『AIに仕事を奪われる』不安を抱えたまま、スクラムフェス新潟2026に行ってきた
はじめに
こんにちは、みやです。
教育系のWebサービス開発に携わっています。
「技術カンファレンスって、なんだか敷居が高そう」── そう思っている方はいませんか。
少し前までの私がそうでした。
そんな私が、2026年5月8日〜9日に新潟・朱鷺メッセで開催されたスクラムフェス新潟2026に参加してきました。

- 初めて技術カンファレンスに参加してみたい方
- AI時代の開発との向き合い方に少し疲れている方
に、参加前後の気持ちの変化と持ち帰れた学びを共有します。
私は新潟在住なので、「せっかく地元で開催されるし、社内でも少し紹介があったから、行ってみようかな」という、軽い気持ちでの参加でした。
ただ、行く前は少しだけ不安もありました。
- AIの進化が速すぎて、自分の仕事がいつ奪われるか怖い
- 業務が忙しく、新しい技術のキャッチアップが追いつかない
- AIに生成させる文章やコードが膨大で、疲弊するし、嫌になる。
しかし行ってみたら、思いのほかたくさんの学びがありました。
印象に残った3つの講演
t-wadaさん「2026年のソフトウェア開発を考える」
TDDやSQLアンチパターンでお馴染みの、 t-wada さんキーノート講演です。
AIとの向き合い方を、現在地から丁寧に整理してくれる講演でした。
AIがもたらす新しい負債
従来の技術的負債が「人間は意図を理解しているが、コードや設計が追いついていない状態」だとすれば、
AI時代にはその逆 ──「AIによるコード生成が先行し、人間の理解が追いついていない状態」(認知負債)が現れた、とのこと。
思考は外注できるが、理解は外注できない
講演後、t-wadaさんとお話する機会がありました。
その中で「AI Vampire」について会話し
AIに向き合い続けると際限なく時間も気力も吸われていく
AIで開発は効率的になったけど、その分、さらに多くの業務を詰め込んでしまい
かえって働く時間が増えている。
それで燃え尽きてしまう人が多くなっているので、
「適度に休みましょう」と、言っていただきました。
小田中育生さん「変化の激しい時代を『ゴキゲン』に生き抜くために 〜ストレスマネジメントのススメ〜」
生産性向上の裏で進むメンタルヘルスの悪化
みなさん、変化をポジティブに受け入れられていますか?
スクラム開発では、検査と適応を繰り返し、変化と向き合っています。
たとえば、あなたは下記のどちらにストレスを感じますか?
- ユーザー増加率が想定より高く、早急にインフラ増強が必要
- これまで時間と労力をかけて開発していたものが中止
1の出来事に対し、より多くの利益が見込めると思えるか、あるいは、過去の無理なインフラ増強のトラウマを思い出してしまうか…
2の出来事に対し、新たな機会への投資と捉えるか、あるいは、せっかく作ったものが世に出されないというモチベーションの低下なのか…
このような様々なストレスに対処するために「コーピング」という手法が紹介されています。
大切な仲間を一人きりにしていませんか?
「困ったらいつでも聞いてください」
と言われた新メンバー。
信頼関係がない状態では、案外聞きづらいですよね。
日頃コミュニケーションしているからこそ、辛いときに頼れるものです。
そこで、小田中さんの会社では、新メンバーのコミュニケーションを優先事項とし、定期的に時間確保をしているそうです。
オンボーディングで業務内容を一方的に共有するだけでなく、
最初のうちは毎日数時間とり、業務と関係のない雑談ベースでコミュニケーションをとることも大事なのかなと感じました。
松岡幸一郎さん「バイブコーディング、仕様駆動、その先へ ─ 不確実性に対する検査・適応のサイクルを設計する」
t_wadaさんが「AI時代に何が起きているか」という大きな見取り図を示してくれたとすれば、松岡さんの講演は「では現場でどう実践するか」を、かなり具体的なところまで踏み込んだ内容でした。
出発点:「速くなった気はするけど、生産性が上がった実感がない」
松岡さんは、バイブコーディングから仕様駆動開発(実装前に仕様を明文化し、AIと人間が参照できる状態にする)へ、という流れを整理したうえで、その「先」に目を向ける講演内容となりました。
刺さったのは、コーディング速度の話です。仮にコーディングが開発全体の20%を占めるとして、その速度が2倍になっても、全体の所要時間で見ると短縮幅は約10%にとどまります。
AIでコーディングだけを速くしても、要件・設計・テスト・運用が変わらなければ、全体は思ったほど変わらない。
「速くなった気はするのに、なぜか楽になっていない」という感覚の正体が、数字で明確になりました。
結論:開発の各プロセスで「検査と適応のサイクル」を設計する
では仕様駆動の先に何があるのか。
松岡さんの結論は、
「不確実性と向き合い、開発の各プロセスで検査と適応のサイクルを設計する」
でした。
仕様を最初に全部固めきろうとすると、かえってウォーターフォール回帰になってしまう。
プロダクト開発には、ニーズ・ソリューション・技術・ビジネスといった多様な不確実性があり、どれも最初に潰しきることはできない。
だからこそ、各プロセスで「向き合う不確実性」と「実施する検証」を設計し、検査と適応を繰り返す。
これはもともとアジャイルの基礎にある考え方であり、AIの力でそのサイクルを高速に回せるようになった、という整理が印象的でした。
「AI活用フェーズ」× 「プロセス」のマトリクスで現在地を測る
検査と適応のサイクルを回すために、まずは各プロセスの現在地(成熟度)を測ります。
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| Phase 1: 個人利用 | コーディングエージェントを各自が個別に使う |
| Phase 2: スキル共通化 | チームで特定プロセス用のスキルを定義する(点としてのスキル) |
| Phase 3: プロセス再定義・スキル連結 | AI前提でプロセスを再定義。前のスキルの出力が次の入力になるよう設計(点が線に) |
| Phase 4: AIによる自律的開発 | 各プロセスでAIが自律的に判断する割合を増やす |
そのうえで、開発プロセスごとに「現状のフェーズ」「課題感が強いところ」「次の四半期で目指すフェーズと取り組み」をマトリクスに書き込んでいく。改善余地のないところをAI化しても意味がないので、優先度は課題ベースで決めます。
懇親会と「パックマンルール」
1日目、2日目の夜には懇親会がありました。
知り合いもいないし、レベルの高い人ばかりだろうし……と少し気後れしていたのですが、会場で教わった文化にとても助けられました。
それが、パックマンルールです。

円になって話すとき、ぐるりと閉じてしまうと、外からは入りづらいものです。
だからパックマンの口のように、一人分だけ開けておきます。
輪に入ろうとすると、みなさん温かく迎えてくれました。
新潟のスクフェスは
- メンタルヘルス系
- QA(品質保証)系
- AI系
の講演が多く、技術そのものだけでなく「技術者がどう働き、どう生きるか」に踏み込むテーマが多いのが印象的でした。
とくに新潟はQAに関わるコミュニティや登壇が活発なのだそうです。
おいしい料理とお酒もあり、エンジニア同士の繋がりも持てました。


まとめ
参加前の私は「参加費15,000円は、ちょっと高いかな」と思っていました。気軽な気持ちで申し込んだ分、レベルの高い場で自分が学べるのか、繋がりを持てるのか、という不安も…
しかし、参加してみて、その印象は変わりました。
学びがたくさんあり、なにより「優しいエキスパート」がたくさん集まっている、居心地のよい空間でした。
イベント後に、アーカイブで見逃した講演を後から見られます。
並行して走るセッションが多いので、これは本当にありがたいです。
同じように、参加を迷っている方がいたらぜひ参加してみてください。
おわりに
クロステック・マネジメント社は、「教育×AI」で次世代の学びを創造するために生まれた芸術大学発のスタートアップです。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです!
京都芸術大学のテックブログです。採用情報:hrmos.co/pages/xtm/jobs 芸大など5校を擁する瓜生山学園は、通信教育で国内最大手、国内で唯一notionと戦略パートナー契約を結ぶなどDX領域でも躍進、EdTech領域でAIプロダクトを開発する子会社もあり、実は多くのエンジニアがいます。
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