MoneyForwardを退職し起業して1年が経ったので色々振り返ってみた(Co-founder探し中、起業に興味ある方見てください〜)
興味をお寄せいただき、記事を開いたあなた、ありがとうございます〜
長文になりますが、ぜひ最後までお読みいただけますと嬉しい限りです。❤️
投稿の目的
- 起業から1年を振り返り、頭の中を整理するため。
- 技術やビジネスの面で得たさまざまな学びや気づきを共有するため。
- ビジョンに共感してくれる方、一緒に頑張ってみたい方をCo-founderとして迎えたいので、この記事を通じてワンチャン出会えたらなぁ〜と思っています。
最後に連絡先を記載しておりますので、興味ある方、ご連絡ください!
自己紹介
王浩南と申します。1995年生まれです。(イノシシ🐗)
中国出身 & 日本永住者、思い返せば来日9年が経ちました。
タコと鯛が美味しい兵庫県・明石市で、日本人の奥さんと小さな賃貸マンションで暮らしています。
略歴は以下のとおり
- 2021年:立命館大学教員、音声音響に関する研究に従事
- 2022年〜2024年:株式会社マネーフォワード、エンジニア → PdM、連結会計プロダクトの立ち上げと運用を担当。
- 2024年3月、株式会社マネーフォワードを退職。同年10月、株式会社Metricsを設立。
- 2025年1月、「クラウド財務分析Metrics」をリリース。
なぜmetricsをやる?
格式高い経営分析SaaSをスモールビジネスにも届けたいからです。
私たちの生活や仕事の中で、SaaS (Software as a Service) ツールは数多く存在します。たとえば、
- デベロッパーには AI Copilot
- デザイナーには ノーコードデザインツール
- マーケターには マーケティングオートメーションツール
- セールスには CRMツール
- 経理には クラウド会計ソフト
これらのツールは、働く人々にテクノロジーの恩恵をもたらし、「より少ない労力で、より良い成果」を可能にしています。(今では、牛乳搾りさえも全自動で出来るらしいですよ!)
しかし、スモールビジネスの経営分析に目を向けるとどうでしょうか?シンプルかつ直感的で、誰でもすぐに使えるツールは少ないです。(ないわけではない)
SaaSがあらゆる分野に浸透して、各社が激戦を交わしているいる中、なぜこうした砂漠地帯が存在するのでしょうか?
よく言われる理由としては
- SMB(中小企業)向けFP&A(Financial Planning & Analysis)市場規模が小さい
- どうせ金回りは税理士に丸投げしているだけだから、経営分析のニーズが低いであろう
- ITリテラシーの壁が高く、SaaSの浸透が難しい
少しばかり傲慢な解説ですが、その中には社会の現実も反映されているのかもしれません。
しかし、私は「スモールビジネス向け経営分析SaaSに挑戦しない理由」にはならないと考えます。
かつて、高価で限られた人しか使えなかったパソコンや携帯電話が、今では誰もが当たり前に使っているように、市場や社会の大環境が追いついていないからといって、挑戦しないのはおかしいと思います。
実際、次のようなニーズを抱えているスモールビジネスのオーナーがいます:
- 財務状況を把握し、現状の課題やチャンスを知りたい
- 潜在的なリスクを事前に察知し、未来に備えたい
- 手頃な価格で、業務効率化のツールに投資したい
こうしたオーナーは少数かもしれませんが、確実に存在しますし、今後増えていくでしょう。
経営分析の難しさ
経営分析SaaSは格式高いイメージありますよね。実際に価格も高価ですし、導入と運用には人員と時間がかかります。
これは中堅・大企業向け経営分析SaaSを提供している会社が悪いわけではありません。経営分析の特性に起因するものです。
経営分析は質問の嵐。
どこから、何が飛んでくるのかがわからない。
それでも答えないといけない、耐えないといけない、次のアクションを見出せないといけない。
業種、売上規模、従業員数、経営状況、その時の経営課題、進行中のプロジェクト、時には社長のご機嫌によって、経営会議で投げかけられる質問は大きく変わります。
そりゃ難しいですよね笑。
metricsのコンセプト
metricsのコンセプト
質問の嵐に耐えられる経営分析のプロダクトには、二つの素質が必須だと考えています。
-
圧倒的カスタマイズ性:俯瞰的な経営指標から、部門・取引先の内訳まで、様々な粒度と切り口に対する分析機能を提供する。
-
圧倒的データ統合力:財務データに限らず、非財務データも含め、様々なソースからデータを統合する。統合できるだけではなく、統合のプロセスの自動化と属人解消も重要。
metricsはこの二つのコンセプトを意識して、プロダクトを作っています。
現在のmetricsは、財務データしか対応していませんが、これから様々なデータに対応していきたいと考えています。
プロダクトの設計の観点からみて、metricsには、三つのレイヤーに分割することができます。
- Layer1:ダッシュボード。
ユーザーが直接操作する部分で、分析の切り口に応じて無制限に作成可能。ウィジェットを配置するだけで、簡単にダッシュボードを構築できます。 - Layer2:ウィジェット。
分析ロジックと可視化をブラックボックス化した「レゴブロック」のような存在。ユーザーはウィジェットの中身を理解する必要がなく、必要なウィジェットを選んでダッシュボードに配置するだけで利用可能です。ウィジェットは「ウィジェットストア」に集約され、ユーザーはニーズに応じて選択できます。 - Layer3:データベース。
さまざまなAPIから連携された生データを保持するレイヤー。ウィジェットはこのレイヤーからデータを取得し、処理を行います。
この構造の利点は二つ
1. プロダクトチームにとって、開発を並行して進められること
複数のチームがAPI接続先の追加を同時に進められます。各チームが独立してウィジェットを開発できるため、互いに干渉することなく作業が可能です。
例えば、
- 財務分析チームは「財務予算データ」と「実績データ」のクロス分析ウィジェットを作成。
- マーケティング分析チームは「広告費」と「Google Analyticsデータ」を統合したクロス分析ウィジェットを開発。
このように、異なるチームが同時並行で開発を進めることができます。
2. ユーザーにとって、分析のノウハウが全く不要であること
スマートフォンのように、見たいウィジェットを追加するだけで分析ダッシュボードが完成。スモールビジネスにおける人手不足やノウハウ不足の問題を解決します。
metricsの設計思想
創業して1年、リリースして1ヶ月、metricsの現在地は?
まず現在metricsが提供できている機能を紹介します。
metricsが提供できる分析種目一覧
metricsが提供できる可視化オプション抜粋
次に、metricsのビジネス面の進捗を紹介します。
metricsビジネス面の進捗
導入社数は0じゃないし、興味を持ってくれている方々がいるのは嬉しいですね!
しかし、正直に申し上げますと、心の底には大バズりしてほしいとの淡い期待を抱いたので、歓喜とは程遠い結果でした笑。
metricsが直面する課題
課題1:ユーザーへのリーチ
初期ユーザーは主にfreeeアプリストア「新着アプリ Latest 3」からの流入に頼っていました。
リリース直後は「新着」として注目を集め、興味を持ってくれる方もちらほら現れたのですが、リリース2週目にはアプリストアのホームページから姿を消してしまい、それ以降は新規ユーザーの獲得がほぼ停滞してしまいました。 (そりゃそうですよね笑。どんどん新しいアプリがリリースされるわけですから…)
その後は自然流入だけでは限界があり、マーケティング予算も潤沢じゃないので、どうやってMetricsを知ってもらうかの壁にぶち当たっています。
課題2:関連領域のタレントが必要
経理会計や経営分析に関わるB2B SaaSって、本当に奥が深いんです。
Metricsを成長させるには、財務データの扱いに慣れた経理のプロフェッショナル、経営分析のノウハウを持つアナリスト、そしてそれを魅力的に伝えるマーケティングのスペシャリストまで、幅広い知識とスキルを持った仲間が必要だと感じています。
課題3:人員や資金不足
お気づきの方もいると思いますが、Metricsの成長戦略の鍵は「API接続先の拡充」と「分析ウィジェットの大量生産」にあります。
たとえば、freeeやマネーフォワード会計だけでなく、CRMツールやPOSシステム、マーケティングツールとも連携できれば、分析の幅がぐんと広がります。ウィジェットも、財務分析だけでなくマーケティングや在庫管理までカバーできれば、ユーザーの課題解決力が段違いになります。
しかし、それを実現するには開発チームを増やして同時並行で進めないといけないし、新しいAPI対応やウィジェット開発には時間もお金もかかります。今は僕一人でなんとか回してる状態なので、正直キャパオーバーです。資金面でも、スモールビジネス向けのSaaSって単価が高く設定しづらいことから、エンジニア雇用して赤字掘りまくる初期投資を回収するまでの道のりが長いのでなかなか踏み込めません。
課題4:代表が中国籍
デリケートな話なんですが、正直に書きます。
現在の国際情勢や日本国内の政治的な敏感さから、経営データを取り扱うSaaS企業の代表が中国籍であることは、大きなリスクであり、時に不利な点だと感じています。
たとえば、日本の中小企業オーナーの方の中には、「データが中国に流れるのではないか」とご不安に思われる方もいるかもしれません。もちろん、そんなことは絶対にありませんし、データは厳格に日本国内で管理しています。それでも、こうしたイメージはなかなか簡単に払拭できるものではないですよね。
特に最近は日米中関係の動きや、日本のセキュリティ意識の高まりもあって、余計にハードルが上がってる気がします。
さらに、ユーザーや投資家の方々にご連絡を取る際にも影響があります。いきなり外国人がメールなどで連絡してきたら、「迷惑メールかな」「詐欺じゃないか」と反射的に思われて、読まずに削除されてしまう方も多いでしょう。
決して、日本人全員が国籍差別だと批判しているわけではありませんので、誤解なきようよろしくお願いします。😁
これからどうする?
いろいろと悩みながら模索を続ける中で、とても幸運なことに、同じビジョンに共感してくださるとある税理士事務所の先生と出会うことができました。
その先生からは、中小企業の経営実態から、事業やプロダクトまで、貴重なアドバイスをたくさんいただきました。
そのご指導をもとに、metricsのプロダクトを大きく進化させるべく、新たなプロダクトロードマップを構築しました。これからその計画に沿って、気持ちを新たに開発に取り組んでいこうと思っています。
まだ道のりは長いですが、いただいたヒントを一つひとつ形にしていくことで、metricsがより多くの人に役立つ存在になれると信じています。
最後まで読んで頂けたあなたへ
スタートアップを立ち上げるのは、本当に大変な挑戦です。
正直に言うと、二日に一度は「もう辞めてしまおうか」と弱気になってしまいますし、貯金も少しずつ減っていく現実を目の当たりにするのは、心が折れそうです。
リリースから1ヶ月を迎えたこのプロダクトを、次のステージへと進化させるために、今、一緒に走ってくれる仲間を探しています。
- Co-founderとして対等な立場で一緒に未来を描いてくれる方
- エンジニアリングのスキルをお持ちの方はもちろん、ビジネスの視点で戦略を立てたり、ユーザーに価値を届けるアイデアを出してくださる方
- SaaSの力を信じ、世の中を少しでも良くしていきたいと願う方
- 給料払えないので、貯金だけで1〜2年は生活できる方(株主になっていただきます)
もしこの文章を読んで、少しでも「おもろそうやな」「一緒にやってみたいな」と感じてくださったなら、ぜひご連絡いただければ嬉しいです。
一緒に、metricsを育てていく仲間としてお会いできる日を楽しみにしています。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
ぜひご連絡ください。
付録
利用中の技術:
- Frontend
- Nextjs (Typescript)
- AntDesign, Tailwindcss
- Vitest
- Storybook
- Backend
- NestJS (Typescript)
- PostgreSQL
- Prisma
- Vitest
- sonota
- Google Cloud Platform
- Sentry
- Posthog.js
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