとは

  • 組織の意思決定は参加者全員が関与する
  • 透明性の高いルールに従って自律的に運営される
  • 中央集権的な意思決定者(経営者など)を置かない

といったコンセプトをブロックチェーン技術を元に、既存社会の組織モデルとは別の可能性を模索した新たな組織モデルとして登場しました。組織とは何かという思想のオルタナティブでもありますね。

DAO1.0 初期の理想と現実

冒頭の記事で触れているDAO1.0はDAO黎明期のコードが組織を動かすという思想が強く反映されていました。

スマートコントラクトを利用し、あらかじめ作られたプログラムによる自動執行と、トークン(ガバナンストークン)保有量に応じた投票による意思決定により、中央管理者不要で、組織の参加者同士が直接提案・投票し、ルールによって自動的に資金が動く

というまさに次世代!会社オワコン!これからはDAOだ!ぐらいの理想と期待がありました。

この黎明期におけるDAOの代表例としては"The DAO"という金融(DeFi)プロジェクトや"Dash", "MakerDAO", "MolochDAO"など様々なDAOがDAOの実現可能性を模索しました。

ハードフォーク事件と理念の具現化の工夫

この時期のDAOの大きな事件として、"The DAO"のハッキング(というよりスプリット機能の潜在的なバグ)により約50億円の不正な資金流出が発生し、救済のためEthereumのハードフォーク(ロールバック)が行われ、"The DAO"は最終的に解散となり、"コードが組織を動かす"ことの難しさやDAOのリスクが広く知られることとなりました。

"The DAO"の挫折を経て、黎明期では主にセキュリティの強化ガバナンスの工夫が進みます。

  • ブロックチェーン上での投票による予算管理(分散型ガバナンス)
  • 暗号資産を担保として預かりステーブルコインを発行する(暗号資産担保型)
  • DAOの意思決定に不満がある場合に出資金を回収できる仕組み(rage quit)

など、参加者の権利保護と柔軟性の両立やを目指し、様々な実験が行われました。

理想と現実

様々な事件や工夫を重ね、実験的なプロジェクトが立ち上がる中、DAOの課題が浮き彫りになっていきます。

エンジニア中心のエンジニア組織

DAO立ち上げそのものが技術的な難易度があり、かつ、DAOの参加に技術リテラシーが必要で、投票行為がDAOの知識が前提となるため、技術に明るいメンバーだけが議論に参加し(参加でき
)、一般のメンバーは投票に参加しない(できない)という状態が発生します

資金力の大きい参加者に権力が集中してしまう

投票権がトークン保有量に比例するため、理想である民主的統治は実現せず、資金力の大きい一部の参加者に権力が集中してしまい、"持ち株比率による支配"という現実の株式会社化してしまいます

法的な責任の所在が不明

法律上の組織として活動できないため、契約や責任の所在が不明確なため、活動に制約がかかるケースがあります
日本では2024年にLCC型DAOの法律ができるまで資金調達や分配時の税制に不利なことが多かった...というか銀行口座すら作れない状態でした!

DAO1.0のまとめ

革新的な組織の可能性やブロックチェーンの新たな活用・金脈の発掘に湧くと同時に、技術的・人間的・法的な課題が多くのこった時代でした

DAO2.0 エコシステムの充実とDAOの用途の多様化

2017年ごろから、DAO1.0の課題に答える形でAragon, DAOStackといったプラットフォームやツール・ガバナンスフレームワークの登場でDAOの技術的ハードルがさがり、さらにDiscordやForumといったWeb2.0のツールを積極的に活用し最終的な投票のみスマートコントラクトのみとし、DAO参加への敷居を下げることで、技術に明るくない一般ユーザーを取り込むことに成功しDeFi(金融)主体だったDAOの活用が、社会活動、不動産、ゲームやNFTトークン、インフラと様々な分野でDAO組織ができるようになりました。まさにDAOブーム!あったんですよDAOブーム!

DAO2.0における代表例として"Uniswap DAO"や"ENS DAO"など、スチュワード制度の導入やTemp Check, CoreUnitの切り離しなどの実務ルールを整備したDAOが登場します。

オンラインコミュニティ・現実世界への適用

技術的にモジュール化が進んだことで、トークン発行・投票・財務管理といった機能を組み合わせてDAOを構築することが可能になり、スマートコントラクトで行う部分とWeb2.0のツールを組み合わせる今のDAOの形が徐々に出来上がっていきます。
また、DAO1.0の反省から資金管理もマルチシグで信頼できるメンバーでの運用形態が増えました。

また、忘れてはならないのが、Wyoming州のDAO LLCの登場など法制度の地ならしが進みます。
これにより、参加者の有限責任など法的な受け皿が整い始めます

理想と現実

基盤技術の熟成と運用形態の洗練、法制度の地ならしにより、オンラインコミュニティの運営モデル全般でDAOの活用事例が広がりました、また、"Not a Hotel"など現実世界を巻き込んだDAOの取り組みと花開いていきます。

社会レイヤの"人手の依存"問題

環境(ツールやフレームワーク)そのものが整ってきたが、"関わり方の設計"に課題がでてきます。主に"提案→熟議→票集め→執行"の部分で、コミュニティを主導する常連や担当者の疲弊、コミュニティへの参加率を維持する仕組み化が課題となります

資金力の大きい参加者に権力が集中してしまう

WorkingGroup化やCoreUnit(サブ組織化)で分業しても、委任や大口保有者に発言力が偏在してしまう課題(トークン重心)から抜け出しにくいままとなっています

新規参加のUX壁

ウォレット作成や鍵管理、ガスの意識などは依然として必要であり、それ事態が壁となっています

DAO2.0のまとめ

DAOがブームとなり、組織の一つの形として花開きつつあると同時に、技術スタックとユーザーコミュニティは充実したものの、人間面や制度面の課題が残された状況でした

DAO3.0 今後はテクノロジー偏重から人間・文化・関係性を重視した設計へ

今後DAOの方向性として、冒頭の記事でDAO3.0では組織運営を固定的なコードではなく、生きたシステム(LivingSystem)と捉え、参加するコミュニティと共に文脈に応じて進化・適用していくモデルです。意識的に人間の参与や信頼関係、組織文化といった要素を組み込もうとしている点が画期的と述べてます。

何言ってんだ?って感じですね。

従来DAOの文脈は「すべてを分散化・自動化するか、さもなくば中央集権型組織に逆戻りするか」という二項対立で語られがちでした。しかしDAO3.0は、状況に応じて一時的に中央集権的なリーダーシップを認めることや、逆に必要な領域では極度に自律性の高い小集団(サブDAO)に任せることなどを許容します。

組織の成長段階や状況に応じて中央集権と分散、自律と協調、コードによる自動化と人間の判断のバランスを動的に調整できる枠組みを提供していくかたちとなります

昨今のDAOで見られる、サブDAO(product/ops/growthなど)毎にメンバー/投票ロジック/トレジャリーを設置することでガバナンス空間をモジュール化したり、Safeを利用し、ブリッジ出金のルールを整備するなど、モジュールの複合としてのDAOを設計することで、組織の成長段階や状況に応じた柔軟性を確保することができます。

また、AA(AcountAbstruction)など活用し、"ブロックチェーンは背景"にすることで、ウォレット作成や鍵管理といったUXの壁を低減したり、スチュワード制をうまく取り入れることで、参加母数と多様性を担保することができます

これからのDAOの視点

コミュニティの文化・信頼をより重視

技術やトークン設計だけでなく、コミュニティ内に共有される目的意識や価値観、メンバー間の信頼醸成がDAO成功の鍵となります。参加者同士が納得感を持って協働できる文化を育むことで、単なる投機目的の集まりではない持続的な組織運営が可能になります

参加ハードルの低減と人材育成

DAOは往々にしてUIが複雑で初心者には敷居が高いと言われます。実際、Walletの管理などWebに慣れてる方でもハードルは高いと思います。ここをフォローするためにも直感的な操作画面やシンプルな投票フローを用意する、オンボーディングセッションやチュートリアルを充実させる、メンター制度を設ける等は有効かと思います、エンジニア文化ではマサカリを投げ合う文化が普通ですが、誰もが最初は初心者です 長期的なコミュニティ活性化のために、DAO内に学習と成長の機会を組み込み、参加者がスキルアップしながら役割を拡大でき、日常的な議論の場を設けることでメンバーのエンゲージメント高められます。人材こそDAOの最大の資産であるとの認識で、決してマサカリを投げないようにしましょう

インセンティブ設計と資金フローの透明性

DAOではトークンを用いたインセンティブ設計が容易な一方、安易なトークン経済は投機を招きコミュニティを歪める恐れもあります。メンバーの貢献度に見合った報酬や権限が与えられる仕組みを作り、公正な価値循環を実現することです

柔軟で適応的なガバナンス構造

創設当初はコアメンバー中心の意思決定でも、参加者が増えれば権限分散を進める、といった段階的分権化は有効に働くことが多いように感じます、MakerDAOのEndgame計画のようにサブDAOに再編成することで意思決定の停滞を防ぐためにも有効です。DAOも組織の形態の一種である以上、ライフサイクルはあるので、柔軟さと一貫性を両立させ、組織の成長段階に応じて変化していくことは重要です。

法的リスクの管理とリアルとの接続

日本でもLCC DAOに関する法律が2024年に施工されました、今後、投票結果の法的合意としての連動や現実契約違反時にオンチェーン権利が自動消滅するなど、デジタルツイン的な設計も視野に入ってくるかとおもいます、エンジニアにはイノベータやアーリーアダプターは多いですが、人の集まりが組織である以上、コードは法律を置き換えないという前提に立ち、テクノロジーと現行法の橋渡しを意識することは重要です(自戒も込めて!

さいごに

DAOはテクノロジーの産物ですが(概念事態は1990年台にもありますが)、最終的には「人間の協働」を扱う組織形態です。そのため、エンジニアリングだけでなく人間・文化・制度に跨る総合的なデザインが求められます、エンジニアとしては技術そのもに目が行きがちですが、今後DAO(組織)を設計する上では人や文化・制度が重要ですよという話でした。(ブロックチェーン使おうぜ!はどこいった・・・)

クロステックマネジメント(京都芸術大学)

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