エンジニアのためのAIの基本 Part1
はじめに
はじめまして、株式会社バニッシュ・スタンダードでエンジニアをやっているkzzzmです。
ChatGPTの新バージョンだったり、最近話題のDeepSeekショックだったりとAIに関する話題は多いかと思います。
なので今回は「エンジニアのためのAIの基本」というタイトルで記事を書いていこうと思います。
僕もエンジニアでありながら、正直AIの技術はあまり分かっていないので学びながらです。
(誤った情報などありましたら申し訳ございません。その際はコメント欄にて指摘いただけると嬉しいです!)
今回はPart1です!
人工知能の全体像
まずAI(AI: Artificial Intelligence)とは、コンピュータが人間の知的な作業を模倣・実行できるようにする技術の総称です。
AIの基本構造
AIの全体像を理解するために、以下の4つの主要な構成要素が紹介されています。
- ハードウェア(GPU, FPGA, ASIC)
- 機械学習ライブラリ(フレームワーク)
- AIプラットフォーム
- AIアプリケーション
これらの技術が組み合わさることで、AIが実用化され、さまざまな分野で活用されています。
ハードウェアとサーバ技術
- AI処理の高速化には、専用のハードウェアが必要。
- GPU(NVIDIA, AMD):並列計算能力が高く、ディープラーニングの訓練に最適。
- FPGA(Intel, Xilinx):用途に応じてプログラム可能で、AI向けの計算処理を高速化。
- ASIC(Google TPU, Apple Neural Engine):特定用途向けに最適化されたAI計算チップ。
これらのハードウェアは、クラウド上で動作することが多く、Google Cloud, Amazon AWS, Microsoft Azureなどが提供するAIクラウドプラットフォームと連携して利用されます。
機械学習ライブラリ(フレームワーク)
機械学習やディープラーニングのモデルを開発するためのソフトウェアツール。
代表的なフレームワーク
- TensorFlow(Google)
- PyTorch(Facebook)
- MXNet(Amazon)
- Scikit-learn(機械学習向けのPythonライブラリ)
- JAX(Google)
- Keras(Google)
これらのライブラリを利用することで、AIモデルの学習や推論を容易に実行できる。
また多くがオープンソースで無償提供されており、我々エンジニアが手軽に利用してディープラーニング学習モデルを作成することが出来る。
AIプラットフォーム
AIプラットフォームは、AIの学習・推論を簡単に実行できる統合環境を提供。
- Google Cloud AI
- Amazon SageMaker
- Microsoft Azure AI
- IBM Watson AI
- Oracle AI
これらのプラットフォームを活用することで、専門知識がなくてもAIをビジネスに導入できるようになっている。
AIアプリケーション
自動運転
- テスラのオートパイロット
- Waymoの自動運転タクシー
- AIの画像認識と強化学習を活用し、安全な自動運転技術が進化。
医療AI
- 診断支援AI(IBM Watson Health, DeepMind)
- 創薬AI(Atomwise, BenevolentAI)
- AIが医療画像を解析し、がん検出や疾患診断を支援。
金融
- 不正取引検出(Mastercard, Visa)
- AIによる投資分析(Robo-Advisors)
- AIがリアルタイムでデータを分析し、不正行為の検出や投資戦略の最適化を行う。
顧客対応
- チャットボット(Alexa, Google Assistant, IBM Watson Assistant)
- カスタマーサポートの自動化(Zendesk AI, Freshdesk AI)
- AIがユーザーと対話し、質問応答やタスクを処理。
我々一般エンジニアの主戦場はハードウェアやライブラリ、AIプラットフォームを作ることではなく、それらを使いこなしてユーザーニーズを満たすアプリケーションを作ることにあると思います。
機械学習とディープラーニングの違いについて
機械学習
機械学習とはコンピューターに学習させて人間と同じように認識・判断を行わせる人工知能の手法の1つです。
機械学習は 「学習処理」 と 「判定処理」 の2つの手順で行われます。
学習処理
- データを用いてアルゴリズムを訓練し、パターンを学習。
- モデルがデータの特徴を理解し、予測能力を向上させる。
判定処理
- 学習したモデルを用いて、新しいデータを分類・予測。
- 例えば、花の画像を学習させると、未知の花の種類を正しく分類できるようになる。
ミニバッチ学習
機械学習では、データを一度に学習させるのではなく、小さなバッチサイズ(ミニバッチ)に分けて反復学習を行う。
- 例:9000枚のデータを200回に分けて学習(エポック単位で繰り返し)。
- 筋トレのような学習プロセスで、徐々に精度を向上させる。
-
勾配降下法
誤差を最小限に抑えるための手法で、モデルのパラメータ(重み)を調整して精度を向上させる。 -
ホールドアウト法
データの一部を訓練用、残りをテスト用に分けて、過学習を防ぐ。
ニューラルネットワークとディープラーニング
ニューラルネットワークの構造
ニューラルネットワークは、人間の脳のニューロンの仕組みを模倣したAIのアルゴリズム。
- 入力層(Input Layer):データを受け取る層
- 隠れ層(Hidden Layer):データの特徴を抽出する層
- 出力層(Output Layer):分類や予測を行う層
- シグモイドニューロン
- ニューラルネットワークにおける基本的な計算単位。
- 各入力値には重み(weight)が割り当てられ、バイアス(bias)によって最適な判断が下される。
- 多層パーセプトロン
- 隠れ層を増やすことで学習精度を向上させる手法。
- ディープラーニングの基盤となる概念。
誤差逆伝播(Backpropagation)
ニューラルネットワークの学習を向上させるための手法。
- モデルの出力誤差を逆伝播させて、重みを調整。
- 例:「価格が高い」ことが誤った要因なら、その影響を減らすように調整。
機械学習とディープラーニングの違い
機械学習とディープラーニングの違いを説明する3つの定義。
- ディープラーニングは機械学習の一部である
- ディープラーニングは隠れ層が多層化している
- 機械学習はルールベース、ディープラーニングはブラックボックス (下記にて解説)
機械学習(ルールベース)
機械学習は、あらかじめ設定されたルールや数学的なアルゴリズムに基づいてデータを解析し、パターンを見つけて予測や分類を行う手法です。主に統計的手法や決定木などの明確なルールに基づいたアルゴリズムを使用します。
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代表的な機械学習アルゴリズム
機械学習のアルゴリズムは、問題の種類によって適用される手法が異なります。
①教師あり学習(Supervised Learning)
データに正解ラベルを付与し、モデルが正しいパターンを学習する手法。- ベイズ回帰(Bayesian Regression):確率的な予測を行う回帰モデル。
- サポートベクターマシン(SVM, Support Vector Machine):データを高次元空間にマッピングし、分類を行う手法。
- ランダムフォレスト(Random Forest):多数の決定木(Decision Trees)を組み合わせた予測モデル。
② 教師なし学習(Unsupervised Learning)
データに正解ラベルを与えず、データの内部構造を分析する手法。- クラスタリング(Clustering):データを似たグループに分類する(例:K-meansクラスタリング)。
- 主成分分析(PCA, Principal Component Analysis):データの次元削減を行い、情報を要約する。
③ 強化学習(Reinforcement Learning)
エージェント(AI)が環境との相互作用を通じて最適な行動を学習する手法。- Q学習(Q-learning):試行錯誤によって報酬を最大化する行動を学習。
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機械学習の特徴
- 特徴量を人間が設計:モデルの学習には、適切な特徴量(Feature)の設計が重要。
- 解釈性が高い:なぜその予測結果になったのかを説明しやすい。
- 小規模なデータでも利用可能:少量のデータでも比較的高精度な予測が可能。
ディープラーニング(ブラックボックス)
ディープラーニングは、機械学習の一種ですが、ニューラルネットワークを活用することで、データから特徴を自動抽出し、高度なパターン認識を行う技術です。
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ディープラーニングの基本構造
ディープラーニングは、多層の ニューラルネットワーク(Deep Neural Network, DNN) を使用します。
ニューラルネットワークの基本構成:- 入力層(Input Layer):データを受け取る層。
- 隠れ層(Hidden Layer):データの特徴を学習し、抽象化する層(多層化される)。
- 出力層(Output Layer):最終的な予測結果を出力する層。
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代表的なディープラーニング手法
ディープラーニングには、タスクに応じたさまざまなモデルがあります。① 畳み込みニューラルネットワーク(CNN, Convolutional Neural Network)
- 画像認識や映像処理に特化したネットワーク。
- 例:物体検出(YOLO, Faster R-CNN)、顔認識(FaceNet)。
② 再帰型ニューラルネットワーク(RNN, Recurrent Neural Network)
- 時系列データや自然言語処理(NLP)に適用される。
- 例:翻訳(Google Translate)、音声認識(DeepSpeech)。
③ 生成モデル(GAN, Generative Adversarial Network)
- 画像生成やデータ拡張に活用される。
- 例:AIによる画像合成(DALL·E)、フェイク動画生成(DeepFake)。
④ 強化学習に基づくディープラーニング(DQN, Deep Q-Network)
- AIが試行錯誤を通じて最適な行動を学習する。
- 例:囲碁AI(AlphaGo)、自動運転(Waymo)。
- 画像認識や映像処理に特化したネットワーク。
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ディープラーニングの特徴
- 特徴量の自動抽出:人間が設計せずとも、モデルがデータから重要な特徴を学習。
- 高精度な予測:大量のデータを活用することで、人間を超える判断精度を実現。
- ブラックボックス問題:学習過程が複雑で、なぜその結果になったのかを説明しにくい。
機械学習とディープラーニングの適用範囲
項目 | 機械学習(ルールベース) | ディープラーニング(ブラックボックス) |
---|---|---|
データ量 | 少量のデータでも学習可能 | 大量のデータが必要 |
特徴量設計 | 人間が特徴を設計する | AIが自動で特徴を抽出 |
計算コスト | 低い(CPUで処理可能) | 高い(GPU/TPUが必要) |
解釈性 | 高い(説明可能) | 低い(ブラックボックス) |
適用分野 | 金融、医療、マーケティング | 画像認識、自然言語処理、自動運転 |
まとめ
いかがでしたかね?
聞き馴染みのない言葉が多くて大変ですが、AIに対する知見はこれから増やしていきたいですね。
最後に
弊社「株式会社バニッシュ・スタンダード」では、現在エンジニアおよびデザイナーを積極的に募集しています。
私も、幅広い技術領域に携わることができ、日々充実した仕事ができています。
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