WSL2にArchLinuxをインストールして初期設定する
はじめに
WSL2のディストリビューションにArch Linuxが公式対応したことを受けて、実際にインストールと初期設定を行いました。
この記事では、インストール時に遭遇した問題とその解決方法、および初期設定手順を備忘録として記録します。
前提条件
- Windows 11 Pro
- WSL2が有効化済み(初回の場合は管理者権限での実行と再起動が必要)
- WSL 2.4.4以降が必要(WSL2のみ対応)
- PowerShellの使用
インストール方法
インストール手順
PowerShellで以下のコマンドを実行します。
wsl --install archlinux
インストールが完了すると、自動的にArch Linuxが起動し、以下のような表示になります。
[root@hoge]#
この表示が確認できれば成功です。初期設定(root権限)の章に進んでください。
インストール時のトラブルシューティング
アクセス拒否エラーの対処
以下のようなエラーが発生する場合があります。
wsl --install archlinux
アクセスが拒否されました。
エラー コード: Wsl/InstallDistro/E_ACCESSDENIED
対処法1として、Microsoft Storeを経由せずにインストールを試行します。
wsl --install --web-download archlinux
対処法2として、上記の方法でも解決しない場合は、Arch Linux公式からイメージファイルを取得します。
- Arch Linux Downloadsにアクセス
- WSL images > mirrorsへ進む
-
archlinux.wsl
をダウンロード
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてインストールするか、以下のコマンドを実行します。
wsl --install --name archlinux --location C:\wsl\archlinux --from-file C:\Users\[username]\Downloads\archlinux.wsl
コマンドの詳細説明は以下の通りです。
-
archlinux
- ディストリビューション名(任意の名前に変更可能) -
C:\wsl\archlinux
- インストール先ディレクトリ -
C:\Users\[username]\Downloads\archlinux.wsl
- ダウンロードしたファイルのパス
インストール確認
以下のコマンドでインストール状況を確認できます。
wsl -l -v
NAME STATE VERSION
* archlinux Stopped 2
インストールしたArch Linuxを起動します。
wsl -d archlinux
初期設定(root権限)
システムの基本設定
パッケージマネージャの暗号化キー初期化を行います。
pacman-key --init
pacman-key --populate archlinux
システム全体の更新を実行します。
pacman -Syu --noconfirm
ロケール設定
日本語・英語ロケールを有効化します。
sed -i -r 's/^#((en_US|ja_JP)\.UTF-8.*)$/\1/' /etc/locale.gen
locale-gen
必要パッケージのインストール
必要なパッケージを一括インストールします。
pacman -S --noconfirm base-devel sudo neovim which curl wget openssh docker docker-compose git less zsh
ユーザー設定
新規ユーザーの作成と権限付与を行います。
[username]
を実際のユーザー名に置き換えて実行してください。
useradd -m -G wheel -s /bin/zsh [username]
passwd [username]
echo "%wheel ALL=(ALL) ALL" > /etc/sudoers.d/wheel-sudo
chmod 440 /etc/sudoers.d/wheel-sudo
WSLのデフォルトユーザー設定を行います。
echo -e "[user]\ndefault=[username]" >> /etc/wsl.conf
設定の反映
WSLを一度終了し、ディストリビューションを再起動します。
exit
wsl --terminate archlinux
wsl -d archlinux
初期設定(一般ユーザー)
ユーザー確認
zshの設定ウィザードが表示されると思いますので、適宜設定してください。
私は既存の設定ファイルがあるため、q
で抜けてから自分で設定します。
デフォルトユーザーが正しく設定されているか確認します。
whoami
各種設定
この時点で、以下のような個人設定ファイルを適宜設定してください。
-
.zshrc
- zshの設定 -
.zshenv
- 環境変数の設定 -
.gitconfig
- git設定 -
.ssh/
- 鍵の発行、config設定など
Path設定の注意点
WSLではWindowsのPATHも参照されるため、以下を基本形として設定してください。
# ~/.zshenv
typeset -U path
path=(
$path
/usr/local/bin
/usr/local/sbin
/usr/bin
/usr/sbin
/bin
/sbin
)
WindowsのPATH参照を無効化したい場合は以下で設定できます。
# /etc/wsl.conf
[interop]
appendWindowsPath=false
Docker設定
DockerDesktopを使わず、ネイティブのDockerを使用する場合は以下の設定を行います。
Arch Linuxではデフォルトでsystemdが有効化されています。
sudo systemctl enable --now docker
sudo gpasswd -a $USER docker
設定を反映するため、一度WSLを再起動してください。
exit
wsl -d archlinux
まとめ
WSL2でのArch Linuxインストールは、公式対応により以前より簡単になりました。
以前は自分でイメージファイルを作成してインポートする必要がありましたね。
Arch Linuxの良さは、ローリングリリースモデルで常に最新のパッケージを利用できること。
そして、自分の好きなものだけをカスタマイズして組み立てていく楽しさです。
自作PCが好きな人には刺さるかもしれませんね。
日本でArch Linuxを使う人が増えて、文献がどんどん増えると嬉しいです。
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