Google Opalで私のための自治体評価・たった一言で"わたしの街"を可視化するノーコードAIアプリを作ってみた
この記事は、WiseVine Advent Calendar 2025の記事です。
自治体の情報、自分に関係ある部分を知れたら。
自治体のWebサイトには、たくさんの情報があります。総合計画、各種補助金制度、子育て支援、医療費助成...。
「この中で、自分に関係あるものって、なんだろうか?」
そこで、Google Labsの実験的ツール「Opal」を使って、実験的に「個人の状況に合わせた自治体情報を整理するアプリ」を作ってみることにしました。
「たった一言」で、アプリができます。
Opalは、自然言語で指示を出すだけで、AIがワークフローを組んでアプリを作ってくれるツールです。コードは書きません。
私が入力したのは、こんな一言でした
自治体評価アプリを作って。
ユーザーが「市の名前」と「自分の情報(年齢、家族構成、関心事など)」を入力したら、
その自治体の総合計画や事業情報を調べて、
その人に合わせた「わが町評価レポート」を出力するやつが欲しい。
より具体的、身近な感じで。
どう税金を使っているか、どんな補助金が使えそうかもわかると嬉しいかも。
レポートには:
- その市が今何やってるか
- 私にどう関係あるか
- 良い点と課題
書かれてると良いかな。
入力して実行します。

そして、しばらく待つこと数分。
アプリが生成されました。画面には、自動生成されたワークフローが表示されています。
私がやったことは、「こんなアプリが欲しい」と日本語で伝えただけです。

トップ画面はシンプルでした。

しまなみ街道に行きたい。今治市で試してみる
アプリのトップ画面はシンプルです。
「市の名前を入力してください」
いつか行ってみたいと思っていた「今治市」で試してみることにしました。しまなみ街道、一度は渡ってみたいですよね。

次の質問。
「あなたの年齢を入力してください」→ 40歳
「家族構成を教えてください」→ 私、妻、5歳、3歳、0歳
「関心事を教えてください」→ 子育て、医療
送信
しばらく待ちます。おそらくAIが今治市の情報をWeb検索し、総合計画を読み込み、私の家族構成に合わせて分析しているのでしょう。

今治市で試してみた結果。
総合計画を読み込んでくれています。「豊かな地域社会を次世代につなげる」素敵な基本理念です。

移住で住宅補助が出るんですね。今、問題になっている空き家についてもリフォームの補助金が出るようです。

デジタルスタンプラリーもいいですね。家族で楽しめそうです。

超スマート自治体。便利なのは良いです。

自治体のWebサイトには制度ごとのページがあり、情報は公開されています。
ただ、「自分の状況で使えそうな制度」という切り口で整理されているわけではないので、一つ一つ確認していく必要があります。
このアプリは、その「整理」の部分を、ある程度自動化してくれたわけです。
弊社の元自治体職員からのコメント
このアプリを社内の元自治体職員にも見せてみました。以下はその感想です。
「総合計画だけだと、実際に『どんなメリットがあるか』が分かりませんが、
自分がもらえそうな補助金をレコメンドしてくれると、実感がわきやすいですね。
住宅取得で70万。良いなぁ。
短時間で基本情報をつかめるのは面白い。」
だだし、これは本当に正しい情報なのでしょうか。
ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。
「便利そうだけど、AIの情報、信用できるの?」
その通りです。
実は、Opalには、こんな注意書きが表示されています。
「Opalはミスすることがあります。ダブルチェックして!」

そして、私も実際にファクトチェックをしてみました。
今治市の公式サイトを見て、出てきた補助金の情報が本当に存在するか、金額は合っているか。
結果:概ね正確でした。
ただし、細かい条件(所得制限の有無、申請期限など)については、
やはり公式情報を確認する必要があります。
公開する前に考えるべきこと
「これ、市民向けに公開したら便利じゃない?」
そう思います。でも、公開するとなると、いくつかクリアすべき課題があります。
1. ハルシネーション(誤情報生成)
AIが自信を持って嘘をつくことがあります。「70万円の補助金」が実は「50万円」だったら?
2. 個人情報の取り扱い
ユーザーが入力した年齢、家族構成、関心事。これらがAIの学習データに使われるのか、使われないのか。明示が必要です。
3. 著作権の問題
自治体の総合計画や事業情報を、どこまで引用・要約していいのか。出典の明示は?
4. 情報源の透明性
どこの情報を見て答えているのか、いつの情報なのかが分かりません。引用元やいつ時点の情報かを表示したいです。
5. バイアスへの配慮
「40歳・3人の子持ち」には手厚い情報が出るけど、「70歳・単身」には何も出ない...なんてことがあったら?
これらをクリアするには、信頼できるデータソース(自治体の公式API、定期更新される構造化データ、ナレッジベースの構築など)と、適切な情報提供の枠組み(免責事項、公式サイトへの誘導など)が不可欠だと思います。
アプリの可能性
課題はあるものの、
例えば、市役所の待合室で、自分の状況に合った制度の概要を知ることができたら。
引っ越しを検討する際に、複数の自治体の情報を比較しやすくなったら。
移住相談の場で、相談者に合った情報を素早く提示できたら。
現時点では実験的なツールですが、こうした「情報整理の自動化」するアプリの可能性が感じさせます。
使う側に求められること
この実験を通じて感じたことがあります。
行政の情報は、市民のために公開されています。その情報に市民がアクセスしやすくなることは、意義のあることです。
ただし、AIを活用する際には:
- 自治体側:正確で構造化されたデータの公開
- 技術者側:市民が使いやすい形への変換と、適切なリスク管理
- 市民側:AIの限界を理解した上での情報取得
こうした役割分担を意識することが大切だと感じました。
補足:Google Opalとは
最後に、今回使った「Google Opal」について、簡単に補足します。
Opalの特徴
- 自然言語でアプリを作成:「こんなアプリが欲しい」と日本語で伝えるだけ
- ワークフローを自動生成:入力、検索、AI分析、出力を自動で組み立て
- Google Workspaceと連携:結果をGoogle Docs、Slides、Sheetsに出力可能
使える入力形式
- Text(テキスト)
- Image(画像)
- Video(動画)
- Audio(音声)
- Upload(ファイルアップロード)
使える出力形式
- Google Docs(文書)
- Google Slides(プレゼン)
- Google Sheets(表計算)
- Webページ
- Manual(マニュアル形式)
利用できる機能
外部データ取得
- Search Web(Web検索)
- Search Maps(マップ検索)
- Get Webpage(Webページ取得)
- Get Weather(天気情報取得)
- Code Execution(コード実行)
AI機能
- Gemini 2.5 Flash / Pro(テキスト生成)
- Plan and Execute with Gemini 2.5 Flash(複雑なタスクの計画と実行)
- Deep Research with Gemini 2.5 Flash(詳細なリサーチ)
- Imagen 4(画像生成)
- Veo(動画生成)
- AudioLM / Lyria 2(音声・音楽生成)
他ツールとの違い
- ✅ ワークフローを視覚的に構築できる
- ✅ Google Workspaceへ直接出力できる
- ✅ 画像・動画生成も可能
- ✅ Web検索など外部データ取得が組み込み済み
- ❌ 外部API連携は未対応
- ❌ 対話型アプリは作れない
この記事が、あなたの街をもっと身近にするきっかけになれば幸いです。
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