学位論文(卒論・修論・博論)のテクニック: Word編
これは私自身の個人的な学位論文(卒論/修論/博論)のテクニックをまとめたものです.
研究や学位論文の構想・構成方法については色んな方々がまとめているのでそちらを参照してください.
この記事では「卒業論文(thesis)を書き上げるにあたって最低限知っておきたい」テクニック(主に文書スタイルなど)についてまとめています.
なお、執筆環境はMicrosoft Wordを前提にしています.
ざっくりとした流れ
- 学位論文のテーマ・目的・到達地点を明確にする.
- 学位論文の題名を決定する.
- 全体の構成 (TOC)を作成する.
- 書きやすい章から執筆する.
- 全体を統合する.
参考文献について
参考文献は、2. 全体の構成が決定した段階で引用するチャプターごとに分類すると書きやすい.
- 各章を執筆するときに同時に参考文献の挿入位置を設定しておくと良い.
- 参考文献を挿入する位置に, [ref. AA, 20XX]などとマークしておいて、文章全体が書き上がってから挿入する方が手間が省ける.
- 使用している参考文献管理ソフト(Mendeley, Paperpileなど)のWordプラグインがあると非常に便利.
編集時 (MS Word)
文書の挿入方法
以下の方法で挿入された文章は、挿入先の書式(スタイル)で統合されます。
- 文章を挿入したいにカーソルを移動.
- 「挿入」タブ: 「テキスト」→ 「オブジェクト」→ 「テキストをファイルから挿入」
- ポップアップウィンドウで該当するファイルを選択し「挿入」.
- 挿入部分を確認
ページ番号のつけ方
一番簡単な方法
- 「ヘッダーとフッター」タブ: 「ページ番号」
- 書式を選択し挿入.
- 挿入されたページ番号の部分をマウスで選択し、フォントやサイズを適宜変更.
左右別々にページ番号を設定する方法
見開き左右のページでページ番号を異なる位置に設定したい場合は以下の手順で設定してください.
- 余白部分をダブルクリック → 「ヘッダーとフッター」タブ展開
- 「ヘッダーとフッター」タブ: 「オプション」→ 「奇数/偶数ページ別指定」
- 奇数ページ/偶数ページそれぞれでページ番号を挿入.
複数種類のページ番号を設定する方法
文書にセクションを設定することで、セクションごとに異なる設定を適用することができます. (i, ii, ... や 1, 2, ...が同じ文書内に共存できる)
なお、TOCにも指定した形式のページ番号形式が反映されます.
- ページ番号を変更する境界の場所にカーソルを移動
- 「レイアウト」タブ: 「ページ設定」→ 「区切り」
- 各セクションにて適切なページ番号表示形式を設定する.
TOC(目次)の作り方
前提として、当該文書の「アウトライン」から「見出し」を設定する必要があります.
また、各見出しで設定した太字や斜体, 上/下付き文字などはそのまま反映されます.
- 「参考資料」タブ: 「目次」→ 使用したい形式の目次を挿入.
- 希望するフォントや形式に指定.
- 内容の変更に応じて、都度目次を更新.
PDF変換
PDFに目次を反映する手順
PDF化する際にWord文書の目次を反映(ブックマークを作成)する手順は以下.
- 「ファイル」タブをクリック → 「Save as Adobe PDF」
- ポップアップウィンドウ:「Option」→ "Create Bookmark"にチェック
その他
図は必ず文章中でメンションする
ページ内のFigureは、文章内の対応する箇所でメンションすること (: 浮いたままにしない)
推奨フォント
学位論文では、製本された状態で視認しやすいSerif体が推奨されます.
- 英語:
- Times New Roman
- STIX Two Text
- NewComputerModern
- 日本語:
- 游明朝 (Win)
- ヒラギノ明朝 (Mac)
- Noto Serif JP
- 数式:
フォントよもやま
余談: Serif体のメリット
Serif体は印刷した際に読みやすいと言われますが、これは文字装飾(Serif)によって一行あたりの高さを認識しやすいためです。
余談2: パワポでSans-serif体を推奨する理由
パワポなどのデジタル資料でSans-Serif体が用いられる理由は、低PPI (pixel per inch) なディスプレイに映しても見やすいためです。
例えば、Times New Romanは縦横の線の太さが大きく異なり、細い縦の線が見づらくなることがあります。一方、HelveticaなどのSans-serif体であれば、縦横の線の太さがだいたい一緒(ないしなだらかに変化する)ので、文字を一体として認識しやすいです。
特に、プロジェクターはPCディスプレイよりも大領域かつ低解像度なことが多いので、口頭発表時のプレゼン資料はSans-serif体が推奨されます。
PDF文書中の図に出てくる白い線について
Word文書をPDF化した際に、文書中の図に白い線が入ることがあります。
これは、Word文書中の図がPowerPoinitなどで作成されてコピー&ペーストで挿入された場合などによく起こります。
手っ取り早い解決方法としては、
- 背景を透過させない (ex. 画像をPNGではなくJPEGで出力する)
- PDFをPDF/X-4形式に変換する
- たいていの場合、デフォルトで出力するとPDF/X-1a形式になっています.
- PDF/X-1a形式は一昔前の規格で、透明効果を必ず分割・統合してしまうため、閲覧ソフトで開いた際に白い線が表示される原因になります。
余談: なぜ起こるのか?
これはAdobe Acrobatなどの閲覧ソフトで「スムーズ(ラインアート)」という設定が有効になっている場合に、画像やオブジェクトの境界線が計算上の誤差(アンチエイリアス処理)によって白い隙間として表示される現象です。
PowerPointなどで作成した複雑な図形をWordに貼り付けたり、背景が透過されたPNG形式を使用したりすると、PDF作成時に「透明」を再現するために画像が内部的に小さなタイル状にスライスされます。
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